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嫌われ王子と引きこもり令嬢  作者: 光森 璋江
第1部 第5章 動乱
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令嬢の失踪

「そうと決まったら、いざ行動あるのみ!!」


そう言ってカテリーナは作戦を練った。


明日になったらフリードリヒはいつものように何食わぬ顔でやってくることは確実で、現に今のところ謝罪の手紙も何もないのである。


けだもの呼ばわりされて頭にきたカテリーナ。


そして、フリードリヒもそれに同調した形となってしまい二重のショックを与えたのだ。


カテリーナが頭にくるの当然である。


それは今日の舞踏会である令嬢が言った「けだもの」とは、カテリーナだけではなくフィリアの王族全体に対するさげすみの言葉なのである。


一族を侮辱したしかも王族を。


あのとき誰一人として王族の者が居なかったからそのような発言が出たのであろう。


それは、王族のみに守護神が宿るがための宿命なのかもしれない。


しかし、王族に対する蔑みを国王が知れば、どの時代の国王であってもそうであったが間違いなく貴族に対する制裁や粛正が始まるだろう。


未来の夫になるはずの人物からのそのような事態にカテリーナは動揺を隠しきれない。


フィリアにとって大変有益なウィリアとの縁談で、相手側には余り利のないもの。


そこまでしてカテリーナを必要とする意図がわからないでいた。


出会って今までの間で様々な出来事にその築き上げた信頼関係が一気に崩れたのである。


あのときは遠くて見えなかったけだものといったご令嬢。


すぐに身元は割れるだろう。


あまり事を荒立てるわけにも行かないし、ただフリードリヒとともかく距離を置きたいし・・・ということでカテリーナは一計を案じた。


今回のことを秘密裏に国王に、手紙を1通、その中にはカテリーナが書きなぐった数十枚あり、封筒にはカテリーナ専用の印で封蝋で封をし、机の上に置いた。宛名は国王リベラートとした。


もうひとつ保険として、ある人物に望みを託すことにした。


ハロルドである。今はダーニャ伯爵として所領にある屋敷にいるはずだ。


なぜなら彼は基本的に社交界へは行かない。


彼の性格からして華やかな場は向かない性分なのをカテリーナは同じ屋敷で仮の執事と令嬢として5年過ごしてきた彼女にはわかっている。


侍女たちの話で今回も例に違わず欠席したと聞き及んでいる。


屋敷は今回の目的地の途中にあるので、ハロルドにそこで見つかりやすいように、と捜索かく乱のために一計を投じることにした。


気心の知れたハロルドはカテリーナのヒントを見ればすぐに彼女の置かれた状況も理解してくれるだろう。


『全く・・・困った子ね。』


という知の女神ユリーナの声が聞こえた。


カテリーナの心の中に”決行”の二文字が浮かんだ。




前回同様、決行は皆が寝静まった夜に出ることにした。


しかし、今回は前回とは違った手法を取り入れることにした。


馬を使うのである。


ハロルドに渡すための手紙といつも別邸で着用していた普段着と靴、ランプ、そしてそこそこの金額のお金を布製のカバンに入れ馬に乗って屋敷を離れた。




カテリーナは計画通り、分かれ道に付くと馬を下り近くの低い木の枝に手綱をつなげておいた。


これで、カテリーナがどこへ行ったのかわかりづらくなったはずだ。


それから歩いてまっすぐ南下していく。道すがら、大きなまるで湖のような大きな池につく。


そこはダーニャ伯爵の所領で伯爵の屋敷もほど近くにあるのだが何故か自殺の名所となっている。


暗闇の中、人目をはばかりつつカテリーナは着用していたドレスとヒールを脱ぎ、ドレスを池の中へ。


そして持っていた普段着と靴に着替えた。


ヒールはそろえて置きその靴を重しとして手紙を置いて行った。


これはカテリーナが自殺したように見せかけるためだ。


早ければ翌日には発見されるだろう。あとはハロルド次第である。


(今のところ計画どおりね…後は目的地まで行きつけば終わりね)


それからしばらく進んでいくと後ろからホロ付きの馬車が通りかかった。


幸運にも目的地を通るということで乗せてもらえることになった。




翌日、王宮いや、フィリア王国全体がカテリーナの失踪と残された手紙そして、ハロルドの報告に驚嘆したのである。




それは、運のいいことにハロルドが朝の散歩に出かけたときカテリーナの手紙とドレスとヒールを見つけ、ドレスを池から引き上げ、ドレスとヒールを屋敷の中に隠し、きっちり手紙を読んでから調査を始めた。


ハロルドはカテリーナがそんなことで自殺をするような令嬢ではないことを知っているし、ハロルドはカテリーナのよき理解者であろうと努力した賜物であった。


昨日今日のことなのですぐに調べがついたため、すぐに王宮に使いを出した。


ルドゥーレ家の人たちがカテリーナの手紙を読む前であったことで少し王宮では騒がしくなったが、ハロルドは必要書類を提出した後、国王の采配に任せることにした。


ここまではカテリーナの計画通りに進んだが、予想外のことがやはり起こった。言わずと知れたフリードリヒのある行動である。


なんと、王命と称し軍隊の精鋭数十人の捜索隊を結成しカテリーナの捜索を始めたのである。


しかも、フィリア中をくまなく調べあげるという徹底ぶりだ。


見境知らずの彼は自分がカテリーナを傷つけたことなく知るよしもなく今回も自力で探し出そうとしたのである。


とりあえず国内にいるのではないかとフリードリヒはそう踏んだようだ。


(捜索は止めとけよ・・・殿下が捜索すること自体が余計に傷つけるだけだというのに。っというより全く反省してないだろ。殿下が原因なんだって気づけよ!!!)


とハロルドはそのことを知り、そのように突っ込みを入れつつも、ただ静観するしかなかった。




フリードリヒ達、捜索隊がカテリーナの所在がつかめたのは失踪からおよそ3ヶ月後であった。


その時にはもう制裁は終わっていた。


悲しいかな、主犯の令嬢は巫女として出家することを余儀なくされ、家は爵位を一つ落とされた。他の面々は文書での警告と言うことになった。


神々と人とのつながりを再度教育する目的の出家であるためおよそ2年程度で還俗できる見込みである。

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