牙と牙

　戦いの果てに道はあるのか
　殺し合いの先に夢はあるのか


凍て刺す氷原の帝国、フロスト。
焼き焦がす砂漠の王国、ハザール。
惑わす森の連邦、ミーソン。

三つの大国が交錯し、大陸は悠久を越えた争乱の舞台となる。
その狭間に彷徨う一人の影。
血と陰謀と狂気の糸に絡め取られ、数多の命が、凍え、燃え、散りゆく。

握りしめた拳から零れ落ちるのは、
冷徹なる殺意と血で塗れた禍々しき正義。
刃はただ虚無を切り裂き、憎悪の連鎖を深く刻み込む。

無数の命が、数えきれぬほど散ってゆく
生は無常の如く儚く、
今日の勝者も明日は亡者。
誰一人として救われることはない。
婦女の腹は切り裂かれ、赤子の腕が宙を舞う

悲哀が心を苛む。
正義と悪は静かに崩れ去る。
叫びも嘆きも、遠く空へと消え、
汚物と腐臭に塗れた肉は地の底へと吞み込まれる。

善も悪も、英傑も凡夫も、
ただ無常の流れの一滴に過ぎず、
世界は死の詩を繰り返すのみ。

張り巡らされた陰謀が民を翻弄し、
憎悪と殺戮が連鎖する。
無垢な魂は赤い痕跡となり、
夜風に解ける煙のように消えゆく。

すべては永遠
すべては刹那
すべては光明
すべては常闇
ただ残るのは、終わりなき破壊の輪廻

終焉か、始まりか。
白か、黒か。
神の子か、怪物か。


　答えてくれ
　俺は正しかったのか