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第4話 話と麺は伸びるもの

(天音)「未露、泣かないで」


(未露)「天音……天音ちゃ……、天音ちゃあああん……!!!」



 一回転げた後、少し擦れた手など一切気にせずに未露は天音に抱きついた。久々に感じた人の温かさ、それを全身で感じとる。ぎゅっと強く抱きしめる未露に反して、天音はふんわりと優しく包み込むように抱きしめた。



(未露)「天音ちゃ……ん……うぅ……」


(天音)「未露……、帰ろっか。お昼まだだもんね」



 帰り道、未露は天音に泣きじゃくり、しがみついたままゆっくりと歩いた。その未露の速度に完全に合わせて歩く天音。



(天音)「(これ相当……、いや……、考えるのはやめよう……)」


(未露)「天音ちゃあん……うぇえん……」


(天音)「……、お昼家で食べる?それとも……外……、家で食べようか。私も付いてっていい?」



 外、その言葉を口にした瞬間、天音の腕に強烈な痛みが走る。未露が無意識のうちにしがみついていた天音の腕をさらに締め付けるように力を込めた。痛みを感じながらも頭を撫でて、笑顔で天音は未露を癒す。笑顔で接してくれる、それが何より未露にとっては嬉しかった。



(未露)「い、いいよ……、あ、でも家……、何もない……かも……」


(天音)「そう?じゃあ材料だけ買ってこう。私が作ったげる!」


(未露)「……、ん、わかった」



 それから未露は家に帰るまで一時も天音の側から離れる事はなかった。【人のそばに居ること】、何ら変哲もないこの行為自体が、この時の未露にとって耐え難い苦痛だった。それでも尚、昔守ってくれていたという思い出が、未露を天音に縋り付かせる。



(天音)「ここが未露の家か……、引っ越してないんだ」


 

 未露の家に着いた天音は少し心を痛めてしまった。未露の家は2階建てのアパートの1階の端、両親と住んでいた部屋だった。そこから、引っ越してないということもそうであったが、何より家の中に物がない。正確に言えば、敷布団と机がある。それ以外本当に何もなかった。


(未露)「うん……、引っ越しはちょっとね……」


(天音)「……、そっか。よぉし、お昼は天音お姉さんが腕によりをかけて作っちゃうぞ!」


 

 天音が台所で色々漁るが出てくるものは箸とコップと皿が複数枚、それだけだった。



(天音)「(何もなさすぎる……)、未露、普段ご飯どうしてるの?」


(未露)「あ……、その……、いつも給食だけ……」


(天音)「え?お休みの日は?」


(未露)「あ……、えっと……、あれ……?休みの日は……」



 未露は唐突に涙が溢れ出てきた。慌てて天音は未露を抱きしめ頭を撫でる。



(天音)「ごめん……、ごめんね。辛いこと聞いたね、言わなくていい、言わなくていいから。思い出さなくていいからね、……、カップ麺食べよっか。買ってきててよかったね、一応小さな鍋もあるしお湯は沸かせるもんね」


(未露)「……ん」



 お湯を沸かしてカップ麺が出来上がるまでの時間、天音は床に座ってくつろいでいた。未露も同様に座っていたが、何やら頭がしきりに動き落ち着きがなかった。



(天音)「どうしたの?お湯は入れたばっかだよ」


(未露)「あ、いや何でも……、えっと……、えっとね……、天音ちゃんは……、味方……、だよね……?」



 味方のふりをして近づいてきた人は何人もいる。その数だけ裏切られてきた。いくら信じたくても、やはりどこか信じられないのはそのせいなのだろう。しかし取り繕うように笑う未露に、天音はデコピンをした。



(天音)「無理に笑わない。全く……、……魔女のさ、話は色々知ってるよ。ニュースにもなるし、調べたこともある。未露、信じられないなら信じなくて良い。味方かどうかは君が決めたら良い」


(未露)「……、天音ちゃん……!」



 未露が何かを言いかけた時、ケータイでセットしていたアラームが鳴った。


(天音)「あ、もう食べられるね。未露、続きは食べてからにしよう。麺伸びちゃうよ」


(未露)「……、うん……、……えへ」


お疲れ様です。洋梨です。


ギリギリ更新出来ました。ひゃっほう!です。

何が難しいって、登場人物の行動ですよね。元の作品とは別と考えていいかもしれませんね。天音と未露が出会うの放課後だったのに、昼になってるし。

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