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嫌われ王子と引きこもり令嬢  作者: 光森 璋江
第1部 第3章 令嬢の真実
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告白と証言者

「貴女様は、『平和をもたらした女神』と謳われたマリーナ・サントリナ・グレーデ様というお方をご存じですかな?ルドゥーレ公爵令嬢カテリーナ様。」


「何故私の名を?」


「レモン色の髪に天色の瞳の美しい、皆に好かれる少女と来れば貴女様くらいでございましょう?


というのは冗談で、私は元ダーニャ伯爵の弟でございまして甥のハロルドと姪のエレーナが大変お世話になっているとお聞きしましたので。」


「なるほど、どおりで私の名をご存じだったのですね。せっかく本名とは違った名前を教えましたのに。」


「はい、存じておりました。では、話を戻しましょうか?」


そっと笑みをこぼすジャンニ。


少し焦りながら、思い出しながらマリーナという女性について語り出した。


「えっと・・・今は無きグレーデ公爵家のお方で確か、先代の国王陛下の王妃様で和平交渉においては右に出るものはいないというほど有能な方だったとは記憶しておりますが。」


「では、次にフィリアの王族の方々は守護神に守られておられるのをご存じですか?」


「えぇ、知っています。私にもユリーナ様、いえ知の女神様に守護をしていただいておりますわ。」


「グレーデ公爵家も王族でございました。マリーナ様は軍神アルデ様が守護神様でいらっしゃいました。


先代の国王陛下は音楽と慈悲の女神フィリー様が守護神でございました。


カテリーナ様には、軍神アルデ様、女神フィリー様そして女神ユリーナ様が守護神としておられます。


実はお一人に3柱もの守護神をお持ちというのはとても稀な事なのです。


普通、守護神は王族のみに一人に一柱なのですが貴女様は2つ以上の守護神に守られておいでです。


私は今まで生きてきた中でそのようなお方は貴女様以外お会いしたことはございません。」


「・・・おっしゃっておられる意味がよく分かりかねますが。


私の守護神は知の女神、ユリーナ様以外におられませんわ。


お二人は始めて守護神をなさる知の女神様の父神、母神でいらっしゃいます。


その関係でサポートをなさっておられるだけでございます。


時が来ればお二人は天界へお戻りになられると伺っております。」


「ほう。ハロルドには3が見えたそうですが、まぁそれは今回は置いておきましょう。


では少し昔話でも致しましょう。


先代の国王陛下が、とある和平交渉の結果の報告を伝えに来られた当時20前後で独身でいらしたレモン色の輝かしい髪にアメジストのような瞳のマリーナ様の艶やかさと美しいお姿に目を奪われてしまわれました。


思いは募るばかりでついにはマリーナ様を妃になさろうと画策なされた。


ちょうど、前の王妃様が亡くなられて久しかったこともあり周りからは婚儀を進める声が高まり、結局マリーナ様は周りからの圧力に負け、とうとうマリーナ様は王妃となられたのです。


しかし、当初その申し出にマリーナ様御自身はグレーデ家の事を考え、その申し出を頑なに拒否なさいました。


グレーデ公爵家には戦で出征し行方知れずとなられた御子息とマリーナ様以外のお子様はおられませんでしたので最後まで抵抗なさったそうです。


成婚当時、国王陛下は30を少し超えたあたりであり、少々病弱であったと記憶しております。


ですが、数年後お二人は一人の姫を残して流行病で崩御なさいました。


その当時、私の兄は-ハロルドやエレーナの父ですが-王家の医師をしておりまして良くお二人のことを存じておりました。


この話は、今は他国へ移住した兄から聞いた話なのです。


先ほどお話し申し上げましたとおり、国王陛下御夫妻には一人の姫がおられましたが、お二人の相次ぐ急逝の最中、生まれてすぐであった姫はそれ以来、行方不明となられました。


あれから15年ほど経ちました。


そして3日前、貴女様が来られたあの日私はとても驚きました。


これは運命なのかと。


国王陛下御夫妻が崩御なされたの姫のことが私はずっと気になっていたのです。・・・生きてお会いできるとは夢にも思っておりませんでした。」


昔のことを思い出したのか神官は涙を流した。


「ある方を通して国王陛下に伝えるよう申し上げました。


国王陛下にご報告致しましたら、『丁度良い、実の両親のことを話す機会じゃ』と申されましてお呼びいたした次第でございます。」


「つまり、ジャンニ様は私が先の国王陛下の姫様である・・・とそうおっしゃりたいのですね?」


驚きの色を隠せないカテリーナ。


控えていた神官から何やら耳打ちをされている。


「到着されたようですね。・・・私の証言の証人がございます。お入りください。」


と、神殿の出入り口の扉を開けて静かに中へ入ってきたのは、現国王陛下リベラートと現ルドゥーレ公爵レオポルドであった。


「お父様???いつも忙しいって言ってるのに。それと、いつの間に嫡男が生まれてるんですか???私、そんな大事なこと知りませんでしたよ???


そして、叔父様!!何故こちらに?執務や謁見など仕事が山積しているとか・・・早くお城へお帰りにならないと・・・」


大変なことになりますわよとカテリーナが言いかけたところで、そばの人物が


「久しぶりだね。カテリーナ。そんなに一度に話さなくてもいいから。


ジャンニ、一つだけ間違いがある。それは。」


『私たちは、末娘が初めての申し子を得ると言うことで居るだけよ。もうすぐこの子は成人の儀を迎える。そうなれば私たちは天界へ帰る事になるの。』


『別れは近い。だが心配ない。あの子はしっかりと責務を果たすだろう。』


「フィリー様、アルデ様?私が一生を終えるまでではないのですか?」


『我々にしかわかり得ない事情もあるのよ。もしアレッシオ達が生きていたのならもっとそばにいられたわね。カテリーナ。あぁ、アレッシオやマリーナにもこの美しく育った貴女の姿を見せてあげたかったわ。ねぇ、あなた。』


『どういったろう?お転婆娘に育ったと嘆くに違いない。』


「アルデ様?!」


『おや、うちの娘の話だ。レオポルド、話を続けよ。』


「はい、アルデ様。カテリーナ、君と会うのは4年ぶりだったかな?カテリーナに拒否されてばかりだったし。


育ての親としては寂しかったよ。


まぁ、心当たりは十分あるから仕方ないのだけれどね。


あぁ。ごめんごめん・・・、なにしろウィリア王国に行ったりなんたり、ヴィルフレートと和平交渉しに行ったり・・・あっという間に息子が生まれてから3年過ぎてたんだ。」


と手を合わせながら弁解したレオポルド。そして数歩カテリーナの方に近づいていった国王リベラートとレオポルド。


すると今度は国王リベラートが、謝った。


「・・・今まで隠していてすまなかった。カテリーナよ。」


「今更何を仰せになられますの?真実をお教えくださいませ!」


「軍神アルデに誓おう。・・・それはマリーナから亡くなる前に頼まれて、『娘に自由に思うとおりの生き方をさせること。


そして、姫として生きるより公爵令嬢で生きていた方が幾分自由に生きていけるからと。


そして私と同じ目に遭わせないで欲しい、望まない結婚はさせないで欲しい』と。」


なぜ、軍神アルデに近いと立てたのかと言えば軍神アルデは彼に対し誓ったことが嘘であった場合、死をもたらすとされている。


「何故?」


「それは、マリーナの遺言に背くことになるからじゃ。マリーナの遺言は『娘に自由に思うとおりの生き方をさせること。』だからな。」


「では、巷で噂されている先代国王夫妻の毒殺説についてお尋ねしても宜しいですか?叔父様??」


「それは断じてない!!でまかせである!!!それは、はっきりしておる!あの件についても。その時たくさんの者々がお二人が息を引き取るのを・・・。あぁ、我が。」


国王リベラートは最後まで言い終わらずに泣き出してしまった。


レオポルドも泣くのをぐっとこらえている。


「ではお父様にお聞きします。お父様は私が物心つく前からいろいろな国々へ私を連れて回ったのですか?」


レオポルドではなくリベラートが泣きながら答えた。


「おまえにはつらい時期であった。それに・・・な。


ま、まだマリーナが結婚する前、うっ・・・ルドゥーレ家と共に外交を任せていたのだ。


おそらくマリーナと一緒に回っているような気分を味わいたかったからかもしれん・・・。


それほどまでにカテリーナはマリーナに良く似ておるのだ。ひっく・・・」


その後、レオポルドがカテリーナに優しく語りかけるように答えた。


「カテリーナにいろいろと見聞を広げてほしかったからさ。


外交官としていろいろな国に行き始めたのは、イレーニアが生まれて1年くらい経った頃からだったね。


それから3年くらいは海外暮らしだったもんな。よく、夫人に怒られていたっけ。


ウィリア王国にも行ったし、ディーレ王国にも、エワーズ王国だっていったよ。覚えてる?」


「ぼんやりとは覚えていますが・・・」


「あっ、そうそう。これは君に返しておきたいんだ。


まだ、カテリーナには早いと思ってたけど、そろそろカテリーナも大人の仲間入りするんだし。


今渡しておきたいんだ。先代の国王夫妻から預かってたんだ。


これは、本当の両親が亡くなる間際までつけていた日記と遺品。君が持つべきものだ。」


とカテリーナは分厚い2冊の本と幾つかの小さな袋が入っていた大きめの革の鞄を手渡された。


「お父様、叔父様。私にとってどなたが実の両親であるかはどうでも良いことなのです。私のお父様はルドゥーレ公爵レオポルド様、お母様はルドゥーレ公爵夫人ヴェロニカ様です。それだけは、言っておかなければなりません。」


と、まっすぐにレオポルドを見てカテリーナが言った。


「事実を知ることも大事だよ。カテリーナ。」


と、優しく抱きしめたレオポルド。


「お取り込み中の所、誠に失礼いたしますが、何故カテリーナ様はルドゥーレ公爵家にて実施としてお育ちになられたのでしょうか?未だに分からないのです。」


と、おずおずとジャンニが尋ねた。


「そう、現国王の姫として育つか、グレーデ家に引き取ってもらうのが筋なんだけど、マリーナの遺言に従って国王の姫ではなくマリーナのお父上、今は亡きグレーデ公爵様に頼もうと思ったんだけど、グレーデ公爵様は、


『マリーナが王妃になったときからグレーデ家は断絶したのだから、忘れ形見をもらう資格がない』って頑固でね・・・。


で、たまたま結婚してまだ子供のいなかった僕の所に実の娘として来たんだ。


それくらいの子供がいても不思議じゃないって言うことと、マリーナの遺言通りにしたかったし、血縁的に近いって理由で。


カテリーナ、聞いてほしい。つい先ほど報告があった。君たちが住んでいた別邸でエレーナ嬢が何者かに2階の階段から突き落とされたらしい。ハロルドによると今も意識がない。あれからもう3日経つのに・・・」


「へ・・・?えっ???!!!」


「エレーナが???」


「わ・・・私すぐに別邸に戻ります。もう、意地を張るつもりはありませんので。ですので。あっ、それと社交界に戻りたいと思うのですが・・・それはまた別な日にでも・・・」


「うん、いつもの通りに手紙に書いてね。次はちゃんと返事を書くからね。」


「あっ、そうだ・・・、ジャンニ様。3日ほどではありましたがお世話になりました。」


とカテリーナは紙に幾らかの金貨を包んだものをジャンニに手渡した。


「そう、王族の女性が巫女になるときには特別な条件が必要です。


カテリーナ様にはその条件が合致いたしません。


おあきらめくださいませ。


大事な条件、それは古代リア王家の末裔にだけ課された条件。”守護神を持たない者。”


カテリーナ様には既に立派な知識の女神様が守護神としていらっしゃいます。」


受け取ったジャンニが柔和な笑みを浮かべて教えた。


「そ、そうなのっ??あぁ、それでは私は巫女になどなれるわけがないのね。


それならばすっぱりとあきらめが付くわ。でも、今まで誰もそのようなことを。」


そっと彼らを見守る2柱の夫婦。


カテリーナに優しげなまなざしをおくりながら彼らの様子を眺めている。


『おやおや。あの子は言っていなかったのか。』


『カテリーナの性格を考えてあえて言わなかったのよ。何が何でも希望を叶えようとする子だから。』


『そうだね。彼女がそれを願えばこちらが困る。』


すっと神殿から2柱の夫婦は消えた。


そんなことを知らないカテリーナはひとしきりうなりながら決断した。


「そんなことを言っているわけにはいかないわ。


エレーナの容態が気になるし。叔父様、お父様近いうちにまたお会いしましょう。」



と言って走っていくカテリーナを手をひらひらとさせながらレオポルトは見送った。


「大丈夫なのでしょうか?エレーナは・・・。」


「エレーナ嬢が目を覚ませば・・・大丈夫だとは思うってここに来る前、別邸に寄ったらハロルドはそう言ってたよ。


あっそうそう、カテリーナがここにいるって知られたら騒がしいから彼らには黙っておいた。


それは君と同じ考えだよ、ジャンニ殿。その判断は間違いなかったような・・・。


ではそろそろ、お城へ帰りましょうリベラート様。宰相殿が国中に捜索隊を手配する前に。」


だが、まだ泣いている国王はレオポルドの声が聞こえていないようであった。




カテリーナは一目散に別邸のある東の方面を走っていった。荷物が増えたためスピードは遅いが精一杯走っていた。


その頃太陽は沈みかけていた。

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