婚約の儀
「見つけ出した対の指輪です。お受けいたします。」
「では、指輪を。」
カテリーナが、箱をルーチェから受け取り大衆の面前でフリードリヒの右手薬指に指輪をはめた。
これより少し前に、フリードリヒが求婚をした。
カテリーナの求婚を受けるとの言葉を受けて、すっと国王が玉座から立ち上がった。
「カテリーナをウィリア王家の元へ嫁がせる。ついては我が養女となり、花嫁修業を終えた後に婚儀を行うこととする。」
高らかに国王が宣言した。
国王リベラートの目の前、そしてたくさんの貴族達が立会人となりカテリーナとベルンハルトが婚約した。
雲一つ無い快晴で太陽が春の陽気を運んできていた。
天界ではその様子をほっとしたように眺める3柱の姿があった。
『これでまた一つ条件がそろったわね。』
『うむ。』
『このまま順調に進めばいいのだけれど。』
『おぅおぅ。』
『貴方。もう少し気の利いた言葉を。ふぅ。後は妨害に遭わなければの話ね。』
『・・・言うことがない。』
妻にささやき消えた。
彼は軍神アルデ。勇ましい武具を身にまとっている。
妻と末娘は古代リア王国の服装を身にまといキラキラと輝いていた。
『妨害?』
『神々を統べる偉大なる神がその都度妨害を・・・』
『お祖父様・・・か・・・』
『私たちが逆らえない、唯一の神。お父様に対抗できるのは神々が力を結集させたとき。』
『はぁ・・・なるほど。』
『以前も良いところまで行ったのだけれど妨害に遭ってしまったわ。』
『エルマの時ね。彼女も神々からの加護を多くいただいていたとか。』
『そう。もう一息だったというのに。惜しかったわ・・・』
『カテリーナの力だけではだめだわ。私たちでカバーするしかない・・・でしょ?』
『あぁ。我が娘よ。貴女の申し子が今、婚約したのよ。そばにいずとも良いのかしら?』
『まだ、大丈夫よ。きっと。』
『・・・これからが。』
ほおづえをつきながら末娘を見た。
『そのための準備はできている?』
『神々からの加護はばっちりもらったわ。後は・・・』
『大地の女神様だけ。』
『・・・お母様からの加護を是非ともいただきたいわね。』
『えぇ。それと・・・ウィリア王国ではもう一つ気になることが。』
『気になること?』
『私が、小耳に挟んだことを調べてみたら王家の女児が生後半年経たずして亡くなると。呪いだと言っていましたが。』
『お父様・・・の仕業ね。』
母子は天界から様子を見ている。
そして、これからのことを話し合っていた。
婚約の議も大詰めとなった。
「王子、カテリーナに指輪を。」
「叔父様。」
すっとカテリーナが今まではめていた手袋を外した。
「既に受け取っております。」
「なんと。」
驚いて玉座からずり落ちそうになる国王リベラート。
「「「おめでとうございます。」」」
その場にいた全員からお祝いの言葉を口にした。
そして、なぜか万歳と拍手が鳴りやまなかった。
そんな華やかな婚約の儀を影から見る者が一人。
(絶対認めない。いや、妨害してやる!!)
一人の青年がじっと息を潜めて計略を練っている。




