第六話 俺のポテチ
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ポテチ。
ポテチ食べたい。
おっさんは食べてた。
ポテチ。
家にはあと3袋はあったか?
ポテチ。
どうする。
食う。
誰が。
おっさんに?
どうなる。
わからない。
情報戦。
ポテチで多分、少しわかる。
ポテチだ。
ポテチ。
行け。
口が動かない。
体が動かない。
こういう時はどうするんだっけ。
知ってる。
いつもやってる。
右手の小指に意識を集中する。
ゆっくり小指を回す。
小指が少し動く。
脳と体がつながった。
手を少し回すように動かす。
動いた。
体を少し回すように動かす。
動いた。
口はどうやるんだ。
唇を少し回す?
少し動いた。
体が脳につながった。
舌も動く。
まず少し口を開けた。
また閉じた。
また開けた。
息を吸う。
息をはく。
口から。
そうだ深呼吸。
少し落ち着く。
ポテチをおっさんに上げたらどうなる。
おっさんはポテチを食う。
さっきも食べてたし。
俺はどうなる。
ポテチ食べてる間は大丈夫。
どう声をかける?
ポテチ食う?
フランクすぎる。
ポテチ食べますか?
丁寧で変だけどこれでいいか。
おっさんの喉のあたりを見る。
目を合わせないように言う。
「ポテチ」
よし。
「俺のポテチ」
ん?
「俺のポテチを食ったなあああああ!!!」
俺は飛び出してしまった。