表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

たとえ砂の城が崩れても

作者: 武田道子

たとえ砂の城が崩れても





砂の城は

崩れて流れていく

いつだってそうなのだ

何度も繰り返し作っても

波が押し寄せてそして引き

まるで何事もなかったかのように

砂の城は砂浜にもどる




そこに城があったことも

影も形も残っていないのに

私の心には

見えている

ざぶんと波にのみ込まれる瞬間

はっと息を飲む

崩れていくものたちの儚さ




たやすく消えていくものたち

美しかった余韻だけを残して

醒めた夢のあとに残る

何か悲しい気持ちが

あるひとすじのメロディーを奏でて

波に消されてしまった城の跡を

振り返る




砂の城が崩れても

また作ってしまう

作る端からかき消されていく

今の存在を

何度も何度も繰り返すことに

何らかの意味があるかのように




今は永遠には続かないことを

もう繰り返しが効かないことを

崩れてしまった城が語る

形のあるものには最期があることを

私はいつ知ってしまったのだろう


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ