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嫌われ王子と引きこもり令嬢  作者: 光森 璋江
第1部 第3章 令嬢の真実
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仮面舞踏会

「早速届いたようね。」


と、カテリーナは扇子を広げ、口元へ持って行きながら右手で招待状を確認した。


サロンに顔を出してから1週間ほど経った頃、仮面舞踏会の招待状が届いた。


ダーニャ伯爵は、ハロルドとエレーナの長兄で、王室の医師を務めている。


「で、こちらが、テフィン公爵様からの手紙ね。あら、ジョヴァンニが出席するって???」


ジョヴァンニは王太子の付き人をしている、カテリーナより2つほど年上の騎士だ。


宰相の嫡男で、大男。あまり性格は宜しくないのが玉に傷である。昔、カテリーナを怒らせて大変な目に遭っていた。


「面白くなりそうじゃない。仮面舞踏会。どんな仮面をつけていこうかしら。」


ぱちんと扇子を閉じた。




「兄上、カテリーナ様はお元気でしょうか?」


「兄上からの話によると、今度の仮面舞踏会にご出席なさるそうだ。」


「まぁ。カテリーナ様とうとう、社交界へ再び出て行かれるのですね。」


とたん、エレーナは笑顔になった。


「楽しそうだね、エレーナ。もしかして出たいのかい?それなら兄上に頼んでおこう。大丈夫、きっと招待状を頂けるさ。」


「宜しいのかしら?私も久しぶりの舞踏会・・・。楽しみだわ。」


「体調も良さそうだし、彼らは招待されていないらしいから、楽しんでおいで。」


「ありがとうございます。兄上。」




仮面舞踏会の当日。


朝からめかし込んできたカテリーナは、久しぶりの舞踏会に出席する。


今日のドレスは、藤色のぴったりとしたドレスで、しきたり通り髪をあげてこなかった。


仮面は、顔全面が覆うような仮面を用意した。


既に会場である、ダーニャ伯爵の屋敷へと着いていたカテリーナ。エスコートをする人物を、待っていると入り口付近からやってきた。


エスコートを頼んだ人物というと・・・


「姉貴~~~!!!」


「あっ、コンスタンティーノ!!いたいた!!」


「18回目の協議以来だね。・・・俺は叔父さんから頼まれたから来てやったんだ。」


「相変わらず口が悪いわよ。これじゃ、お嫁さんに来てくれる子いないんじゃないの?」


「いいの、ちゃんと来てくれるって。それにまだ、早いよ。姉貴。」


「・・・年増って、まだ私、15よ。貴方と1つしか違わないじゃないの。


普通、年増って20過ぎの女性に対するひどい言葉なんだから。王太子とあろうお方がそのような言葉を使っちゃいけないわよ。」


「いいの。俺より1つ多いから年増なの。」


「理由になってないわよ。」


「で、ハロルドとか言うにいさんは来てないの?」


「今日は来ないみたいね。ちょっとした理由があってね、今は一緒に住んでないし。」


「ふぅん。まぁ、いいや。とにかく楽しもう。」


いつも、コンスタンティーノの側にいて離れないジョヴァンニは今日はいない。


「ところで、ジョヴァンニは?いつも一緒じゃない?」


「おまえをエスコートするって聞いたら青くなっちゃって別の馬車で来るんだと。」


「まぁ、それでもフィリア一の怪力の持ち主と言われているのに。」


「どうも、アレがまだトラウマらしい。」


「もう幾つになったのかしら?いい年して。」


「カテリーナもカテリーナだろ。そもそも今までジョヴァンニが負けたこと無かったのに、あのときカテリーナがあっという間に伸してしまったのだから。」


「反省してるわ。ちゃんと謝ったんだけど。な・・・」


はぁ、と言って溜息をついた。




「カテリーナ様~~~」


仮面をつけていたものの、声で誰だか分かったカテリーナ。


「あっ、エレーナじゃない。大丈夫なの?」


「おかげさまで安定していますわ。兄上に頼んで私も久しぶりの舞踏会を楽しもうと思いまして。ハロルド兄上は、今日は来ないとのことでした。」


「エレーナ。またうちに来る?本邸だけど。」


「ハロルド兄上と相談して決めたいと思います。」


「そう、良い返事を待っているわ。」


「あら、あの方は・・・ジョヴァンニね。本当は仮面が無くても仲良くしたいのに。」


すると、ジョヴァンニの方から声をかけてきた。


「一緒に踊りませんか?お嬢さん。」


「えぇ、踊りましょう。それでは、またね。」


とエレーナに別れを告げてジョヴァンニと踊り始めたカテリーナ。


仮面をつけていたためか、目の前にいる人物をカテリーナだとは気づいていない。


きっと、カテリーナと踊っていたことを知ると1週間ほど寝込んでしまうだろう。




「ありがとうございました。」


「いいえ、こちらこそ。」


「また、踊っていただけませんか?」


「機会があれば、お願いいたしますね。」


と言って別れた二人。


(どうにか、足を踏まずに踊れたわ・・・経験なのかしら。ダンスって。)


と一人考え込むカテリーナ。


するとどなたか分からないが、声をかけてきて誘いに応じて踊ることとなった。




そうして、夕方5時頃からは始まった仮面舞踏会は夜が更けてからも華やかに盛り上がっていったのだった。

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