第二十三話 ファム王国の陰謀
「祈りの第十七怪物」の体を真っ二つに斬った。そこまでは良かったんだ。けどその後見た光景をいまだ信じられずにいた。理由もわからない。「デヴォン」が故意的にやったのかはたまた他の、天空諸島に住む人がやったのかもわからない。ただ一つの事実だけがその場に残っていた。
「そんな...コアが...ない...?」
ヒカリも驚いていた。けど最悪の可能性が本当だったら、そんな不安がよぎる。
「念のため、他の場所にコアがないか探してみよう。」
真っ二つになった「デヴォン」の体をもっとバラバラに斬る。いくら探してもこの「デヴォン」のコアが見つかることはなかった。最悪の可能性が当たってしまった。
「コアが...ない。とりあえずこのことをファラムに報告しよう。ファラムが調べてくれているファム王国のほうにも何かあるかもしれないし。」
「う、うん。そうだね。」
ファラムに電話を掛ける。今度はすぐには出なかった。少し時間をおいてファラムが電話に出た。
「おお、燐か。すまんな出るのが遅れて。」
「いえ、大丈夫ですよ。それよりも大事なことがありまして、『デヴォン』の肉体にコアがありませんでした。肉体のほうはもう動かなくなったので死んだものかと思われます。」
「コアがないだと?余計にファム王国の奴らが怪しくなってきたな。」
「え?どういうことですか?」
「こっちがファム王国を調べると電話をしたよな。あの直後、ファム王国の奴らが第十一天空島に帰っていったんだ。何か目的を達成したようにな。いろいろ調べてみたのだが、ファム王国は何の情報も落としてくれなかった。」
「ということはまさか、今回の戦闘でのファム王国の狙いって...!」
「ああ。おそらく『デヴォン』のコアだ。何に使うかまでは確実じゃないが、一番有力なのはかなり前から話に上がっている兵器の製造だ。他にも研究目的とか、第一天空島に落として『デヴォン』を無理やり出すとかな。」
「やばい奴らじゃないですか。どうにかできないんすか?」
「強制的に捜査をやろうとなると証拠がいるからな。奴らはそれをうまく隠している。だからとりあえずの間はどうしようもない。奴らが兵器とやらを作るという話が本当ならば、おそらく我ら天空諸島軍に宣戦布告してくるだろう。そうなるとその兵器が『デヴォン』のコアを使っているのだから相当強いのだろう。もしかすると暴発して『デヴォン』が現れてしまうという可能性もなくはない。さらにはその兵器を二個持っている可能性もある。」
「それってまさか十年前にあったっていう...」
「そう。十年前にも『デヴォン』は行方不明になり、撃破記録もない。ということはコアだけが取られ、今回のように肉体だけが殺された。そしてそのコアは兵器として運用されると考えられる。二つあるとなると二か所同時に攻めてくる可能性もあるな。これから第四、五、十、十二天空島の警備は強化する。」
「分かりました。とりあえず今日は第五天空島から僕たちは引き揚げますね。」
「ああ。そうしてくれ。」
ファラムが電話を切った。今、天空諸島は危機的な状況に陥っている。どうにかしてこの状況を改善しなければ。そう考えながら飛行船のあるほうへ向かった。
第二十三話、読んでいただきありがとうございました!
段々とファム王国の考えていることが明るみになっていき、天空諸島軍と敵対していく、そんなストーリーになっております!
P.S. 日曜なんでたくさん投稿します!




