幕間3……勇者たちの生活
昼食はパンにスープ、サラダ、何かのステーキだった。
パンは硬いしサラダの味付けは塩だけ、ステーキもなんの肉か分からないし散々だった。
唯一スープは美味しかったけど……
午後からは座学らしく教室みたいな部屋で授業を受けた。
一応紙とペンは配られたが紙はガサガサだしペンは書きづらい、この国はどうなっているのだろう?
「ではスキルの説明を始めます。まずスキルは主に『パッシブスキル』と『アクティブスキル』に分けられます。更に『戦闘スキル』と『補助スキルに別れて――』」
学者さんだという先生がダラダラと喋っているが板書が無いので覚えられない。
必死で紙に書こうとするが紙もペンも書きづらい。
こんなのでどう覚えろと言うのだろうか?
賢人と香織は興味津々に聞いているようだけど知也と愛子は今にも寝そうな感じだ。
「ですからスキルとは――」
あぁ……ダメだ、後で賢人に教えてもらおう。
健人なら眠くならないよううまく説明してくれるはずだ。
俺は寝落ちしないことだけに意識を集中してなんとか耐えきった。
知也と香織はダメだった。
夕食の時間になったのでみんなでテーブルを囲んで夕食を食べる。
メニューは昼と特に変わらない。毎食こんな感じなのだろうか?
「なぁ賢人、昼の授業全く頭に入らなかったんだけど分かりやすく教えて貰えないかな?」
「あぁ、英雄くんはこういうゲームみたいなのは苦手だよね。ざっくりまとめると、スキルは意思とイメージの力で発動する。そしてスキルは戦闘で使うものと戦闘以外で使うもの、更に常時発動型と手動発動型があるってことだよ」
やはり賢人の説明は分かりやすい。
要点をしっかり纏めて説明してくれるから飲み込みやすいのだ。
あの先生はダラダラ喋るだけであれじゃ覚えられるわけが無い。
「そうなんだ、でも意志とイメージか……あの神器召喚ってのは戦闘以外で使う手動発動型ってこと?」
「そうなると思うよ。戦闘で使うスキルは一時的に身体能力を上げたり集中力を上げたりするスキルらしいし」
そうなんだ……
賢人の説明で納得したのか知也と愛子も頷いている。
この2人は脳筋タイプだからなぁ……賢人が居てくれて良かったと心から思うよ。
「それで、みんなの職業の特徴とかわかるかい?」
「そうだなぁ……作品によって結構違ったりするんだけど、みんなのステータスと当て嵌めた感じ英雄くんの勇者は万能タイプ、僕の賢者は遠距離魔法特化、愛子ちゃんの剣聖は近接戦闘特化、知也くんの聖騎士は防御特化って感じじゃないかな? 香織ちゃんの忍者は斥候って感じかな?」
斥候ってなんだろ?
「他はなんとなく分かったけど、斥候ってなに?」
「情報収集や暗殺なんかだね」
なんだ、忍者そのままか。
「どういう訓練していくんだろうね」
「まずは神器の召喚が出来ないと始まらないんじゃないかな?英雄くんと愛子ちゃんは剣の訓練だろうし知也くんは盾を使う訓練じゃない? 僕は魔法だろうし、香織ちゃんだけは想像つかないな」
「俺も魔法適性ってスキルあるよ?」
「あ、俺も光だけだけどあるぞ」
「ならもしかしたら僕と一緒に魔法の訓練も受けるかもね」
そんな会話をしながら食事を終えるとそれぞれにメイドさんが付いて部屋に案内された。
部屋の中は真っ暗でメイドさんが先に中に入り手際よく燭台に火を灯していく。
「どうぞ中へ」
言われて部屋に入るが全然明るくない。
「ではお清めの準備を致しますので少々お待ちください」
「え?」
お清めのってなんだろ?
メイドさんは一度退室して数分で戻ってきた、、
手には桶のようなものを抱えている。
「お待たせ致しました。それではお清めしますのでお召し物をこちらへ」
メイドさんは平坦な声で喋ってるけどなんだって?
「服を脱ぐんですか?」
「はい。脱いで頂かないとお清め出来ません」
メイドさんの持ってきた桶には水が入っている。タオルのようなものもある。
それで服を脱げということは体を拭くってことかな?
「わ、分かりました」
なんとか返事をして制服を1枚ずつ脱いでいく。
脱いだ制服はメイドさんが綺麗に畳んでいる。
「勇者様、全て脱いで頂かないと……」
上全部とズボン、靴下までは脱いだがパンツだけはどうしても脱げない……
「あの……前は自分で拭きますので」
「かしこまりました」
メイドさんの早くという無言の圧力を感じるので覚悟を決めてパンツを下ろす。
背中はメイドさんにお願いして前は自分て拭くことで難を逃れた。
「それではこちらを」
渡されたのは着替え、言われるがまま着用するがなんかゴワゴワしてて着心地が悪い。
「そういえばお風呂って無いんですか?」
「ございますが……準備が大変ですのでご入浴は週に一度となります」
週一……準備が大変ってことは全部人の手でするってこと?
つまり電気、ガス、水道のライフラインは全滅……なんて世界に来てしまったのか……
「勇者様、夜伽は如何なさいますか?」
よとぎ?
何それ? でも聞いてくるってことは俺に選べってことだよな……
何かわからないからちょっと怖いけど聞いてくるってことは悪いことじゃないんだろう。
ならお願いしてみようかな? それならなんなのかわかるし……
人生は冒険だ。
「えっと……お願いします」
「かしこまりました。勇者様はどのような女性が好みでしょうか?」
好み? 女の人の?
「ええと……大人しそうで控えめな人かな? あと胸は大きい方が好みかな?」
「かしこまりました。では準備してまいりますのでしばらくお待ちください」
「え? あ、はい、分かりました」
メイドさんは桶に残った水を窓から捨てて空になった桶にタオルと制服を入れて部屋から出て行った。
よとぎってなんだろう? マッサージみたいなやつかな?
でもなんで女の人の好みなんて聞いたんだろう?
5分か10分か、時計も見えないスマホも無いので正確な時間は分からないが扉がノックされた。
戻ってきたのかな?
「はい」
返事を返すと扉が開いて1人の女性が部屋に入ってきた。
ロングコートのようなものを着ている。
先程までのメイドさんでは無い。
「あれ?」
「あ、あの!」
誰、と聞こうとしたら遮られてしまった。
女性はそのまま俺の方に近付いてきて俺の隣に腰掛けた。
近くで見ると気弱そうな表情、自信なさげな瞳、華奢な腕、そして……大きい胸……
俺の好みどストライクな女性が隣に座っていた。
「き、今日御相手させていただきますメリルと申します。不慣れゆえご満足いただけにゃいかもしれませんが頑張りますのでよろしくお願いします!」
早口でまくし立てるように言ってバッと頭を下げられた。
「え? い、いや頭上げて下さい! 大丈夫ですから、俺もちょっとよくわかってないから練習するくらいの気持ちで大丈夫だから!」
いきなりどうしたのだろうか?
多分マッサージとかだと思ってたから練習とか言っちゃったけど間違いないよね?
「わ、分かりましたぁ……では……」
女性……メリルは立ち上がって着ていたコートを床に落とした。
コートの下には――何も身につけていなかった……
「で……では失礼しましゅ……」
何が何だか分からぬまま、俺はメリルに押し倒された……




