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突然の死は……望みのままにⅢ 

ジュネ―ヴの船内で倒れたエリーザベト、何とか救助されてホテルヴォーリヴァージュに運ばれます。

さて彼女は?

ホテルには博士と医者が私を診察したけれどお手上げだったの。

挿絵(By みてみん)

「手の施しようがまったくありません」

挿絵(By みてみん)

次に司祭が現れて御赦免を与えてくれたわ。


14時20分その時は訪れたそうよ。


「お亡くなりです」


私はもうわからなかったけれどイルマが私の両手を胸で組み、瞼を閉じてくれました。


「心のとても小さな隙間から私の魂が空に向かって飛んでいきたいと思っています」


イルマはジュリーの言葉を思い出したそうよ。


イルマは悔しくてぐちゃぐちゃになった顔で、私の手に口づけした。


そして思った事を後世の手記にして残してくれたわ。


「私の可愛い、天使のような女王様。

 貴方は私の絶望を見下ろし、私が貴方を慰めてく

 れた言葉をかけて慰めてくれました。

あなたはあなたの私イルマを塵の中から落胆の夜か

 ら立ち上げ、彼女の視線を永遠の恵みへと向けて

くれます。

 苦しみに対する貴方の勝利である死、最後の犠牲

 で完成しました。

 女王様の平和と幸福があるでしょう。

 女王様がおっしゃっていたように、空に飛び立っ

 て消えていく鳥のようにあるいはここで、私達の

 目の前で、そしてまた次の所で青くなって漂う煙

 の様にこの世から去りたい。

 一瞬のうちにもうだめだと」


イルマはこの後、精神的にも負担になる私の司法解剖の様子も立ち会わないといけなかったの。


知識が必要な医療行為ではあったけれど専門医がいないので、急遽簡易行為になったそうよ。


そして防腐処理もしてくれた。


ありがとうイルマ。


翌日私の身なりを整えてくれました。

私のお気に入り「私の美しいドレス」と呼んでいたわ。


棺に納められる前に彼女は私の様子をこう表現していたわ。


「白い額、暗く輝く王冠の様三つ編みで留められた装飾的な髪に囲まれていた。

 小さな螺鈿の十字架を手に大きな白い蘭を胸の上

 に純白の陛下の心の上に置かれた」


私の娘ヴァレリーが日記にこう書いています。


「ママがずっと願っていた事がいま成就したのだ。瞬く間に苦痛もなく医者の診察を受ける事もなく。

不安に怯える長い日々を過ごすこともなく」


イルマ・シュターライ伯爵夫人は私の言った言葉を思い出してくれたって。


「ジュネ―ヴ湖は海の色そのもので、どこまでも海の様です」


私は海が好き。


私は鴎。


陸に私の居場所はない。


私の魂は走馬灯のようにそれまでの出来事を思い起こしていた。























実はぶつかった時にルキーノはやすりを削って鋭い刃物を造りました。

刃物を購入する金がなかったからです。

胸を一突きしたものの、鋭利でその先端が極端に細く心臓に刺さったものの血が漏れるのが極端に少なく。

水滴がポトポトと漏れるように流れた為にしばらく倒れるまで時間があったようです。


当時は医学水準が低く、早く診察出来たとしても外科的手術が必要なためおそらく崩御していたでしょう。


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