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第51話:私達以外の超循環士

「…………!!」

「ロールスライダー……!!!!!」

「サンドカッター…………!!!!!!!」


 ズバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ……!!!!!!!


「……うわぁ! 凄い! フィンガーブレードを高速回転させて、力づくでサンドボアの首を切り落とした……!」

「二人のタイミングと、回転のリズムが絶妙に作用し、屈強であるサンドボアの首へと最大限の力がかかり、一気にケリを付けられたのでしょう。あれは、彼らにしか出来ない特殊なアクションです」

「動きがあまりにも綺麗すぎて、見入ってしまうくらいだった」


 戦いは泥臭さが垣間見えるものだというのに、彼らの動きはむしろ芸術を感じさせるような美しさがある。

 唯一、必殺技のようなものを叫んだ際の、センスとワードの違いだけが残念な結果となってしまったが。


「ロボア、なんだよその『サンドカッター』ってのは。俺らはサンドイッチ職人にでも転職したのか?」

「レボアこそ『ロールスライダー』って、アジアの職人が作ったすべり台みたいなネーミング付けやがって」

「なに? 俺が十二秒かけて考えたネームセンスにケチを付けるのか?」

「ワイのほうが十五秒かけて考えた。三秒長くかけて考えたんやから、圧倒的にサンドカッターに軍配が上がっとる」

「俺は、その三秒の間にサンドボアに攻撃するための回転力を上げていた」

「ワイは考えながら回転力を上げてコスパよく動いていた!」

「あぁ? ロボア、兄貴に喧嘩撃ってんのかゴルァ……!???」

「あん? いちいち兄貴ヅラしてんじぇねえぞレボア!!!! オルァァ!!!!!」


 なにやら不毛な戦いをしてしまっているのは兄弟喧嘩だろうか。

 あまりにもしょうもなさすぎて、これ以上効くに値しないレベルの痴話喧嘩だ。

 血の気が多い双子のようだし、このまま適当な流れで殴り合いにでも発展するのだろうかと思ったが、片方の金髪が止めを入れて。

 

「分かった、こうしよう。俺ら二人のセンスを混ぜて『ロール・カッター・サンド・スライダー』って命名するのは? ワードの極みとエッジが随所に効いて、バリゴッツゥかっこ良いレボリューションインフェルノになると思わねえか?」

「……やべえなレボア。お前マヂ天才。マキシマムグランドインパクト。兄貴の風格が輝いた瞬間やな……」

「へへっ……だろ? マヂレジェンドデスティニーじゃね?」

「アンリミテッドハイパーエピック!」


 いぇ~いと二人がハイタッチをして仲直り。

 なにやら不毛な時間が流れたような気もするが、彼らにとってはとても美しい時間だったのだろう。

 円満解決なはずなのに、本当にこんな解決でよかったのかどうか、逆に私が心配になる。 というか、ガキが喜びそうな英単語を適当に並べていぇ~いってなんだ。

 オーストラリアのイギリス英語は、そこまで気品を損ねた文化ではないぞ。


「今日も精が出ていますね、レボア、ロボア」

「あぁ、姐さん……ご苦労様です。珍しいっすね、狩猟祭に参加するなんて」

「ふふ……私というよりは、この子の見守りのために参加したんだけどね」


 そう言って、私の肩を持って抱き寄せてくるルーミル。

 まるで恋人でも紹介しているかのような取り扱いをされている気分。


 だが、向こうはそのノリには同調しかねたのだろうか。

 弟であろうロボアという方が、私の顔をじろじろと睨み付けてきて。


「……誰? あんた?」

「えっ、わ、私は……えっと……」


 明らかに警戒してかかってくる様子。

 まるで路地裏でカツアゲの対象にでもされた様な状況。

 そうではないにしても、威圧の強さに思わず言葉がドモる。


「ロボア、失礼だろ。姐さんの連れの嬢さんだってのに」

「いや、なんかシラネー奴だなって思って。こんなやつ、メルボルンに住んでたか?」

「あ、はは……」


 ズイッと顔を近づけてくるロボアから避けるように後ずさりする私。

 近くで見ると、目つきの悪さがもろに出て、強い威嚇に思わず怯みを覚えてしまう。

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