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前王弟殿下のかれいなる隠遁生活(スローライフ)【本編完結】  作者: 羽生 しゅん
引越先と青い鳥編:荷物を持つには背筋もいる
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その関係は他人丼にも似て

今までの投稿分を修正していました。

子ウサギ奮闘中!~そのままでは癪だから、の間です。

あと、細かいところをいろいろと。


ようやく『幸せの青い鳥お裾分け★パーティー』(笑)が始まるようでやっぱり始まります。





「若様ー! こっちに来て下さい。引っ越しの挨拶を!!」


ビフレットの呼び声が広場の中心付近から聞こえた。

それに手を上げて了承を示すガライ。


「何で急に挨拶が増えているんだろうか?」


首を捻りつつ自称ただの執事の元に向かう彼の後をラジーとレイニオも付いていく。

そんな彼らに気が付いたキャロラインとジャガルドも途中で合流する。


「おはようございます、ラジー」

「ん」

「よう。ミナン受け取ったみたいだな」

「よく見つけられたね、これ」

「たまに幼馴染み殿は野生動物なんじゃないかと思う時がある」

「ルド、流石に失礼です。否定はしませんが」

「キャロも酷くないか?」


彼らの主が頬を膨らませると、「似合わないなぁ」と皆で笑う。


「案外ビフレットは似合うかもよ?」

「何の話ですか、何の」


近くまで来ていたのか、ビフレットからのツッコミが入る。

彼はいつ見ても無駄にキラッキラしている。


「うん、大丈夫そう」

「ですね」

「ですから、何が?」


不思議そうにする美中年を笑って誤魔化し、広場の空いているスペースにゆっくりと立つ。


注目が集まるのも諸ともせず、ガライは口を開いた。




「諸君……、唐揚げは好きか!?」




何人かが「すきー!」と声を上げる。

えっ?とビフレットがガライを見た気配がした。


「俺は、ササミが好きだ。俺は、モモも好きだ。唐揚げ以外も、大好きだ!」


何か違わないか?

ジャガルドは幼馴染みを呆れた目で見やった。


「朝から解体、料理してくれた人に感謝する。目の前に料理があるなら美味しい内に食べるべきだ!」


金色の目が真剣味を帯び、拳が奮われる。


うん、言っている事はまともなんだが、そこまで力を入れる事だろうか。とキャロラインは逆に冷静になった。いつもの事といえばいつもの事だ。


「最後に東方の国の食事の挨拶をしようと思う!」


あれ?引っ越しの挨拶は? と皆思った。


しかし、目の前の料理たちを見て、確かに美味しい内に食べるべきだ、と思い直す。

朝から巨鳥に驚き、いきなりパーティー準備で動き回り、そして今、美味しそうな匂いにお腹が鳴っている。


「手を合わせて!」


パンっとガライが両手を合わせると、ゆっくりとだが、声を聞いていた人たちも両手を不思議そうな顔で合わせる。


「作ってくれた人に感謝して、残さず食べましょう」

何故か棒読みになりながら、感謝の言葉を言う。


「ご唱和下さい。いただきます」

「「いただきます」」


何の宗教だ、と思わずツッコミを入れかけたが、東方の国の食事の挨拶だっけ、と考え直す。


まあ、今は目の前の鳥肉料理だ。

町の人たちは一斉に料理に群がった。


見た事ある料理もあるが、初めて見る料理もたくさんある。

唐揚げだって、そうだ。食用油が高価な事もあってレシピは知っていても、なかなかお目にかかるものではない。

今回はプテラスバードから油が割合取れた為、こうして山盛りの唐揚げが実現したのだった。

油を取った後の鶏皮も塩を振りチップスとして1品に加えられている。





 「ガライ様」


 町の人に皿が行き渡り、そろそろ食べ始めようかとしているのを見ていた彼らに声がかけられた。


そちらに振り返ると、ステンが老年に差し掛かったばかりの男性を連れて、こちらに歩いてくるのが見える。

殿下呼びをしなかったのは、町の人に身分を伝えないという事を事前に言っておいたからだろう。


「この町の町長です」


キャロラインが男性の正体を囁く。それに少し頷く事で返す。


「レイニオ、ラジー。先に料理を食べておいで」


話がある事を察したビフレットが子供たちを促した。

お皿を手渡されたレイニオが、長話はごめんだ、とばかりにラジーを連れて、唐揚げの並ぶテーブルへと足を向ける。


こんな態度を取っていようと、彼は盗み聞きをしているだろうが。


「ステン、今日はありがとうな。いろいろ頼んで」


ガライが手を広げ、歓迎の意を示す。


「いいえ、私も後でご相伴に(あずか)ります。まだ町長に会っていなかったのではと思って、この町の町長を連れてきました」


「確かに会ってなかったな。先程、うちのキャロラインと話をしていたようだけど」

「有意義な時間だったと思います」


メガネの令嬢がすました顔で答えた。それに町長は愛想笑いしている。

ちょっとしつこかった、と思われているのかもしれない。


「俺はガライ。領主様の厚意で湖の側の屋敷を譲ってもらった」


前王弟は有名である家名を名乗らずに挨拶をする。身分を隠すつもりのためだ。

だから、ここでは町長の方が身分が上という事になる。


「町長のコワンです。こいつとは幼馴染みでして」


ステンと親しげだと思ったら、成る程、この町で共に育った存在だったようだ。


「いろいろ騒いだりするだろうが、極力迷惑はかけないようにする。宜しくな」


ガライがにこやかに、また何かあるかもしれないと仄めかせば、ガライの幼馴染みその1が溜め息をつき、

「その場合があれば、この町の利益にしてみせますわ」とガライの幼馴染みその2が張り切る。


それは違うところで発揮してほしい。

例えば、方向音痴とか。


そんな3人を見て疑問に思ったのか、町長はふと思った事を口にした。


「それで、皆さんの関係は?」


それは至極当然の疑問である。

令嬢、ムキムキ、ムキムキ。

見た目、何の共通点も見つけられないのだから。ガライが王族であると隠すだけで。


それを聞いたキャロラインが、ずいっと前に出た。


「うふふ、聞かれると思っておりました。まず、わたくしたち3人は幼馴染みです。家同士の付き合いがありまして」


当時、王子との顔合わせのお茶会時に知り合い、それ以来の付き合いであるが、本当はキャロラインが言う程、家同士の付き合いは無い。


「それから、こちらのキラキラした男と先程の子供たち家族は、ガライにうっかり好感度を稼がれて仲間になったのですわ」

「キャロライン嬢、言い方がヒドイ」


もしくは『お腰につけたマドレーヌ、1つ私に下さいな』的な認識のキャロラインである。

実はジャガルドも少しそう思っていた。


ビフレットが抗議の声を上げる。

『キラキラした男』も『うっかり好感度稼がれた』も酷く遺憾だ。

容姿は生まれつきであるし、自分で決めて付いてきているのだから。


「では、お城に招待されて王子に見初められたけど、12時の鐘と共に魔法が解けるので逃げたところ町の子供たちにイジめられて、そこを通りすがりのガライに助けられ、帽子とブーツを貰ったらお役に立ちますと自分を売り込んだんでしたっけ?」


「いろいろ物語が混じりすぎだけど、一部否定出来ないのがツライ」


キャロラインが言い直した言葉に、美中年は項垂(うなだ)れた。子供向けの絵本並みに自分は波乱万丈な人生を送っているようだと再認識させられる言い方である。


「申し訳ありません。判りやすさを取りました」


そんな彼にキャロラインのメガネの奥の夕焼け色が細められる。今だからこそ笑い話に出来るが、彼女だって紆余曲折あったのは知っている。むしろ関わっていた。

料理人親子の時だってそうだ。人に早々言える事ではない。


「気になるのは領主様との関係でしょう?」


昔話を打ち切り、町長に話を向ける。

それはそうだろう。こんな田舎の村以上町未満のところでも領主は雲の上の人だ。そんな人からの紹介となると、対応を考えなければならない。


ここに雲の上どころか宇宙まで飛んでいきそうな人がいるのだが。


「お察しの通り、わたくしは貴族ですわ。家名はここでは意味の無い事、名乗りませんが。

領主様とは王都にいた際、ご令嬢と親交がありましたので、その縁です。

そこのムキムキが「思いっきり筋トレしたーい」と言っていましたので、丁度いい、と」


ムキムキことガライが大きく頷いて同意を示す。


貴族なのも、ご令嬢と親交があったのも、幼馴染み全員共通する。しかし、ガライを通しての付き合いだったため、最も親交があったのは、むしろガライである。

が、今はそこまで言う必要はない。


ついでに1番貴族っぽいのがキャロラインであっただけなので、説得力を取った結果だ。


「だから身分関係無くお付き合い下されば助かります。年輩の言も聞かせて頂ければ嬉しいですわ」


令嬢の余所行きスマイルを浮かべ、話を切る。


深く考えればいろいろ突っ込まれそうな話であるが、間髪入れずにガライがジャガルドに声をかける。


「なー、ルド。チヤがさ、唐揚げの中にすっごく辛いの、1つだけ混ぜたらしいぜ?」

「お前が食べないの見越してんだろ。色で判るんじゃねぇの」

「そこはさぁ、ベテラン料理人だから」


男2人の料理の話に、誰かのお腹が鳴った。


忘れているかもしれないが、この場にはいろんな料理の美味しそうな匂いが漂っている。そして、視界にも鳥肉料理を食べ始めた町の人たちが否応なしに入ってきている。


現実的におあずけ状態な彼らであった。


「……食べましょうか」


ビフレットがそれだけ言って、お皿を差し出した。

黙って受け取る2人。


「今、この場でする話ではありませんでしたわね。早く料理を頂いた方がよさそうです」

「そのようですな。若い方はよく食べるでしょうし」


キャロラインと町長が暗に話の終了を告げる。それを皮切りに彼らはテーブルへ歩き出した。


「何かステンもよく食べそうだよな」

「はっはっはっ、まだ若い者には負けませんよ」


ガライが顔を伺うようにステンに言うと、老年の男は闊達に笑う。


「見かけ通りだな」


ジャガルドが一言。しかし、目がすでに唐揚げにロックオンされている。


向こうのテーブルから、レイニオがこちらに気が付いて手を上げた。

お皿には抜け目無くレモモードとオケオケソースがキープされている。

ラジーはその横で町の子供たちに囲まれながら、懸命にむぐむぐササミとチーズの大葉巻きを食べているため、こちらには気付いていない。


ガライがテーブルに辿り着き、その金色の目を輝かせる。


「さて、食べるぞー!」




 こんな所でどうしたんでござるか、ルミ殿。

拙者?ただの唐揚げ確保人員でごさるよ。

……、なるほど、料理は食べたいがラジー殿に合わせる顔が無いと。

誰も気にしないと思われますなぁ。

この唐揚げをお裾分けいたそう。レモモードはかけられますかな?

なんと!かけない派でござったか。

辛いのがあるって聞いている?

そんなチヤ殿が食材を粗末にするような真似はするはずないでござる。あったとしても食べられる範囲でござろう。

ラジー殿が気になるのなら食べたらすぐに謝りにいけばいいのでござる。一時の恥は掻き捨てでござるよ。


唐揚げ。報告したら、あの方が羨ましがるでしょうなぁ。




正直、オケオケソースはテルテルソースと迷いました。ツボツボソースは……ないな……。


結局誰のお腹が鳴ったの?とか、仲間たちの中で貴族って何人?とか思った方は、ブックマークや評価、いいね!をポチッとお願いします。



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