村人達
「皆様おそろいでっ!!!」
平伏する男。
彼がジュリアーノとアンナの羊を共同で世話をしてくれている人物だ。
ここの領主であるルドゥーレ家一家が訪れることを知らずいつものように作業をしていた。
驚きの顔をしながら一家を見ている。
おそれおおいものを見ているように目線は合わせずに。
「顔をあげて。ほら。」
「は・・・」
「共同で飼育しているのだから。」
ぽんと肩をたたくジュリアーノ。
「い・・・いえ。」
「多大なる負担をかけてしまったな。」
「恐縮でございます!!!」
男の額に汗がにじむ。
そのようなねぎらいの言葉をかけられるとは思っても見なかったことで
不思議そうな顔をしている父親の手伝いをしている娘。
「領主様がお見えだっ!」
「え?」
遠くて聞こえないらしい。
父親の近くにいた立派な服を着た面々を見てなんと言っていたのかおおよそわかったらしい。
「母ちゃん!!!」
娘は母親やほかの村人達を呼びに行った。
「ま・・・まぁ。」
母親も子供達も皆平伏している。
それだけでなく村人全員が彼らと同じように頭を下げている。
「世話をかけているな。」
「い・・・いえ・・」
皆を代表して村長が答えた。
背後にいた二人の息子を呼んだ。
「レオポルド。ルキーノ。」
「「はい。」」
「彼らを守るのも我らの役目だ。そのことをふまえて生きていってほしい。」
「「はい。」」
「もちろん孫達もだぞ。」
イレーニア達を見て真剣なまなざしを向けた。
そして、村人達に優しい笑みを浮かべながら言った。
「急に来て済まなかったな。いつも世話をかけているものだから、礼を言いにきたのだ。」
それから、領主の館にてレオポルド達は1週間ほど滞在して王都へと旅立っていった。
その間に、夫人にピンパル男爵が別邸にいることを伝えた。
しかし、元ルドゥーレ公爵夫妻は元の生活を再び営むため、馬車で、猫たちと犬を連れて迷いの森へと帰っていった。
カテリーナはこの旅で、村を訪れ眺めた美しい景色を胸に焼き付けていた。
秋頃に来たときよりも、より美しく芽吹き始めた生命力を肌で感じ取ることができた。
おそらく二度と目にすることができないであろうことが残念に思えた。




