凱旋
「お父様一行が帰国するのね。」
「そのようです。」
ハロルドは短く答えた。
カテリーナたちが帰国してからおよそ3週間後。
フリードリヒとコンスタンティーノとは王宮殿で分かれて以来顔を合わせていない。
フィリアでは戦に勝利したことでお祭り騒ぎとなっていた。
「そうね。これで国が一つにまとまればいいのだけれど。」
「大丈夫ですよ。元々割れていた原因は、あの土地問題が起因でしたから。」
「だと良いのだけれど。」
「それにしてもご無事で何よりでした。」
「ハロルド。貴方たち兄妹のおかげなのかも知れないわね。」
「はぁ?」
「貴方に変装した殿下とエレーナに変装したコンスタンティーノがいたのよ。」
「そうですか。そのお話は別の機会にでも。ところで、侍女殿方は?」
「あ・・・それがね・・・」
ルーチェたちについて詳しく話そうとしたところ部屋に入ってきた若い女性。
「カテリーナ様!!」
喜びに満ちあふれたエレーナであった。
「エレーナ。心配したでしょ?」
「フランツから無事だと聞いたときには泣いてしまいましたわ。」
「その口ぶりだとフランツも無事にフィリアに帰ってきたみたいね。」
「はい。カテリーナ様のお帰りの3日ほど前のことでしたわ。」
「毎日毎日あの男の話ばかり・・・」
「まぁまぁ。ハロルド、聞きたいことが。テオバルドのことなんだけど。」
「エワーズですね。あそこはフィリアに編入されるそうですよ。」
「「え???どういうことなの?」」
「どうもこうも、イレーニア様の婚儀を破断したうえ、ヴィルフレート側からの圧力によってしたことだと言い訳ばかり。そのことを国王陛下に報告したところ、すぐさま別の使者を立てて編入するとお怒りでした。
おそらく、凱旋されたのは全体の半数程度かと思われます。
今のエワーズは赤子の手をひねるくらいなものだと聞いております。
元々、古代リア王国の所領でしたし、彼らの先祖がそこを独立させたのが崩壊の始まりだと言われています。ましてや代々良好な関係を保ってきた我々から背を向け、新たな勢力のヴィルフレート側の言いなりになったあげく寝返ったわけです。
といっても、古代リア王国の王族の血縁ではございませんし・・・。
今までの友好関係をないがしろにする行為を許すほど寛容な国王陛下ではございません。
エワーズはさほど大きな土地でもないですし、この際編入しても問題は無いと思いますよ。」
「それで、テオバルドたちはどうなったの?」
「今、エワーズの王宮殿にいらっしゃるそうです。おそらくフィリア軍が包囲していて身動きがとれないでしょうし。さほど時間がかからずエーフィル家の皆様はフィリア王宮に連れて行かれるでしょう。イレーニア様との関係は後日決めるそうです。」
この話を聞いたら、イレーニアはどう反応するだろうかとレオポルドの帰国の喜びが半減したカテリーナであった。




