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11話 ニート神は司る



「……何をしてるんでしょうね、俺」



 今さっき超演技が切れたのはあなたの気まぐれな性格のせいなんですが。何ちゃっかりこの尋問室みたいな部屋に呼び出してるんだ。


 悪びれもせずに呟いたアス様。


 段々とムカついてきたので、僕は取り敢えず後転して胡座枕状態から抜け出し、少し睨んでやった。



「まーまー、そう怒らないでくださいよ……。さっきのは冗談です。今回はれっきとした理由がありますから」


「理由……??」


「ハイ。せっかく転生したのに、コチラ側の事情に巻き込んでしまったようで……本当に申し訳ない。

その辺は、たぶん、俺のせいなんで」



 視線を落として頭を下げる。

 事情、というのは、僕の両親を殺した、あのドゥエリとかいう死神眷属の事だろう。こんな適当なアス様が?? 信じられない光景だ。



「気にしてません。あ、頭を上げてください」


「え、親を殺されたんですよね? まぁ君が良いなら」



 あっさり頭を上げて僕に向き直った。


 あれ、この神本当に謝る気があるんだろうか。僕はそれはとても疑わしくなった。アス様は信用しないようにしよう。

 こんな事を考えていても話が進まないので、気持ちを切り替えて気になった事を聞いた。



「それより……死神、って何ですか?? 何かアス様と因縁があるようでしたけど……??」



「まず我々、神というのはそれぞれ司るモノがあるんです。俺の場合は“暗神”。魂そのものを司ってます。

ほら、リツィルさんのギフトにも【不老不死】ってあるでしょう?? そういうのは特殊ギフトといって、俺しか与えられないギフトなんですよ」


「マジですか」


「で、死神というのは、俺がサb……じゃなかった、仕事を任せるために創った神達。その死神の弟子が死神眷属というんです。リツィルさんを襲ったドゥエリとやらはその1人なのでしょうね」


「マジですか」


「なぜかはわからないんですが、ここ数千年間恨まれ続けているみたいでして」


「マジ……ですか」


 


「何だか壊れた機械みたいなリアクションしてますけど…………大丈夫です??」




 いや魂を司るて、どんだけだよ。思ったよりすごい神だったんだな。いや全くそんな感じしないけどね。


 この話を整理すると。


 あのドゥエリって女、この神がサボり魔ニートだからその八つ当たりでアス様に関係のある僕を狙った……って事か??


 しかも多分、無自覚でサボり魔なのな、この神。



「と、いうことは、また狙われる可能性がある、ってことですよね…………」


「ああ、それなんですけど…………リツィルさんには頼みたいことがあるんです」



 珍しく真剣な表情で僕の目を見たアス様の雰囲気に呑まれ、僕はごくりと唾を飲み込んだ。



「頼みたいこと、ですか??」



「まあ、君を手助けしたいのはやまやまなんですが、俺はこう見えて忙しい身でね?? どうやらその死神達、最近魔王と共謀しているようでして…………この前のように、彼らを殺して回って頂きたい」



 アス様の声が、一段と低く聞こえた。

 整った顔に影が落ちる。


 というか忙しい身なわけないだろ!! この前マルチやってたじゃん!? そう叫びたい言葉を飲み込みながらも、そのアス様の発言に啞然とした。



「……仮にも男神ともあろう神様が、殺すとか言っちゃっていいんですか?? あと僕目立ちたくな」


「そういうことですから。ああ、再び神の世界に踏み入れたせいか、ステータスが大幅に上がっているみたいですよ??」



「はあ…………わかりましたよ。やればいいんですよね?」



 僕の意見を聞くつもりはなく、拒否権はないのだろうな。うん。ステータスの上昇は前払いの報酬とも取れるな。

 アス様は困る僕を楽しむようにちょっとだけ笑うと、手を翳した。



「助かりますー。

では、元の場所に戻っていただきましょう。えー、第二の人生をどーぞお楽しみ下さーい」



 軽く紋を描くと僕は大きな魔法に包まれる。次に僕が目覚めるのは────、


ギルドにある宿の一室だった。


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