第54話:いえ〜ぃの犠牲者
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レボアとロボアは、私とハイタッチを交わした後、休む間もなく次のサンドボア狩りへと駆けていく。
今度は最大級を狙ってやるとかなんとかで、更に高難度な条件で挑むそうだ。
若いというのは恐ろしい。疲れというものを知らないからな。
「……ふふ、たまには熱い親睦を深めるというのも良いかもしれませんね」
「………………」
まぁ、元気で素直な青年たちだったが、しかし。
「同じ超循環士ですから、また近いうちに合うのは確実でしょう。その時までに、リヌリラもさらに強くなっていると良いですね」
「……………………」
力強いエネルギーを感じたが、しかし。
「……おや? リヌリラ、どうしました? そんな脂汗をかいて」
「………………………………」
次に彼らに会うときのために、私がしなくてはいけないことが一つ出来てしまったようだ。
私は、その想いを強くルーミルに主張したい。
とても大事なことであり、後悔したくないからこそ申したい。
私は必死の思いで口をパクパクとさせながら、枯れたような声でルーミルに一言。
「(鼓膜、破れた……)」
「あら、あらららら……」
苦笑いしながらリアクションをするルーミル。
先ほど私たちから距離をとったのは、レボアロボアの爆音スピーカーから逃げるためだったのか。
おかげで三半規管が麻痺したようにチカチカして痛い。
今度、奴らに出会っても大丈夫なように、強力な耳栓を開発して、クソでかい声を遮断する準備をしなくてはいけない。
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