開始
「これより、男性との接触は禁じられます。」
「はい。」
ここは、フィリア王宮の敷地内にあるとある離宮。
今日からおよそ2ヶ月程度の予定でカテリーナの花嫁修業が始まる。
その間、特別編成された女性だけの部隊によりカテリーナの警護が行われる。
「お嬢様。」
「どうしたの?ルーチェ???」
「何者かの気配がします。」
神妙な顔をするルーチェ。
「気のせいでしょう?」
『気を張っていた方が良いかもしれないわ。』
急に割って入ってきた。
あまりに急だったためカテリーナにしか聞こえない声で話し始めた。
「ユリーナ様?」
『あの馬鹿王子が何もしないで終わらせるなんてあり得ない。』
「ば・・・馬鹿王子??」
「・・・お嬢様?」
「何でもないわ。」
ささっと知の女神に問いかけた。
(ユリーナ様。)
『テオバルドとの婚儀を最後まで反対していたのは貴族の子息と言うことになっているけれど、裏で手を引いていたのは・・・コンスタンティーノよ。
それは、ただカテリーナのためではないの。
自分以外の候補者をけ落とすための方法よ。
彼は、未来の国王のいすを手に入れているのも同然だもの。
最後は権力を使ってねじ伏せる。
芸術の神の申し子だと侮ってはいけないわ。』
(ただの、姉弟愛でしょう?私は、コンスタンティーノと結婚する意思はありません。
それは折に触れて言ってきています。
それに、王妃様は私がコンスタンティーノの王位を横取りするのではないかと冷や冷やしているという噂まであるのです。
私の方が国民に好かれているからなのだそうですが。
あ・・・あくまでもハロルド情報です。国民に好かれようが何しようが彼らを守るのが私たちに課された責任ですから。)
『だから・・・ね・・・それはコンスタンティーノ以外の視点での話でしょう?』
(コンスタンティーノの好みは私と正反対ですよ?)
『貴女ねぇ。それは目くらましよ。ストレートにいえないお年頃なの。』
(まさかぁ。もうフィリア王立学校を卒業して成人の儀は終わったのですよ?)
『性格によるわ。』
(それでも、コンスタンティーノはただ、私に嫁いでほしくないマルティーノと同じだと思うのです。)
『違うわ。マルティーノはまだ幼くて寂しがり屋なだけよ。
前も言ったとおり、貴女に好意を抱いているのは間違いないの。
恋をすると、恋しい人を手元に置きたがるものなのよ。あの男同様に。
手に入れたいという欲望に駆られ、嫉妬し・・・ライバルをけ落とそうとしていろいろするの。
そういうものなの。
まぁ。そこは男女変わりなくあることなんだけれど。
貴女の周りの男達はちょっと異質だわ。
気をつけなさい。何が起こっても不思議じゃない。
私はそろそろ、あれのためにしばらくそばにいることができないわ。
きっとそのときをねらって何か仕掛けてくるはずよ。』
(考えすぎですって。)
延々話し合ってもカテリーナは信じられないでいた。
「それでは、今から講義を始めさせていただきます。」
昼をすませてから花嫁修業が始まった。




