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やさぐれ聖女の覇王学  作者: Ztarou
第一章 私が覇道を歩み始めるまで
3/8

A-02 魔力総量てなんやねん

 アルテ・クロノスタシスこと私には魔法の才能がほとんどなかった。


「んしょー!」


 タォーウーと叫んでひり出した水魔法は、肌を保湿する程度に留まっていた。まあ、これはこれで美容に使えるし、サウナとかでロウリュに使えるね。アホか!


 私は! 完璧で究極のゲッターみたいなパワーが欲しいわけ! その力でなんかいかにもな悪役バコバコ倒してハーレム作りたいわけ! お分かり???


 ノアの方舟レベルの雨を降らせるとかさ! そういうレベルの水魔法が使いたいの!!


 だのに私ときたら体内の魔力総量がミジンコなわけで、ダメダメだ。


 マッマことお母さんのサリア・クロノスタシスは私に向かってこんなことを言う。


「らあ、概だ魔ん論かねな法ら天のそて才年!(訳:あら、その年から魔法概論だなんて天才ね!)」


 ぶっ飛ばしますわよ???


 こちとら十七年も陰キャやってるんです。異世界RTAなんてちょちょいのちょいですよ。何回脳内で妄想したことか。大体屋根裏部屋に過去使ってた魔法の教本があるって相場が決まってんです。ぷっぷくぷーだ。


 ただし、攻略法を知っていたとて、乱数調整が上手くいくとは限らないのがRTAの面白い所……。じゃねーのよ! なに魔力総量がミジンコって! どーすんのよこれじゃ知識だけいっぱいあるのに技術と経験が追い付かない童貞みたいじゃない! まあ私は童貞だが! 処女だが心は童貞だ!


 それはいいとして、マジで魔力総量をあげる方法とかないのか? 無〇転生では繰り返し試行によって幅をあげてたけど、元が保湿クリームと同レベルなら何をかけたって保湿クリーム倍にしかならんのではないか??


 仮に使った分だけ才能が伸びるとしても、それに数年を割くのはリスクが大きい。それよりはハーレムまでのRTAチャートを組む方に脳を割きたい。


 このルートはダメだ。堅実だけど最短じゃない。とするとこの世界の魔法史について学んだ方が余程早いか。


 そう思って私は「あうーあうー」とマッマを操作して本棚の上の方にある分厚い魔法史の教科書を取ってもらった。


 どうやらここはマッマことサリアの実家の別邸だそうで、そこにパッパもろとも住まわせてもらっているらしい。パッパも辺境騎士団の一員ではあるものの出世は遠いらしく、どこの世界も厳しいなと思いました。


 ちなみにこの世界は女性優位に傾いた世界観らしい。一度大飢饉で子どもの数が減った際に、産んで増やしてを頑張った女性たちがそのまま強い権力を持ったそう。日本もそうなりゃ良いのに。もう関係ないけど。


 でも女性優位ならガチでハーレム計画が現実味を帯びてきた。


 本を開くと例のクソわかりづらいアナグラム言語が並んでいた。数週間過ごしてみて分かったのは、この世界の言語は「日本語」と由来が全く同じこと。不気味だ。調度品や世界観がファンタジーやナーロッパそのものなのに、言葉は日本語に準拠している。まあ、ナーロッパ的と言われればそうだけど。


 けれど、日本語と決定的に違うのは、聞こえ方、見え方だ。普通の文章を一度ミキサーにかけてそのまま発話したみたいな音が聞こえて、文章もそうなっている。しかも最悪なのがそこに法則性がなく、再現性もないことだ。


 奇妙過ぎる。一度脳内で綺麗な日本語の文章を作り上げて、それを壊してから発話するなんて、そのアナグラム処理が挟まる分だけ効率が悪くなるだろ。


 コツさえつかめば言葉がつかえないわけじゃない。でも、そうする意味があるのか、それと、一体この世界の源流に何があるのかが気になる。インド・ヨーロッパ語族じゃないこの世界は、何から派生してるんだ??


 そこの根幹は相変わらず分からないが、例えばウォーターを崩してタォーウーとすることで水魔法が発動することを考えればこの言語上での魔法処理が存在するということだ。


 まあ魔力総量がミジンコだから意味無いけどね!!!


 これは年齢によるものなのか? それとも個体差なのだとしたら……詰んでる。だが、転生自体が成功していることを鑑みるにフェロモンムンムンの方も通っているはず。


 ならばフェロモンムンムンが体臭的なことでない限りは魔法が適用されていると考えた方がいい。


 常時発動型フェロモンムンムンはまだ未観測だけど、仮にあるとしよう。なら、そちらにリソースを割きすぎて通常使用分の魔力が残ってないとか。これは割と有りうる。


 ならムンムン魔法の観測が今のところの最優先か。


 そんなことを考えていると、マッマがその本おみゃーよめへんだらと読み聞かせをしてくれた。これ進研ゼミでやったやつだ! というか読み聞かせは異世界転生モノにおける言語習得の最短ルートだ。享受しよう。


 ちなみにマッマの朗読は翻訳版でお送りする。マッマのチッチを吸いながら送信。

お読みいただきありがとうございます!!!


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毎日投稿もしていますので、是非ブックマークを!


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