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1. 初めまして!

初めまして!

私の名前は、アメリア=ブルーメイア。

生まれも育ちも『アルヴェール王国』の、()(すい)のアルヴェール国民!


平民・庶民で、7人家族の長子で長女。

ちょーっと大家族なもんで、頼りない父の稼ぎだけじゃ足りなくて若干(じゃっかん)我が家は貧乏寄り。

昨日まで、アルバイトを掛け持ちしまくってた私ですが。

そんな生活に、暫しの別れを告げる時がやってきました-


-そう。ついに、学園入学の日が、来てしまった。


この国では、10歳になると教会へ行き、魔力の測定儀式を受ける。

そこで私は、内包魔力測定量最高値を示す色である黄金色を叩出した為、将来有望な人物であると国に報告された。

その為、平民でありながら、国の支援を受け、国一番の学園である『アーヴェルハイツ王立学園』へ通うこととなった。


………正直、行きたくない。

だって聞いたところによると、新入生と現在通ってる生徒含め、平民って私だけじゃんね?

貴族だけでもちょっとした雲の上の方々なのに、王族(天上人)まで通ってんだってさー。わぁー。

……-怖いんだってば!!!!!

ちょーっと怒らせただけで、スパッと首落ちたりしませんかね?!

思わず首にさぶイボが立って、両手で擦って落ちつけようと試みる。


家族や街の皆にめっちゃ応援されてるし(今実はめっちゃ盛大に送り出されてる最中だし)、やっぱ止めていい?なんて口が裂けても言えない雰囲気ダヨ★



めちゃくちゃ号泣して腕に顔埋めているのは父-


「…っぅ、…ながっ……ぐら、がぇって……っひっぐ!ううぅ~~~!」


え?なんて???


「そうよー。長い休みくらいは、ちゃんと家に帰ってくること!約束ね?」


嗚咽でロクに喋れなくなった父の肩に手を添えて、にっこりと母が言った。

なるほど。父は先程そう言っていたのか。全く分からんかった。母の夫婦(めおと)翻訳には頭が下がる。


「だぁっ、あう~」


長男である弟に抱っこされたまだ小さな三女が、こちらに元気に手を伸ばしてきた。

その可愛さに思わず顔がゆるゆるっと緩まる。

指を掴ませ、小さくシェイクハンド。行ってきます、と言うと三女は満足したような笑顔で、ぱっと指を離した。

顔を上げると、抱っこしている弟とぱちっと目が合う。

弟は少し視線をさ迷わせ-


「……その、…頑張って。姉さん。」


-と小さく激励の言葉をくれた。

2人兄妹だった昔はお姉ちゃん、お姉ちゃんと甘えん坊だったのに、下の子が増える度に甘える頻度が減ったように思う。最近は思春期に入ってしまったのかめっきり口数が少なくなってしまった。

それがちょっと淋しいが、口数が減った替わりに下の子の頼れる兄として成長したように思える。

しばらく家を空けなければいけない現状-父は頼りないし、母だけでは不安だろう-弟が頼りがいのあるしっかりした子に育ってくれて、嬉しい。


「うん。ありがとう。皆をよろしくね?」


そんな気持ちを込めて、ぽんっと軽く肩を叩いた。


「あ……~~~っぁと、さ。……虐められたり、したら、いつでも帰って…来な…よ」


そのセリフがカッコつけみたいで照れくさかったようで。

少し顔を赤くして、顔を逸らしながら弟はそう言った。

我が弟ながら、可・愛・い…。


(…そしてお姉ちゃん、虐められる前に今すぐ帰りたいんだけど。駄目かねぇ…ダメダヨネェー)


そんな中、ちょいちょいと近づくふたつの影。

振り返れば、双子の次男と次女が、向かい合わせで手を取り合い、社交ダンスを始めるかのようなポーズをとっていて-


「「お姉ちゃん、おみやげ、ヨ・ロ・シ・クね~~~☆」」


-と、双子のウィンク攻撃をくらってしまった。お姉ちゃんに痛恨の連撃(クリティカルヒット)

でもお姉ちゃんは王都の中心地に行くのは、勉学の為であって稼ぐ為ではないのだ!

な、なのでお土産は……困り顔でちらりと見ると、双子はそれぞれ両手を前で組み、上目遣いでこちらを見てきた。

-双子のおねだりポーズ(とどめの一撃)


「うん。お姉ちゃん、ガンバル!」


思わず双子をぎゅっと抱きしめた。

はい、頑張ります。キラキラしたお目目にはお姉ちゃん、勝てないのです。

とりあえず、週末の休みは何かバイトを入れよう。


「お前らなぁ…」と呆れ返る(長男)にてへっと可愛く返す双子。

コントのような流れに家族や街の人から笑い声が溢れかえる。

バイトでお世話になった人々と目が合えば、皆コクリと頷いてくれる。

留守の間は任せておけ、心配いらない-そう言ってくれているのが分かる。

世話焼きな皆は、私のいない間も家族が困っている時手を差し伸べてくれる。それが分かって。

距離があるとはいえ同じ王都内だし、そう長く離れる訳でも、ないのに。

何だか少しうるっとしてしまいそうだ。

皆の暖かさが好きだ。大好きだ。


だからこそ-私は学ばないと。

愛する人々を守る為に。自分の夢の為に。

学園で学ばないと、折角の魔力(能力)が無駄になってしまう。


-学園で学ぶ事自体は、メチャクチャ興味がある。

-将来の夢の為にも、絶対役立つのも分かってる。


-…すぅっと深呼吸。

心の中で頬を叩いて、気持ちを奮い立たせる。


(-何度考えたって、答えは同じ。)


「-行ってきます。」

-女、アメリア、腹ぁ括って()ってきます!!!!!!(泣)

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