大規模捜索
「見つからないわ。どうしてなの?」
『おかしいわね・・・』
翌日から、グレーデ家本邸、および所領の屋敷を徹底的に探すことになった。
5つほどの所領にある屋敷も人を使って探させ、各机の中から隠し通路の有無、クローゼットの中、カーペットの下、地下室に至るまでくまなく探したものの、めぼしい成果はなかった。
一度、客間に集まろうと声をかけてくれたサンドロに続いてカテリーナも客間にやってきた。
「どこなのかしら?」
「手分けして探しているけど・・・姉さんが使っていた机もみてみようか。」
『そこ、最初に見たでしょ?』
「みたけどさ・・・万が一ってことも。」
『私を信用できないって??』
『なぁ。屋敷の中じゃないんじゃねぇ?』
『兄さん。そんなこと言わないで協力して!!』
『へいへい・・・』
「まぁまぁ。仲良く、仲良く・・・」
サンドロの守護神も協力してくれることになった。
探し始めておよそ7日後。
ようやくグレーデ家本邸も探し終えた。
「ないようだね。」
「はぁ・・・無駄な労力だったようです。」
別の部屋を探していたルーチェも疲れ果てしまい、ぐったりとしている。
服や髪には埃が多数付着していた。
「申し訳ありませんでした。7日もかかってしまいましたのに何の成果も出せず・・・
叔父様やお父様、ほかの貴族の方々にもお礼をしなくては!!」
「いやいや。大掃除にはもってこいだったし。ウィリアとの婚儀は政略的なものだからこれくらいしてもいいだろう。」
深々と頭を下げるカテリーナ。
そんな姪に頭を上げるよう促すサンドロ。
頭を上げて、思い出したことを言ってみた。
「ほかの屋敷も探してみます。」
『ほかの屋敷はレオポルト達が探し終えてしまったわ。なかったって聞いたでしょ?』
「ですが・・・」
そうだなぁとサンドロがフィリアの地図を広げている。
「あとは・・・」
『後は・・・???』
「あそこだな。」
「あそこ・・・?」
「現ルドゥーレ家別邸だ。」
指した先は、ルドゥーレ家の別邸であった。
『あそこはカテリーナが5年間別邸に引きこもっていた屋敷よ。』
「そうなのか?何があったんだ?」
「いいえ。たいしたことでは。」
心配そうにカテリーナを見るサンドロ。
やがて寂しげな顔をした。
「5年も引きこもるとは・・・尋常ではないと思うが。」
『まぁ・・・ちょっと言いづらいわよね。』
「ユリーナ様!!」
「なんとなくわかったから、詳しくは聞かないでおこう。」
「叔父様?」
『あら?いいの?』
「うん。ちゃんと引きこもりから脱したわけだし。」
「まぁ・・・はぁ。」
「ふふ。知の女神と仲が良いんだね。」
「ま・・・まぁ。そのように見えますか?」
「うん。アデリーナと美の女神よりは仲が良さそうだ。対の指輪は知の女神が言うのだからきっと見つかるさ。」
「アデリーナ様のことをご存じなのですか?」
「そりゃ、従姉だからね。」
鼻歌を歌いながら別室から一冊の本を持っているサンドロ。
ぱらぱらとページをめくっていく。
最後の部分を机の上に広げて見せた。
「この本は捜索する前にもらった本だ。見てごらん。
・・・きっと父上が書いたものだろうね。筆跡がにている。」
「お祖父様・・・?」
見たこともない実の祖父。どんな人物だったのだろうか。
筆跡を見る限りかなり几帳面な人物のようである。
「父上も姉さんもいないんだね・・・最後の部分、君のことはかけなかったんだろう。」
「書かなかったのではなく、かけなかった?」
「そう。嫁いだ先の孫、外孫だからだったんじゃないかな?」
「そうですか。」
「どうかした?」
「幼い私を引き取らなかったのはなぜだったのだろうかと。」
「父上に聞ければ良かったんだろうけど。」
優しくカテリーナの頭をなでた。
「じゃあ、ルキーノにはもう伝えてあるから。レオポルト達には捜索打ち切りって伝えるからね。」
サンドロは大きく手を振って馬車で移動する姪達を見送った。
今から向かうのは元グレーデ家別邸。
そこは今やルドゥーレ家の別邸として使用されている。
まだ、ルドゥーレ家が所有すべきかグレーデ家が所有すべきか議論が終わっていない。
現在はルキーノがイルダと料理人2人とカミッロと暮らしている。
別邸に行くとそろそろ本邸に移動しようとしていたらしく荷物がまとめられていた。
「イルダ。久しぶりね。」
「お嬢様。話はお聞きました。お探しのものが早く見つかるとよろしいですね。」
「えぇ。まだルキーノ様のところにいるの?」
今までにあったことなどをエントランスで話しているとルキーノがやってきた。
「やぁ。ここも探すのかい?」
「はい。」
「見つかると言いね。」
などと少し話をしてから、再び捜索をした。




