鴎の逃避行Ⅱ 晩年編Ⅲ
海辺が好き。
海が好き。
1890年8月から11月長期航海旅行からほとんど毎年のように旅行に出ていたわ。
アルカション、オポルト、リスボン。
ジグラルタル、アルジェリアのオラン、モロッコのアルジェ、チェニス、カリアナ、コルシカ、
フィレンツェ、ミラノ、ナポリ、ポンペイ、マルセイユ主に地中海!
コルフ島、シチリア島~
そしてふらりと夫の約束を果たす為にウイーンに舞い戻るの。
夫との約束よ。
二カ月後にはヴァレリー夫妻と建設途中のコルフ島の別荘を見学したわ。
そしてウイーンで若いギリシャ語教師と出会ったの。
ますますギリシャに傾倒していく。
旅とギリシャとハイネが私の全てになっていく。
そしてこのコルフにアキレオン荘が完成した。
でもコルフで定住は出来ない。
エジプト、またウイーンへ。
そしてアキレウス、カールスバート、リジ、ゲデレと旅は続く。
でもね。
皆が驚くような出来事がウイーンで起こったのよ。
いいえ起こしたの。
ロシアの皇太子歓迎会で私が出席したの。
もう宮廷は大騒ぎよ。
会話もそこそここなしたわ。
でも役目を果たすと即旅よ。
ヴァレンシア、マラガ、グラナダ、カディス、スペインの沿岸を周遊よ。
そしてジブラルタル。
そうそう旅行中は夫はこまめに手紙が来たわね。
そのつど郵便局留めで送られてくるわ。
私のスケジュールを把握出来ないから、随行担当者は悲鳴をあげて四苦八苦していたようよ。
でもそのかわりにとても広い視野が持てたと思うの。
「心から君の幸せを祈るとともに、私達に残された未来、それはあるいはもう僅かの間であるかもしれないが・・・。
その未来に、これまで君がそうであったように、私に優しく愛らしくあってほしい願う。
表に出して見せるのが下手だし、かえって君に迷惑だろうから。
私はただこよなく君を愛しているとがけいう。
神の祝福が君の上にある様に…神が君を守り給い、私達がわだかまりなく再会出来る事を祈る。
私達には他に望む事も期待する事もない…」
可愛らしいじゃない彼!
でもウイーンには帰れない。
「また期待を裏切られた。
君は世界中を放浪し彷徨い歩く運命なのか」
セヴィリア、マヨルカ、リヴィラ……と旅は続くのよ。
そんな中スイスのテリテで夫が合流したの。
二人で静養なんて…悪くないわ。




