9・デイジー
3人でヒナの家でサラミとトマトのビザを食べていると玄関からノック音がする。
「はい?どちら様かしら?」
「夜分に申し訳ございません。ピアノと言う者です」
ドアを開けると女の後ろに2人の男が居た。
「それで?」
「道具屋のワカさんか妹さんに聞きたいのですが、姉妹から何か預かってませんか?」
「いや、何も?例えばどんな物?」
「記憶の円盤とか?」
記憶の円盤は直径10センチ程度の丸板の魔導具だ。
「いや、無いぞ?」
「・・・では本当かどうか探させてもらう」
後ろのやつが家に入ろうとしたところをヒナが蹴飛ばした。
「ローリー殺れ」
後ろの奴が命令した。
ローリーだと?姉妹を灰にした奴らか?
剣を抜きかかってきた。
速い!
こいつAクラスじゃ無いか!間違いないぞ!
切られる寸前ヒナに蹴飛ばされ転がる。
危なかった。ギリギリセーフだ。
一応俺はBクラスなのだが追いつかない。
敵が10人位に増えた。
「おいおい!どっから湧いてくるんだよ!」
ヒナが長剣を振るって2人沈める。
「ん?ザジでは無いな、女!おまえは誰だ?」
集団に黒い固まりを投げつける。
白髪の女が立っていた。
「私はデイジー」
『!!』
「デイジーだと!?」
「面白い!伝説のクラウンとやってみたかったんだよ!」
突然デイジーが飛び下がり、俺の横に来てキスをする。
「ん!?、ぐっ!何飲ませた!」
「はい、これ」
長剣を渡された。
デイジーは腰のショートソードを抜いた。
「手を出すな!コレは俺の獲物だ!」
ローリーが仲間に怒鳴りつけツーハンドソードを構える。
デイジーに何か飲まされ一瞬ぼーっとする。
(あぁそうか・・・俺は・・・)
だんだん意識がはっきりして来た。
全て思い出した・・・
左右の腕のリストバンドを外しローリーの後ろのリーダーらしき者に放った。
男を庇うようにピアノと呼ばれたクラウンが前に出てリストバンドを受け止めた。
「グッ!何これ!」
床に座り込んだまま起き上がれない。
後ろの男がピアノと言うクラウンが持っているリストバンドを取りあげる。
「ん!?、・・・貴様コレを付けていたのか?」
男を向かって足首に付けていたアンクルバンドを投げる。
男がよけ、バンドが地面に鈍い音を立てて転がった。
俺はそれと同時に踏み出した。
ローリーの左手首を切り倒し、周りのザコの首を刎ねた。
リーダーの男とクラウンは下がって避けた。
この男Sクラスのようだ。
手の長剣からは血が滴っている。
デイジーの方は俺がローリーの手首を落としておいたので簡単に決着が付いたようだ。
さて、残りはこの男とクラウンだけだ。
「貴様ザジか!?」
「・・・さあ?」
長剣の柄の右側の目貫を前にズラしロックを外す。
この剣はギミックになっている。
柄が割れ幅広の刀身が左右に分かれていく。
左右にそれぞれの剣を持ち大きく広げる。
「おう!鷹の羽か!!」
右の剣で男を突いた。
クラウンが男を庇い身体を貫かれる。
俺は剣にクラウンが刺さったまま、そのまま構わず男を突きに行く。
男がその剣を叩き落とす。
と同時に左の剣で男の首を撫で切りに斬った。
吹き出す血の音が鷹の鳴き声のように夜の闇に響いた。




