従者の執念
「やっと見つけましたよ!やはりこちらでしたか!!」
たまたま、カーラと二人で廊下を歩いていたエレーナは聞き覚えのある声に体がびくっと反応した。
フランツ・ランバートル。
彼のせいでエレーナは死の淵をさまよったのは記憶に新しい。
出来るだけ接触をしないようにしてきたが運悪く見つかってしまった。
「とりあえず、カテリーナ様の部屋に逃げ込んで…侍女の待機する次の間へ移動しましょう。」
とカーラに小声で提案した。
「エレーナお姉さま?」
カテリーナの部屋にカーラを預けエレーナは次の間へと逃げ込んだ。
「カーラ。カーラはここにいて何も言わないのよ。」
「う・・・ん。わかったわ。」
カテリーナは急な来客に驚いたが、カーラを見て事の次第を察した。
カーラは初めて会ったときにローズと名乗ってからカテリーナのことをローズ様と呼んでいる。
「ローズ様?」
「あら、カーラじゃない。エレーナは?」
「そっ・・・それが・・・」
と戸惑っていると、ドアをドンドンとたたいたり蹴ったりして無理矢理にでも入ろうという彼の意志が見受けられた。
それをわかっていて中の女性たちは恐怖と不安な空気に満たされていく。
「エレーナ、ここにいるのは分かっているんだ。開けてくれ!」
とドアを懸命に叩く音と、ランバートル卿の声にカテリーナは確信した。
「とうとう、見つかったのね…」
「ローズ様…私…」
「大丈夫。心配いらないわ。あなたは私の中にベットにいなさい。」
「はい。」
「ルーチェ、お通しして頂戴。」
「はい。」
といってドアを開けた。
そこには、ランバートル卿がいた。
「あら。どうかしましたか?」
「エレーナはどこに?」
「私の侍女のだれかと見間違えたのではありませんか?」
「そんなはずはない!!」
「本当に、殿下とそっくりですこと。」
「な・・・」
「女のひとを追いかけまわすのがお好きなのね。」
「逃げたら追いかけるのが男の性なのでしょう。
それより、ここに逃げ込んだのを見たのです。彼女を引き渡していただけないでしょうか?」
「ひとつ聞いておきたいことがあるの。何故エレーナを追いかけるの?」
唐突に聞かれた質問にたじろぐフランツ。
「すぐに答えられないところからすると、そこまで思っていないのね。」
「うっ、そんなことはない…です。」
「ちゃんと言えるようになるまで会えないわね。それって告白する時にも言うことでしょ?また出直してきなさい。」
と言われて、しぶしぶ別邸へと帰って行ったフランツ。
「とりあえず・・・しばらくは来ないでしょうね。」
「カテリーナ様!!」
次の間から出てきたエレーナに問いかけた。
「ねぇ、彼のこと嫌い?どんな所が嫌いなの?」
「特にはないです。ただ、周りからのからかいが苦手なのです。
それにまだ、心の整理がついていませんので。」
と曖昧に答えた。
「心の整理を次の彼の襲来のときまでにしておいたほうがいいわね。また襲来してくる気がするわ。」
「はい。」
「私も、そろそろ見つめなおすときが来たのかもしれないわね。あなたたちを見てると私と殿下のように見えてくるわ。」
「ローズ様?カテリーナ様?」
ベッドの中からカーラの疑問の声が聞こえた。
「カーラは、どっちが呼びやすいかしら?」
「どっちでもいい!!」
「じゃあ、カテリーナ様でお願いできるかしら?」
「はい!!」
と言って嬉しそうにベッドの上で飛び跳ねた。




