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嫌われ王子と引きこもり令嬢  作者: 光森 璋江
第1部 第4章 成人の儀
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王子の秘密

「約束通り来ていただいてありがとうございます。さすらいの方。」


翌日、カテリーナとシャーロットはそこそこの化粧を施し、ドレスに身を包み二人を待っていた。


お茶会までに間に合ったようで甘いよい香りがしている。


二人が来たとき、カテリーナとシャーロットは立ち上がり、一礼をした。


今王宮の庭にはテーブルが1つといすが4脚あり、カテリーナとシャーロットは隣同士に座っている。


近くにはカテリーナの乳母ピンパル夫人とシャーロットの爺やであるベイリー卿が立っていた。


空いている2つの席にカテリーナに近い方にフリードリヒが、シャーロットに近いところにフランツが座った。


この日は成人の儀式の翌日であったが、その日の内にほぼ片付けを終えてしまっていて女官たちの数もまばら。


そして庭園はひっそりとした裏庭にいすもテーブルも用意されていた。


また、来客も日帰りで帰ったものが多かったので王宮にはさほど人がいなかった。


「今日は内々でお茶会をすることにしましたの。ですが、本当なら、ハロルド達にも来てもらいたかったのですが、あいにくと用事があるそうでして欠席の連絡を受けています。」


「シャーロット、お二人については紹介しなくても分かるわよね?」


「えぇ、一度お会いいたしておりますもの。」


「それではお楽しみの今日のお茶は、ルドゥーレ公爵家別邸で取れハーブを使った私オリジナルにブレンドしたハーブティで、お菓子は、王宮の料理長のカスタードプディングよ。」


「うふふ。お茶はカテリーナのブレンドしたハーブティ、そしてここのシェフのカスタードプディングだなんて最高だわ。」


「シャーロットは彼のお菓子が大好きだものね。」


と、幸せそうなシャーロット。


ピンパル夫人がハーブティーをつぎ分けていく。




小一時間ほどお茶とお菓子を堪能し、少し話が落ち着いたところで、カテリーナは王宮の中庭の花壇から小さな花を幾つか摘みいすから少し離れたシャーロットの後ろあたりで花冠を作り出した。


ここはルドゥーレ公爵家別邸の庭ではない。王宮の庭の花々である。故に勝手につみ取って良いものではない。


驚いたフランツがカテリーナに聞いた。


「勝手につみ取って宜しいのですか?」


「一応、許可は頂きましたの。伯父様からはそろそろ植え替えようと思っていたから気にするなと言われましたわ。」


と頭を上げて答える終わると頭を下げてまた続きを編み始めた。




ものの数分で、花冠が完成した。


「できた!!」


というと、シャーロットの頭の上にのせた。


「カテリーナ!!!急にのせないでよ。」


「あら、シャーロットがさらにかわいくなったわ。」


と満面の笑みのカテリーナ。


もう。と言いつつまんざらでもない様子のシャーロット。



(やっぱり、殿下は気になって私の側に寄ってきたわね。いすに座っていると見づらいもの。)



いつかの夜の時と同じようにいつの間にか膝枕状態になった。


「全く・・・」


と言いつつ、気にせず編み続けているカテリーナ。編み終わって自身の頭に乗せ、手をハンカチで拭いた後、すかさずこう切り出した。


「少し髪をさわっても宜しいですか?」


「あ・・・あぁ」


と許可をもらって、無防備なフリードリヒの髪をさわり始めた。


(やっぱり、普通の髪とはなんだか違うような・・・)


寝返りを打った瞬間、外れかけた鬘がぽろりと転げ落ちた。


鬘の下からは日の光を浴び、金剛石ダイヤモンドのように光り輝く伽羅色髪が風にそよいでいた。


「・・・やはり、鬘でしたのね。シャーロット、見てご覧なさい。」


と、いすに後ろ向きに座っていたシャーロットは振り向いて、呼ぶ。


「えぇ・・・・あ・・・・カテリーナの言うとおり鬘・・・でしたのね。」


「???」


うつらうつらしていたフリードリヒは今の状況がまるで分かっていないらしい。


「あーあ・・・とうとうばれてしまったではありませんか・・・もう少し危機感をお持ちになられた方がよいと数日前にも申し上げたばかりではありませんか。」


フランツは目の前で繰り広げられている事態にあわてふためいている。


「シャーロット、これを見てどう判断するかしら??」


「・・・私の思い違いでしたわ。やはりあの方とは別人ですわ。あの方は地毛で真っ黒でしたから。」


「まぁ、何で鬘なのかは聞きませんが・・・だましたような形になってしまって申し訳ありません。」


と、鬘を手渡しながら非礼をわびたカテリーナ。


「あぁ、これですか。・・・地毛だと、ウィリア王国国内ではねらわれやすいのでそのままつけたままだったんです。


周りからも黒髪が地毛だと思われていたし、わざわざ言う必要もないかと思いまして。


特に気にする必要はないです。言わなかった我らこそだましたような形になったのですから。」


「殿下、一つお聞きしたいことがございます。黒髪に青みの強い菫色の瞳で


どなたかおしりではありませんか?


実はディーレ王国の王女シャーロット姫が、貴方様と髪色以外はほぼそっくりの人物に好意を抱いておられて、誤って婚儀を望んだと言うことが判明いたしました。


シャーロットの心を盗んでいった者のことをどうかお知りでしたらお放しいただけませんか?


どうか、情報提供をお願いいたします。」


と、丁寧にフリードリヒに尋ねた。



「そういわれましても、5年ほどウィリア王国には帰国しておりませんので・・・」


「そうですか・・・何か分かりましたらお知らせください。この夏、シャーロットはジザーニアへ行くそうです。その時にまた新しい情報が分かるかもしれません。」


と言うと、ピンパル夫人にカップ、ソーサー、スプーン、プディングの容器を下げさせた。


そうして、お茶会はお開きとなったのであった。

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