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やさぐれ聖女の覇王学  作者: Ztarou
第一章 私が覇道を歩み始めるまで
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A-07 禁忌は破るものっすよ

「ダメだよアルテ! ここにはオーガが出るんだよ!」


 泣き叫んで私の服を引っ張るシエナ。かわいい。でも今日ばかりは君のお願いは聞けない。


 今日は満月だ。最もルナの活動効率が高まる日。効率厨としては見逃せないポイント二倍デーなのよ。


 そしてマッマは地域連合の会に顔だしてて、パッパは遠征中。家には守護結界があるし、マッマの使い魔もいるので完全なるお留守番だ。ここまで自由にできる日はそうない。


「シエナ、怖かったら無理に来なくてもいいんだよ?」


 振り向くとシエナはうるうると目を揺らしながらぶんぶんと首を振った。


「一緒がいい。アルテとはきっと地獄まで一緒だもん」


 きっと地獄までついて行くよという意味だろうけど、その文章だと私とシエナの地獄行きが決定してるみたいでおハーブ生えますわ。


 んじゃまあ来てもらおうか! シエナがいたところで問題は無い。私のやることが変わる訳でもない。


 五年分の魔法理論構築が記された手帳を小脇に抱えて歩く。中にはとある魔法の理論が紡がれていて、それを実測するには今日しかないのだ。


「ついた」


 入っちゃダメと言われている裏山の頂上には泉がある。山というよりは丘だけど、この辺りでは最も標高がある丘だ。


 丘の頂上の水は最も月光を集めている。ルナの栄養は月光だ。この宇宙の仕組みがどうなっているのか、まだ天文的な領域にまでは全く手を出せていないが、少なくとも恒星である太陽は存在し、衛星たる月もある。


 一点不気味なのは、月が二つあるということだ。本来の月の左上にもうひとつ赤い月がある。中二病的には紅い月と言っておこう。ともかく、それがどういう作用をもたらしているのかは追々探らなければならない。


 シエナママがシエナとおそろっちで編んでくれた靴下と靴を脱いで、湖畔にそっと置く。そして月の光をたっぷりと浴びた湖につま先を沈める。


 ちべたい! でもとんでもない量の魔力が満ちているのがわかる。これだけあれば私の魔法も実行できるでしょう。なんかやりたいゲームの為にハイスぺパソコン組み立ててるみたいな気持ちだな……。


 私はまだ自分の杖を持っていないので身体を代用する。腕に、持ってきた羽ペンで構造式を描く。錬金術師っぽいけど、割とマジでそう。何と言ってもこの魔法はこの世界の伝説の錬金術師が書いた「ファウストの手記」を図書館で読んで組んだものだ。マッマは娘が図書館でうさぎのポポを読んでいると思っている。期待を裏切ってごめんね。


 そうして準備を終えると、詠唱に取り掛かる。これが最も重要な点だ。この世界では魔法が制限されている。それは言語を滅茶苦茶にするという方法によってだ。なら、その正規の並びを知っていれば、制限を解除できるんじゃねーの? って思った。「タォーウー」ではなく「ウォーター」を使う。


 やってみたら魔力がなくてぶっ倒れた。どのみち魔力が必要だったのだ。


 でも今足元には潤沢な魔力がある。いっちょぶちかましますか!


「七割五分の原始的水魔法、五分の原始的光魔法、二割の高度反重力魔法。高度反重力魔法の内訳は以下に列挙する。原始的構造構築魔法、原始的空間感知魔法、及び重力解放魔法における第二宇宙速度突破の停止──これらを精霊ルナの代行において実行せよ、我は女神の血を正当に継ぐ者也」


 スッと息を吸って、予備詠唱の後の本詠唱を行う。


永遠に導かれし水鏡アンリミテッド・ミラージュ


 腕の刻印を焼くように光が走り、指先から放たれる──。


 顕現するは大鏡。


 ……そう、私はずっとこれを求めていた、ずっと鏡が欲しかった。


 今目の前にそれがある、私はそっと目を開いて鏡を見る。


「……ははは」


 そっとシエナが寄ってくる。だいじょうぶ? と声をかけてくれる。


 けれど大丈夫。あまりにあまりにもで笑っちゃっただけだよ。


「クッソ美人やないか……」


 齢五才にして、天女かと思うくらい美人。ヤバい死ねる。


 陰キャでブスで暗くて地味で。それを変えたかった私が、手に入れたのは超絶フェロモンムンムンの天女みたいな顔面だった。


 あの神様、ちゃんと約束守ってくれたんだ。


 涙が出ると、それをシエナが拭ってくれる。私は幸せだ。


 そして同時にエデン計画の最後のピースがハマった。


 私はマジで美女。人をたぶらかしても問題ない顔面してる。だからやろう、突き進もう。


 最高のいちゃらぶチーレム目指して、一歩ずつ、一歩ずつ。

お読みいただきありがとうございます!!!


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