第十二話 ヒカリと燐の衝突
飛行船に乗った。第六天空島は第十三天空島から近く、第一天空島により近い。だから「祈りの第十七怪物」に狙われたのだろう。第八天空島からは少し遠いので急いで向かう。
「ふわぁ〜ここは…どこ?」
目を覚ました。どうやら飛行船の中の医務室のようだ。
「あれ…私、死んでない…?」
怪物に攻撃されて死んでしまったと思った。というか死んでいて欲しかった。燐さんに迷惑をかけたくなかった。
「あれ?ヒカリ、目覚ましたか。おはよう。」
「おはようございます。燐さん…」
「ヒカリ、お前無茶するなよ。医者からあと一回戦ったら死んじゃうって聞いたぞ。」
「そうですか。それならよかったです。これ以上燐さんに迷惑をかけずに済みますし。」
「ヒカリ、本当はもっと生きたいんだろ?自分に正直になれ。」
「どちらにせよもうあと一回の戦いで失われる命なんです。戦わなくてももう少しの命です。せめて戦って死にたいです。」
「そうか。別に戦って死んでもいいが、ヒカリが死んだら悲しむ人がいるってこともちゃんと覚えとけよ。」
「うん。ちなみに今はどこに向かってるの?」
「第六天空島だ。『祈りの第十七怪物』が第十三天空島を墜とした後、第六天空島に向かった。おそらく兵人街を滅ぼすが目的だろう。」
「そうですか。ほかのみんなを守って死ねるなら本望です。」
「いや、僕は絶対に出させないぞ。ずっと医務室に置いていくぞ。」
「じゃあそうなったら戦いますか。」
そういってヒカリは医務室を出て行った。
「どうっすか?ヒカリと話せましたか?」
「ああ。もしかしたら第六天空島でヒカリと戦うかもしれないな。」
「マジっすか。なんでそんなことになったんすか?」
「ヒカリは僕に迷惑をかけたくないから死にたいそうだ。けど僕はできるだけ長く生きてもらいたい。だから戦ってでもヒカリを戦場に連れて行かない。」
「まあそういうもんっすかね。」
「おい、もうすぐ第六天空島に着くぞ。準備しろ。」
「『おう!』」
僕とクラミアは天空諸島、そしてヒカリの生死を賭けた戦いに向けて準備を始めた。
十二話目、読んでいただきありがとうございました!
みんなはちゃんと前向きに生きてね!




