表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/61

ギーゼラの結婚

エリーザベトは普通の母の様に娘の結婚を斡旋した。

動悸は不順だったが、ギーゼラは母の薦めにしたがい一年後結婚してウイーンを離れる。


私の娘ギーゼラは1872年に私の実家の本家筋ヴィテルスバッハ家の摂政宮ルイトポルド王子の次男レオポルドと婚約した。


私がレオポルドをオーフェンとゲデレー城に招待して二人は出会ったのだけれど、偶然を装わせたお見合いね。

夫と話し合って娘を彼に紹介して自然に会わせたの。


二人を見ていると、とても似ているしお似合い。


雰囲気というか二人とも美しいとはいえないけれど、誠実で足に地が着いた家庭生活を営めるわ。


私と違ってギーゼラは夫に似たのね。


えぇ幸せになるわ。


実はこの縁談には私の弟このレオポルドと婚約まじかと言われていたザクセン公女アマーリエに一目ぼれしたのがきっかけだった。


丁度ギーゼラの結婚相手を探していた時だったから。


レオポルドの人柄は実家でもよく聞いていた。


ギーゼラにぴったりだと実感して今回の招待を思いついたの。


レオポルドは迷ったけれど皇帝の娘婿という地位とギーゼラの持参金の誘惑に勝てず、アマーリエとの縁談を白紙に戻したのよ。


表向きはコーブル家の持参金の調整がつかなかったという理由だったようよ。


アマーリエは失意の中にいたけれど、いい時期を選んで私が機会を作り弟を紹介したの。


二人は美男美女でとてもお似合いだった。


結婚後は幸せに暮らしたの。


でも弟は若く死んでしまって弟が死去した後、アマーリエは長男の病気の介護で疲れ果て死去したの。


私がとりもった縁談はニ組とも夫婦生活は平穏だったわ。


不思議よね。


私は波乱万丈なのに。




********************************************


1872年5月


義母ゾフィー大公妃が劇場の熱気に酔いバルコニーで涼んだ時にうっかり寝てしまいその後、発熱し肺炎を起こして寝込んでしまって長く患っていらしたの。


しかも私の旅行中に危篤の知らせが。


私は急いで王宮に戻って義母の介護をしたわ。


私の辛いこの王宮生活の根源だった。


あのビスマルクに「オースリア宮廷で唯一の男」といわれ、夫を即位させれば自分は皇后になったはずなのに。


後継を息子に譲る為に夫に皇位を諦めさせた女傑。


若い頃はナポレオン一世とマリールイーズ皇女の一子ライヒシュッタット大公と恋の噂もあったとか。


私が至らないと事或る毎に私を否定し、皇后の責務を宮廷のしきたりを強要し続けた人。


でもそれはおそらく私を思い通りの皇后に。


彼女が描く皇后にする為だと今は思う。


だからと言ってなかった事には出来ないけれど、死を目の前にして誰が無視できるのか。


私は出来るだけ傍にいて介護をしたわ。


大公妃の周りがざわつくくらい。


介護中大公妃が意識を回復する事はなかった。


心からの和解は残念ながらなかった。


でも…過去も忘れるように努めた。


そしてその日はやってきた。


永眠されたのだ。


長い果てしない家庭の小宇宙の戦いは幕を閉じた。


安堵感?違う、なんともいえない重責に窒息しそうになる。


何故なのかは分からない。


その臨終で死を告げられると皆しきたりだと言って、義母の遺体を残し食事に行ってしまった。


私は一人遺体の傍で離れる事なくずっとそばにいた。


何故か涙が勝手に流れてくる。


もう宮廷で私以上の威厳をそなえた人はいなくなった。


でもそれだけ…。私は私。


大公妃は儀礼に則り、礼拝堂からカプティーナ教会へ。


そして何故かマクシミリアンとライヒシュタット大公の棺の間に納棺されて静かに眠っている。


一つの時代が去った瞬間だった。



*********************************************



その一年後1873年4月20日ギーゼラは喪が明けて結婚式を挙げてた。


「こんなに若いのに自由を捨てるなど本当におかしなことです。 

 自分の持っているものを失って初めて何を持っていたのかをしるのだけど。

 気付いた時にはおそすぎます」


と言ったけれど彼女の意思は変わらない。


私は銀糸の刺繍ドレス、長い髪を巻き上げその上に王冠を頂いた姿で祝の席にいた。


皆花嫁より視線は私に釘つけだ。


マリーも「一番美しいのは皇后の外見でなく雰囲気とでもいうか。


優雅さ、威厳、素晴らしい、若い乙女のよう」


だと称賛してくれた。


祝に真夏の夜の夢が上演された。


「結婚式だというのに王女が驢馬に恋する芝居なんて…」


新郎は噴き出していたわ。


「私の事をおっしゃっているのですか」


久しぶりに楽しい行事だったわ。


ギーゼラはミュンヘンへ旅立った。


ルドルフとの別れが悲しくて泣いていたわね。


ルドルフは幼い時から一緒に育った姉と離れるのは辛いと号泣していた。


結婚してウイーンを離れたわ。


あの子は家族という雰囲気が王宮ではなかったから。


自分の温かい家族を早く持ちたかったのかもしれない。


あの子ならそう出来るはず。


賢くて謙虚で真面目で優しい子だから。


あまりに感動的で私は目頭をハンカチでおさえたわ。


ギーゼラを見送った後、私達はウイーンで開催される万博の準備で大わらわになるの。





ギーゼラの結婚は四人の子供に恵まれ幸せなものだった。


自分の家族関係が破綻していたので、早く家庭を持ちたいと思ったのではないか?

結果的に幸せになり、良縁を結んでくれた母に感謝していたと思われます。


彼女はミュンヘンでも慈善活動を行い、第一次世界大戦の後敗戦したドイツを亡命し、元ハプスブルグ家というだけで苦難の生活を強いられた事もあったものの。

銀婚式には息子の枢機卿に祝ってもらい長寿を全うしました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ