1/1
プロローグ
当作品は、”残酷な描写”を含みます。
奈瀬の判断ですが、R指定ではありません。
”暴力的な描写”も含まれます。
少女は、この現実から乖離した存在だった。
少女の目の前には、腕を曲げて喘いでいる少年がいる。
そして少女は、その少年にこう呟いた。
「曲れ」
何の怪奇現象か。少女が呟いた途端に、少年の腕が完全に、曲った。
まるで知恵の輪を連想させる状態となった少年の腕。
腕には、青紫色に変色した箇所や血が噴いている亀裂が走っていて、腕自体は使い物にならない。
少女の純白のワンピースにも、噴いた血が掛かり、少女は、にやりと笑みを浮かべた。
その表情は、どこか恍惚としていて、千里先の砂の欠片を眺めているような、遠い視線だった。