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嫌われ王子と引きこもり令嬢  作者: 光森 璋江
第1部 第3章 令嬢の真実
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サロンにて

「セザール様のバイオリンはすてきだわぁ~」


と、本邸につい汰翌日、5年ぶりのルドゥーレ公爵家のサロンへと足を運んだカテリーナ。


そこには既に数人のご婦人方と若い男性が一人。


そして、おそらく珍しくご婦人方の旦那様とおぼしき方々もおいでのようだ。


「お母様?こちらのお方は??」


「カテリーナは初めてよね。この方、バイオリン奏者のセザール様とおっしゃる方で、確か今はフィリア王国に留学されておられるの。今日は特別にお呼びしたのよ。」


「お初にお目にかかります。私はルドゥーレ公爵家長女カテリーナと申します。」


と丁寧に挨拶する。


「こちらこそ初めまして。」


「せっかくだから一曲弾いて頂戴な。」


「わかりましたわ。お母様」


とカテリーナは自分のフルートを持ち、一曲演奏して見せた。


ここは音楽を愛する者のサロン。皆何かしら楽器の演奏をする。


「美しい演奏だったわ。」


「うっとりしちゃった・・・わ。」


「腕上げたじゃない。さすがはルドゥーレ公爵の令嬢だわ。」


と鼻高々の公爵夫人。とご婦人方の賛美であった。


先の公爵様は、音楽の才能に長けた人物でもあり、剣の腕に関してもフィリア王国で右に出る者はいないと言うほどの剣豪でもあった。


つまり、文武両道の男性であった。少々性格に難がありそうではあったが。


「ではこれからは好きなように演奏を楽しんでくださいませ。」


と公爵夫人は言った。


すると、バイオリン奏者がカテリーナに尋ねた。


「カテリーナちゃんはフルートの他に何か演奏できるの?」


「弦楽器は出来ますよ。後ピアノとオルガンと・・・うまくはないけど、クラリネットやオーボエも少し。後はまだ勉強中です。」


カテリーナは本当はある程度すべての楽器を弾きこなせるが、自身の能力をひけらかすことはいけないことだと思っている。


「すごいね~。普通は一人1つくらいしか集中してしないんだけど。」


「お祖父様が少しだけ教えていただけですわ。まだまだ上手にならないと。」




所変わって、ルドゥーレ公爵家別邸。


「はぁ・・・」


「まだ、あのことを引きずっているのかい?フラン。」


「周りが勝手に騒いでいるだけですから。まだ自分の気持ちを伝えてないんですよ。」


「怪我の具合も心配だな。だが、案ずることはない。生きていればいつか会える。」


「殿下は勝手に押しかけましたけどね。しかもストーカまがいのことをしてから。」


「まぁな。一ヶ月近く一緒に暮らしたが私もまだ直接は伝えてない。まだ伝えられるほど仲が良いというわけでもないからな。」


すると、一通の手紙を取り出した。印には、フィリア王国国王の美しい取りの紋章が押してあった。


「ちょっとこれを見てみろ。この招待状、舞踏会の招待状だ。」


「私の分までありますね。と言うことは私達がここにいることを知っている国王陛下主催って事ですかね。」


「せっかくだから出てみるか。我が愛しの君も参加するだろうし。」


「エレーナ嬢が来てくれればいいのですけどね。無理でしょうが。」


彼らは、エレーナとハロルド、カテリーナの行方を捜した。


カテリーナは本邸にいることが分かったものの、面会謝絶。


ハロルドとエレーナはどこに行ったのか分からなかった。


((おそらくは、隠れ住んでいるのだろう。))




カテリーナは不安で仕方なかった。


なぜなら、若いバイオリン奏者はどこかで見たことのある人物によく似ているような気がしたからだ。


だが、バイオリンの腕はかなりのもので、このままにしておくのは惜しいように感じた。


他のご婦人方もピアノを弾いたり、クラリネットを演奏したり、二人で二重奏を演奏したり思い思いに演奏と曲を楽しんでいた。


夕方になり、今日のサロンはお開きとなった。




「ん・・・それにしても何者なの?セザール様と呼ばれてた男。何者なのかしら?」


サロン専用の部屋から自分の部屋へ戻る中、カテリーナは考え込んだ後、幾枚かの紙に何かを書き4つ折りにし、乳母のピンパル夫人に渡した。


「これを彼らに渡してね。お願いね。」


「分かりました。カテリーナ様。」


乳母が部屋を出た後カテリーナはぽつりと独り言をもらした。


「気になるわね。」


風の噂にも聞いたことのないセザールという男。


何のためにルドゥーレ家に近づいたのか仕事の忙しい当主に代ってカテリーナが調べ始めた。


「お母様は、鷹揚がよろしすぎて不安だわ。」


『ヴェロニカの良いところではあるのよね。』


知の女神はひっそりと相づちを打ちつつ公爵夫人をたてた。


そんな不穏な空気を一変させるような人物がしずしずとカテリーナの部屋にやってきた。


「お嬢様!!」


「ルーチェ!」


「ご無事でしたか?!」


「久しぶりね。」


「用事で王都を離れておりました。普段の様子は執事と称された方からたびたびうかがっています。」


「ハロルドに?」


「私は言いつけで別邸には行けず。」


涙を浮かべる侍女。


彼女はルドゥーレ家に引き取られた孤児で次女として住み込みで働いている。


そして、カテリーナの姉のような存在である。


『ルーチェ!私よ。』


「どちらでしょうか?」


『こっち、こっち!』


ふわりと姿を現した。


「女神様も相変わらず生意気なご様子で。」


『生意気は余計よ。貴女は忙しすぎて婚期を逃したそうじゃない?』


女神と令嬢と侍女は軽口をたたきつつ再会を喜んだ。

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