王宮に宿泊
「お父様、伯父様しばらく王宮に泊まっても宜しいかしら?」
広間で再びレオポルドを、そして玉座に座って広間を見ていた国王リベラートを見つけ、滞在の許可を頂くことにしたカテリーナ。
「かまわないが、どうしてだい?」
「ちょっと、シャーロットと夜の女子会をしようと思って。」
「そうかい。では、ディーレ王国王女様がお帰りになられるまでいたらいいさ。つもる話もあるのだろう。」
恰幅良く笑い国王リベラートは快諾した。
「そうですね。良いでしょう。」
レオポルドも同調した。
「ありがとうございます。伯父様、お父様。」
レオポルドもリベラートの近くまでやってきた。
「もう一つ。明日、お茶会を人数限定で開きたいのです。多くて4人です。」
「うん。急だけど中庭でするといい。」
「お茶菓子に料理長にカスタードプディングを依頼したいのです。」
「シャーロットの好物だね。式が終わったら言いに行くといい。」
にこにこ顔のリベラートとレオポルド。
「はい。それと、花輪を作ろうと思っているのですけれど。」
「そろそろ、次の時期に楽しむために植え替えるって聞いたから許可をもらいやすいと思うよ。」
「よかろう。」
一通り許可をもらってからシャーロットの待つテラスへと足取り軽く向かうカテリーナだった。
その夜、侍女に明日のお茶菓子の依頼をするよう言いつけ、自身は湯浴みをすませてから約束通りカテリーナはシャーロットの部屋を訪れた。
「それでね、私の知っている殿方はもう少しやせてて、瞳の色が紫色っぽい色だったのよ。そう-菫色-と言った方が良いような色だったわ。」
「何時、気がついたの?」
「18回目の協議の後よ。一緒に腕を組んでいたときに何となく違うなって思って。一番の決め手はあの方はカテリーナばかり見ていたから。」
「あぁ、あのときね。」
「だって、私の知っている殿方は私をそういう目で見てくれたことがあるんですもの。
変だと思ったのよ。あと、私の知っている殿方は影があったかな?」
「影???」
『あら、楽しそうねぇ。』
(ユリーナ様、しばらくシャーロットとじっくり話したいのです。)
『わかったわ。お父様とお母様に会いに行ってこようかしら?』
知の女神の声が消えた。
「寂しそうな、誰も人を寄せ付けない何かがあるような。それと・・・」
「それと?」
「今、カテリーナを追っかけている人は、3年前からずっとフィリアにいるって・・・一度もウィリア王国に帰ってもいないって。
あのとき聞いたの。
そして、夏にジザーニアになんて行ったこともないって冷たくあしらわれたの。
もしその方の話が本当であったのなら私、なんてことを。
恥ずかしいわ。そして悔しいの。」
ディーレ王国の女官たちがハンカチなどを差し出す。
自身の行動を恥、シャーロットは顔を両手で覆った。
「私の別邸に乗り込んできたフィリアにいる殿下について特徴を書き出しましょう。性格などを詳しく書き出せば何かわかるかもしれないわ。」
と言ってカテリーナは備え付けの机にこちらも備え付けの紙を置き、紙に特徴を書き出した。
シャーロットものぞき込む。
「んーっと・・・がっしりとした体格に少し癖のある短めの黒曜石のような黒色の髪、ラピスラズリのような藍色の瞳に背の高くて、服は自分で選ぶとセンスが悪い。
そして従者で女性がほっとかないくらい輝かしいフランツがいるっと。
あれ、何か忘れているような・・・あっ!!」
その時カテリーナは何か思い出したらしく顔を上げた。
「どうしたの?」
「あの人、鬘だった・・・!!!」
「え??」
「黒曜石のような黒い髪じゃなかったのよ。伽羅色の髪だったのよ。あのときビックリしちゃったわ。」
「まぁ!」
「おそらくは。ねぇ、あしたお茶会しましょうよ。その席に同伴いただければ私が証拠を見せることができるかもしれないわ。」
「それは実現できそう?」
「殿下は私のストーカーみたいな人だから、きっと近くにいるわよ。
この間違い裏がありそうだわ。」
「私、事実確認してくる。今年の夏に。
ウィリアへの入国はディーレ人の方がフィリア人よりも入国しやすいから貴女の代わりに行ってくるわ。」
「ただし、これだけは注意してね。本人を見かけても声をかけないで。
間者を使って彼が誰なのか調べ上げるの。これが大事だわ。」
「何故?」
「どこの誰なのかわからないし、シャーロットにねらいをつけたのか探るのよ。貴女、一国の王女だもの。恋心を利用して何か悪いことに荷担させられるわ。」
「ディーレ王国の力を利用?私がそんなことを許すと?」
シャーロット付きの女性たちがその声に反応し身構える。
「えぇ。国民のほとんどが魔法を使える国なんて珍しいから国家的に利用されたら・・・とても危険だわ。
シャーロット、夏が終わった頃、調べたことを手紙にルドゥーレ公爵家本邸に書いておくってね。」
「えぇ、送るわね。カテリーナの知恵をお借りしたいから。お休みなさい。」
興奮して眠れないのではないかと少し心配になりつつもおやすみと言って与えられた部屋に戻っていったカテリーナであった。




