第六話 帰還
「祈りの第十七怪物」の複製体が消滅してから半日、僕は病院に来ていた。ヒカリの部屋を見つけ、ドアをノックする。返事がしたのでドアを開ける。
「ヒカリ、元気か?」
「燐さん...はい、元気です。さっきはありがとうございました。」
どこか暗いようにも感じたが、本人が元気と言ってるのだから大丈夫だろう。
「『祈りの第十七怪物』の複製体、倒したんですよね。無事に帰ってきてくれてよかったです。」
「おう。ヒカリも無事に生きててよかった。そんじゃ僕は第六天空島に帰るね。じゃあまた第六天空島で会おうね!」
「うん。」
そうして燐は部屋から出て行った。
「うう、燐さん優しすぎるよぉ...好きにならないわけないよ~もっと一緒にいたいよ~もうちょっとだけでも生きていたいなぁ。これがみんなが話してる『恋』っていうやつなのかな~」
兵人種ヒカリ=クレタは十四年生きる中で初めて恋をした。
第六天空島にて、燐が兵人街に帰還した。すぐにファラムがこっちに来いというように手招きしてきた。ファラムと合流すると、すぐに話し始めた。
「重要な話がある。ヒカリについてだ。ヒカリは今回の戦いで生命力を使いすぎた。このペースで消費すると一年以内には生命力を使い果たし、死んでしまうそうだ。あと原因は不明だがヒカリに何かしらの変化が起きている。俺は生命力の使い過ぎによるものだと考えている。」
「そんな...僕が早く駆け付けなかったから...」
「お前は十分頑張ってくれた。第三天空島を守ってくれたしな。ところでこの前使っていた武器はなんだ?兵人種が使っていたものに似ているが...」
「これは地球に古来から存在していたもので『剣』や『刀』と呼ばれていたものです。これは使いやすく何より切れ味がいい。だから『祈りの第十七怪物』の複製体も斬れた。ヒカリたちの武器には劣りますけどまあまあ練習していたので。」
「そんなものがあったのか。ぜひ今度はもっと地球のものについて教えてくれ。」
「少し聞きたいのですが、兵人種はクラミア星を治めていたときも『兵人種』と呼ばれていたのですか?」
「いや、何と呼ばれていたかは分からないが『兵人種』ではなかったはずだ。百二十年前『祈りの第十七怪物』に滅ぼされた後名づけられたはずだ。」
「百二十年前?」
「そうじゃないのか?百二十年前怪物による惑星への侵攻が始まったんだ。地球もその時滅びたんではないのか?」
「いや、滅びた直後に気づいたらここで...」
「そもそもお前がどうしてここにいるのかもわからないからな。」
そう言ってファラムは去っていった。