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怪談

能面

 これは僕が小学生の時にあった話なんだよね。




 同じクラスに同級生の大半に嫌われていた男子『B君』っていうのがいたんだ。

 乱暴者で狡賢いタイプ。教師とか保護者には良い子を演じていて、子ども達しか居ない時には…っていう奴。


 だから表向きはともかく、内心は嫌ってる人が大半だった。一部の女子には特に嫌われていて、理由は可愛らしくて大人しい女子への態度、その中でもA子ちゃんへのちょっかいが虐めの一歩手前、というか多分当人にしてみれば虐めレベルだったんだ。

 そんなだからその子と仲のいい気の強い女子連中なんかは目の敵にしてるぐらいだったんだ。

 A子ちゃんからは僕も色々と相談受けてたから近いうちにどうにかしないとって思ってたんだけどね。

 色々と準備をしてそろそろ行動に移そうと思ってた時にちょっとした事件が起こったんだよ。


 気の強い女子連中のリーダー格であるCさんがB君と揉めたんだ。普段からわりと衝突してたけど、その時は一触即発。何かきっかけになるとこがあれば殴り合いになってもおかしくないレベルで緊迫してた。


 Cさんは気が強いうえに正義感も強くておまけに頑固。小学校最高学年というまだまだ子供な彼女は独善的でそれを他人に押し付ける事もあったからB君との衝突は当然だったんだよね。

 CさんもA子ちゃんの事がお気に入りでいつも一緒に行動したりしてたし。


 揉めた翌日、放課後に校庭すみの体育用具室裏へとB君を呼び出したCさん。


 翌朝からA子ちゃんへのちょっかいは無くなったんだよ。というか、B君が学校に来なくなったんだ。担任からは御家族に不幸があってしばらく休むことになったと伝えられた。

 ふと気になって、Cさんをちらっと見ると顔面蒼白だった。前日にB君を呼び出した事を思い返していたんだろうね。


 気になって放課後にB君の家まで行って見たら誰も居ないっぽかった。丁度犬の散歩に出てきた向かいのおばさんに聞いてみたら夜中に救急車が来ていたらしい。


 数日後両親が亡くなったと聞いたんだよね。B君は遠方の親戚に引き取られたらしい。


 B君が休んだ日の翌日から学校に来ていなかったCさんも転校していった。


 二人減った教室でも日々は変わらず過ぎていって、A子ちゃんにも平穏が訪れていたんだ。



 たまにB君とCさんに何があったのかが話題には上がっても、特に盛り上がることのない日々。

 知っているのは僕だけ。


 あの時二人に何があったのか。


 B君を呼び出したCさん。あの時、力では勝てないと思っていた彼女はとある道具を用意していたんだ。


 Cさんが用意したのは古びた能面。その能面は曰く付きで、装着したものに不幸が訪れるっていう呪物だった。

 痩女やせおんなと呼ばれるその面はとある旧家の蔵に封印されていて、面の裏側に御札と神様の御姿が描かれた白布で目隠しをされてた。仕舞われていた桐箱にも御札が貼られていて、かつて面を被った者が尽く何らかの不幸に見舞われた物らしい。


 そんな面を用意してB君と対峙したCさん。


 直接的な暴力は問題だと考えていたCさんはあくまで面を被せるだけ。そう考えていたんだ。

 もっともいきなりそんな事されて相手が怒らないわけなくて、先制攻撃で面を被せたCさんはその後面を奪われ逆にB君によって面を被せられた。


 それが一連の出来事。



 おかげで平穏が訪れた教室で読書が捗るようになったんだよね。多少の喧噪は良いけど喧嘩や言い争いは気が散るからやめて欲しかったからとても助かった。


 原因の排除はされたし、これでA子ちゃんの相談も完遂できたから完璧な決着だと思うんだよ。











 用意した能面も実家にはバレずに蔵に戻せたし。







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