招待状
「長らくかかったな。」
あれからどのくらいかかったのだろうかとぼんやりと考えている。
廊下で外を眺めながら急いで歩いてくる男に目をとめた。
「殿下。」
「フラン。どうかしたのか?」
「隊長からこんなものが。」
フランツから一枚の紙が渡された。
それを見るなり顔色が見る見ると青ざめていく。
「なんじゃこりゃぁ!!!」
「な・・・なんと書いてあったのですか?」
「”おまえの婚約者予定の娘も招待したからがんばれよ。”と将軍が仰せになられたと。」
「あれにお呼びするのですか?」
男ばかりの軍部のパーティーに女性を呼ぶなど前代未聞である。
なので、フリードリヒも、フランツも驚いている。
さらに、この発言でここでプロポーズしろと言わんばかりのシチュエーションまでお膳立てするつもりのようである。
「よ・・・余計なことを・・・!!!」
変に力を入れたため、紙がぐしゃぐしゃになっていく。
「殿下。落ち着いてください。」
「これが落ち着いていられると思うか?」
「は・・・最高のプロポーズをなさってください。」
ぽんと肩をたたく。
「他人事だと思って・・・フラン!!」
先にかけだした従者兼友人を追いかけた。
同じ頃、ルドゥーレ家では不審な手紙が届いていた。
「お嬢様。このようなものが届きましたわ。」
ルーチェが今し方来た分厚い手紙のようなものをカテリーナに手渡した。
「これ・・・なにかしら?」
「さぁ?」
おそるおそるあけてみた。
「これ・・・何かの招待状のようね。」
「招待状ですか?」
「この時期に招待状なんて・・・」
たいていこの時期には舞踏会などはないはずである。
訝しげに手紙を読む。
内容は、至ってシンプルに特別ゲストとしてお招きしたいとのことであった。
「差出人は・・・え・・・???」
「どうなさいましたか?」
差出人の名前を見たカテリーナは開いた口がふさがらなかった。
取り落とした手紙をルーチェが拾い上げた。
渡す前に、ルーチェも差出人の名前を見た。
「まぁ!将軍からですか。」
「面識のない私になぜこのような招待状を?」
「どのような意図がおありなのでしょう?」
「このパーティーにでなくては・・・いけないわね。
言ってどうして私を呼ぶことになったのか調べなくては。
何か良からぬことを考えているのやも知れないわね・・・」
深刻そうな顔をしていると、場の雰囲気とがらっと変わった明るい声が聞こえてきた。
『楽しそうねぇ。』
(急になんですか?)
『まぁ。そろそろ良い返事をしてあげなさいよ。』
(良い返事ですか?)
『そうよ。貴女・・・』
少し考えて何のことだかわかったらしく、えぇ。そうですね。と知の女神ユリーナを見た。
(そういうことでしたか。わかりましたわ。)
うつむき加減にしていた顔を上げ、にっこりとした。
「出席すると伝えてね。ルーチェ。」
『さすがは私の申し子だわ!!』
すると知の女神ユリーナは消えた。
(本当に神出鬼没な・・・)
カテリーナは忙しいご様子ですこと。とつぶやいた。
カテリーナがもう一度手紙に目を通すとパーティーは10日後に行われるとかかれていた。
ルーチェは、手紙をカテリーナに渡すと、すぐさま執事にかれこれのパーティーに出席なさると伝えた。
カテリーナが手紙を受け取ってから半日後には将軍の元に伝えられた。




