花嫁修業の続き
「ですので・・・」
話を真剣に聞くカテリーナ。
話を聞き終わって師匠と呼ばれる女性が席を立った。
講義はこれにて終了という意味だ。
彼女が部屋を出てから思わず独り言がこぼれた。
「これを、イレーニアにもしたというの?」
「・・・おそらく。」
師匠と入れ違いにルーチェが入ってきた。
ティーセットを持って。
「早すぎるでしょ・・・いくら何でも。」
話の内容を思い出しながら頭を抱えた。
「・・・」
「花嫁修業というものはこういうことだったのね。」
「・・・」
カテリーナは自身のほほがあつくなるのを感じた。
「ユリーナ様。こんなことは一言も言いませんでした・・・ね。」
「・・・」
「別なことを学びましょう!!!」
「はい。ですが、お茶の後で。」
ルーチェが温かいお茶を出した。
一息ついた後、おもむろに机の上にどさっと本を出した。
「こちらになります。」
「こ・・・これは!!」
「はい。帝王学になります。」
「一度は見てみたかったのよね!!」
「もし、殿下に何かがあれば代わりに政務を取り仕切らなくてはなりませんから。」
「ルーチェ。予習しても良いんでしょ??ここにおいてあるのだから。」
「はい。師匠からは講義は明日からとのことでした。これが終われば後はポートレートを描いていただければ花嫁修業は終わりだとのことでした。」
「終わりなのね。」
「はい。」
夕食も終え湯浴みをすませたカテリーナは明日の予習を始めた。
長年知りたかった帝王学の本を読みふけっている間に朝が来た。
師匠が講義を始める時刻になっても目がさえていた。
幸せいっぱいの顔に師匠役の女性はなるほど・・・さすがは知の女神の申し子、カテリーナ様であらせられるなと帝王学の授業の時ほど強く感じた。
それからはカテリーナにとってはあっという間に感じた。
知りたいと思っていたものを知ることができ、かいつまんでの帝王学の講義ではあったが計7日ほどで終了となった。
「花嫁修業は思ったよりも長く感じられましたわ。」
「いえ。他の王女様が他の中では一番短い期間でございました。」
「そうなのですか?」
「えぇ。イレーニア様は3ヶ月ほどかかりました。」
ふふふと優しくほほえむ師匠。
「ご教授ありがとうございました。」
丁寧に2ヶ月の講義をした師匠に礼を述べた。
「さて、これからはポートレート作成になります。」
「いよいよ・・・ですのね。」
「えぇ。1ヶ月ほどかかる見通しだそうです。」
「そんなにもかかるのですか??」
驚くカテリーナに師匠はできあがるまでですよとコロコロと笑った。
そんな女性達の話し声が響くフィリア王宮の離宮にもまもなくさわやかな初夏の風が吹き込んでいる。




