18話 憧れの温泉に堪能
謎の大きな卵を拾い、育ててから数日がたったなぁ。
なんとなくだけど卵…拾った時より少し大きくなったような…孵卵器からはみ出さないかな?
しかし自分からやるとは言ったとはいえ、結構慣れない作業のせいか少し疲れが出てきたような……おっといかんいかん。
そんな考えはやめるんだ。
さてと、牧場の仕事をしに外に出てるヤタのところに行くか。
外へ出て牧場へ行くと、ヤタはバモゥモのブラシをしているのを見つけた。
「ヤター、ここは私が世話するよ」
「あぁわかっ…ミノリ、少し疲れ出てるじゃねーか」
えっ……そうなのか?
「いや別に疲れては…」
「いやミノリのその顔色見てすぐにわかる。
お前慣れない卵の世話でますます疲れてきてるだろう。
すぐに休みな。風呂浴びて何か飯食ってから寝ててもいいよ。オレは無駄に体力あるから任して大丈夫だ。
まぁ…何かあったら呼ぶけど」
「そうか…じゃあ何かあったらすぐ呼んでね。
畑の世話とか卵の転卵はやっといたから大丈夫。
あとは動物の世話をお願いしていいか?」
「あぁ、任しとけ」
私はヤタの言葉に甘えて自宅へ戻って行く。
自分の部屋から着替え持って風呂へ行こうとしたら……ふと前の世界の事を思い出した。
「……風呂…かぁ、前の世界の家と違って結構広いよな。
でも…風呂……これより大きい風呂…温泉」
前の世界で強制的に慰安旅行、温泉行ったな。
あの時は大変だったなぁ。
仕事から帰ったら即レンジでできるようにと父のご飯を用意してから旅行に行ったんだよな。
ほとんど一人きりで過ごしてたし、集団行動きつかったなぁ…何度も同僚の人の足に引っ掛かって転んでしまって、同僚にも周りの人に迷惑かけたな。
上司からの酒飲め飲めコールや突然のボディタッチもあって……その時は何も感じなかったけど、今思い出すとなんか…嫌な気持ちになった。
帰りも大変だったな…旅行の帰りにすぐ会社に行き、残りの仕事をやってから家に帰ると父にひどく怒られたなぁ。
あ、でも温泉は温かくて気持ち良かったなぁ。
同僚からは一緒に入るなって言われたから、一人になれる朝とか深夜に入りに行って、温泉堪能出来たな。
風景は特に綺麗というわけじゃなかったけど、かけ流し温泉ではなかったけど…お湯の温もりと朝焼けとか星空綺麗で癒やされたな。
…あの時の温泉思い出したらふとある事を思いついた。
(この島でも温泉“創造”しようかな)
思いつたら即行動する!
私は外へ出て、家の裏へ行く。そこで私はテレビで見てた温泉を思い出し“創造”する。
すると森から木を数本抜き、石などの他にも砂や草などの材料が集められ、薄っすらと温泉の匂いがしてくる。
どんどんと形成されていき…次第に旅館のような建物が出来上がった。
疲れた体で魔力というのを使っていたのか少し体がふらふらするな。
でもそんなものはいつもの事。今私は出来上がった旅館を見て思わず感動した。
「すごい…私の思った通りの旅館だ。でも前の世界のより断然綺麗に出来上がっている。
旅館の中はどうなっているのだろう?」
中に入ると旅館は木で作られているためとても自然の香りがしてて心地よい感じするな。
銭湯みたいに脱衣所が男女に分かれている。
ちゃんとどちらもわかりやすいよう暖簾に“男”と“女”という文字が書かれ、垂れ下がっている。
暖簾を潜ると脱衣所が現れ、少し狭いけど中々綺麗だ。
向こうにある扉を開けると広々としたかけ流し温泉が湧き出ていた。
あ、ちゃんと大きな壁で隔てているな。
混浴みたいのじゃなくてよかった。
ヤタ嫌がるだろうしな。
温泉の上には木の屋根、周りは窓ガラスに囲まれていたが、ちゃんと外に繋がっており、左右と外へ通じる大きな窓ガラスを開けばまさに露天風呂のようになった。
外は侘び寂びのある庭が造られており、空もよく見えてとても美しい。
前の世界に泊まってた旅館よりずっと洗煉されているな。
“創造”で出来た旅館の外も中も温泉もどこもかしこも綺麗だな。
よし、早速着替え持って来て温泉に入るぞ!
✽✽✽
「_やけに自宅の裏から騒がしい音がするな。
まさかミノリ何か“創造”しているのか?」
__オレが牧場仕事をしていたら、次第に自宅の裏から音が騒がしく聞こえてきた。仕事終えたらすぐにミノリを探しに自宅に戻ったがいなかった。
とりあえず音が鳴ってた家の裏に行くと…自宅や牧場とは違う構造をしている立派な木造建築が目の前にあった。
「何だこの建物…?
とりあえず中に入るか」
中に入ると立派な玄関があり、布で出来た履物が置いてあった。
玄関にミノリの靴がある。どうやらここにいるようだ。
ここで靴脱いでこの布の履物を履けばいいのか?
オレはそれを履いて中に入って行くと変な文字が書かれてある布のカーテンが飾ってあるのを見つけた。
カーテンは二つあったがとりあえず赤いカーテンをくぐって行く。何だか変わった匂いがするな…ん?向こうの扉から声が聞こえるな。
ミノリ休んでろって言ったのにまた何かしてるな。
オレは勢いよくガラスの扉を開ける。
「おいミノリ、また無茶し……て……」
目の前にミノリが……裸で、広い風呂に入って…_。
すると突然目の前に木で出来たタライが__。
オレにそれが直撃し後ろへと倒れた。
「_あっ!しまった、つい投げてしまった…」
✽✽✽
直ぐに風呂から上がり、着替え終えた私は倒れたヤタを旅館の中に引きずりながら連れていく。
暖簾の向こうの外でベンチと枕を“創造”し、その上にヤタを乗せてそのまま安静にさせた。
ようやく気がついたヤタに私は直ぐに頭を下げた。
「ヤタ、本当にごめんなさい!」
「いや…オレの方こそ、勝手に入ってゴメン…。
てかここって温泉場なのか…火山地域の近くにそういうのあるって聞いた事あるが…ミノリの前の世界には温泉たくさんあったのか?」
「んーそうだな…私の住んでた国は地形上火山帯になってて、火山から湧き出た温泉とか多くあるけど、大雨や台風、雪によって水の資源が豊富だから、それで自ら温泉作る所もあるんだ。
まぁ結構温泉多い国かもな」
「そうなのか…結構すごい国なんだな」
「その分災害がひどいけどな。
地震とか津波、嵐などによる被害がたくさん…」
「…そうなのか、大変だな…お前の前の世界の国」
「まぁそうだな。
この話はやめるか。ヤタも温泉入って疲れをとったら?
とても気持ちよかったぞ。
あ、赤い暖簾…短いカーテンが掛かっているとこは女風呂で、青い短いカーテンの方が男風呂になってるから」
「えっそういう意味だったのか!?
それを知らずにお前が入ってる風呂に…_ッ」
「それはお互い忘れようか」
「そうしよう!」
私達は先ほどの出来事をすぐに忘れる事にした。
私が思わずヤタに桶を投げつけたけど、ヤタはその傷は治り、すぐに温泉に入りたいのかヤタも温泉に入りに行った。
さてとヤタの着替えを用意するか。
✽✽✽
「あぁぁ〜〜っ何これ、すげぇ気持ちいい〜!
……にしても、ミノリあーゆう反応したのか…まともな反応できてよかった」
…温泉を堪能しながらオレはふとそう思った。
✽✽✽
温泉から上がり、私が用意した服に着替えたヤタにキンキンに冷えたミルクを渡した。
「これ何だ?」
「温泉の醍醐味、牛乳…冷えたミルクを飲んだらスッキリするんだ。
いい気分になるぞ!」
ヤタは冷えたミルクを受け取り、ミルクの蓋を空けて飲み始めると…ヤタの目が大きく開き、一気に飲み干した。鼻下にミルクのヒゲができてる…思わず私はぷっと吹いてしまった。
「?」
「ククッ…このタオルで口拭いて」
「あぁ、にしても温泉、冷えたミルク…すごくいいな!
すごくハマりそうだ!!」
ヤタも気に入ってくれて何よりだ。
温泉…“創造”してよかった。
まぁ後でヤタからお叱りを受けたけどな。
こんな立派な建物“創造”してまた体調崩したらどーすんだ!って言われた。
でも……気持ち良ければいいかな。
ヤタから反省しろ!っとまた叱られてしまった…。
何で?




