嘆願書の回答
「なんてことなの!!!」
「落ち着いてください、カテリーナ様。」
ここはカテリーナの部屋。
王命という名の返答があった。
『ルドゥーレ公爵領に於いて別邸に侵入した2人の所行は不問とし、滞在を許可する。』
とのことだった。
「何故、退去ではなく滞在許可が下りたのよぉ~~~~。」
よろよろとソファーに倒れ込む。
使者が帰ってから何度も読み直したがやはりかかれていることは変わらない。
「あのお三人方がつるむとフィリア王国の利害のみでしか話さないから・・・かしら?
国家的に殿下を支援しているとしか思えないわ。
また、謀られたのよ!!」
と頭を抱えたカテリーナ。
「心中お察しいたします・・・、カテリーナ様。」
「・・・ありがとう。ハロルド。」
開いていたドアからエレーナが急いで入ってきた。
「カテリーナ様、あの侵入者達どうなりました?」
「どうもこうもないわよ。」
「エレーナ。だめだ。滞在許可まで出てしまった。」
「まぁ・・・」
がっくりした様子のエレーナ。
「エレーナ・・・あなたもそう思う?」
「彼らのおつきの方々と、ちょっと・・・ございまして。」
「女同士の戦いって怖いわよね・・・触らぬ神に祟りなしってこのことかしら?用心なさい。関わると、とんでもないことになるわよ。」
カテリーナの嘆願書の返答は侵入した二人にも届いていた。
「さすがはフィリアの3匹の狸と称されるだけあるな。」
「次は、カテリーナ嬢が巫女になってしまわぬうちに事を運びませんと。」
そう、カテリーナは父レオポルトとの約束で、20までに結婚していなければ巫女になると宣言している。
何故20なのか。
フィリア王国では20を過ぎるといき遅れと言われる。
まぁ、完全な行き遅れというわけではないがだいたいの目安として男女とも『20までに結婚すべし』と言われているのである。
ただし初婚に限るが。
カテリーナはもうすぐ16。
タイムリミットまで4年はある。
それまでに彼女を引き寄せてしまわなくてはならない。
意志の強い彼女がおいそれとよろめき振り向かせる方法はあるのだろうか。
「あぁいつ見ても可憐だな・・・、エレーナ嬢は。」
勅令が出たことを聞いた後、2階の自室と化した部屋の窓から下の庭園にいるカテリーナとエレーナを見ていたフランツがぽつりと言った。
(最近知ったが、ハロルドとエレーナは兄妹でとちらも一度は結婚しているが何の因果かどちらも結婚して1年足らずで死別している。何故、彼らがあれほどまでカテリーナ嬢に尽くすのかも少し調べてみたい。)
人目をはばからず、恋しい人を見るような姿をしているフランツ。
(どうやらエレーナに興味を持ったらしい。彼は確か・・・)
端整な顔立ちで侍女達からの人気も高い。それ故に嫉妬やねたみもあるだろう。
たまたま、用事があって近くを通ったハロルドは、そんなフランツの姿を見て、いつか妹に危害が及ばないか心配するハロルドであった。




