たとえ砂の城が崩れても
たとえ砂の城が崩れても
砂の城は
崩れて流れていく
いつだってそうなのだ
何度も繰り返し作っても
波が押し寄せてそして引き
まるで何事もなかったかのように
砂の城は砂浜にもどる
そこに城があったことも
影も形も残っていないのに
私の心には
見えている
ざぶんと波にのみ込まれる瞬間
はっと息を飲む
崩れていくものたちの儚さ
たやすく消えていくものたち
美しかった余韻だけを残して
醒めた夢のあとに残る
何か悲しい気持ちが
あるひとすじのメロディーを奏でて
波に消されてしまった城の跡を
振り返る
砂の城が崩れても
また作ってしまう
作る端からかき消されていく
今の存在を
何度も何度も繰り返すことに
何らかの意味があるかのように
今は永遠には続かないことを
もう繰り返しが効かないことを
崩れてしまった城が語る
形のあるものには最期があることを
私はいつ知ってしまったのだろう