第十一話 緊急事態
「祈りの第十七怪物」が風になって消えてゆく。すぐにヒカリのもとに駆け付けた。
「ヒカリ!生きてるか!」
ヒカリはかろうじて生きていた。ヒカリの目には涙が流れていた。
「ヒカリ、お前は本当は生きたかったんだな。何のためにか知らないが、死にそうなときに涙を流すってことはまだ未練があるってことだ。だから、まだ生きていてくれ。」
聞こえてないと分かったうえで話しかける。僕が初めて好きになれた女の子にまだ生きててもらいたい。
「無茶してでも生かしてやるよ。お前が幸せになるまで、お前の願いが叶うまでな。」
「おやおや~燐さんは本当にヒカリのことが好きなんですね~」
またクラミアが煽ってくる。けどちゃんということにした。
「うん。好きだよ。本当にね。」
「ほらほらのろけてないで早く飛行船の医務室に連れて行くよ!」
「おう。」
飛行船の医務室にて。
「診断が終わりました。ヒカリさんの状態は正直かなり厳しいです。もう次の戦闘で生命力をすべて使い切ってしまうでしょう。とりあえず今は医務室に寝かせておきましょう。」
「はい。分かりました。ありがとうございます。」
「ああ、あとヒカリさんの体に変化が起きていると話しましたがそちらのほうも段々進行しているのではないかという見解です。」
「そうですか。ありがとうございます。」
コンコン。
ノックの音がした。入ってきたのはファラムだった。
「燐、大変だ!第十三天空島が墜とされた!」
「そんな!なんで!」
「第一天空島にいたとき今お前らが倒した『祈りの第十七怪物』の複製体も分裂していたんだ!」
「あっ、そういえば第一天空島でそんな話を...」
「さらにだ。今『デヴォン』は第六天空島に向かっている。」
「第六天空島って兵人街があるんじゃ...」
「ああ。だから非常にまずい状態だ。ここで兵人種が滅ぼされると『デヴォン』に対抗する手段を失ってしまう。すぐに第六天空島に向かってくれ。」
「みんな、兵人街のみんなを守るために急ぐぞ!」
「はい!」
十一話目、読んでいただきありがとうございました!ぜひこれからも読んでくれると幸いです。




