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超循環のリヌリラ〜現役PS4ゲーム開発プランナーがゲーム化する〜  作者: タチマチP
第1章-プロローグ-(20世紀のメルボルン)
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第3話:過去の遺物、過去の戦争

【Tips002】リヌリラの住む世界観の文化について


 時代は1981年、悪魔と人との戦争が終わり、60年という長い時間が経過したオーストラリア。

 技術の進化は1900年台前半で概ねストップしており、時間の経過に伴い劣化を開始している。

 現在は、農村で集落を開くような形式が現在の人の生き方の基本であり、建造物と生活を並べてみると、時代の生き方のジェネレーションギャップがよく見られる。

「ところでリヌリラ。さっき集落のジジイから伝達が来ていたんだが……聞いてるか?」

「……伝達? 何それ、知らない」

「色んな家に周って情報が来たんだが……まあ、一時間も前のことだし、すれ違いだろうな」

「どんな内容? 夏祭りの催しの強制参加の連絡ならスルーしたいんだけど」

「……鋭いなお前。二個あったうちの一個当てやがった。なんだよ、夏祭り楽しそうじゃねえか」

「嫌だよ、ジジイどもが考えたよくわからない民謡とやらに合わせて妙な踊りさせられるんだ。公開処刑もいいところだよ」

「それはご愁傷様。まあ、参加しなきゃ祭りで用意されるマンモスの肉は食えないらしいから、好きにすりゃいいっていってたから判断は任せる」


 ジジイどもには血も涙もないようだな……

 仕方ない、よく考えておくか。


「それで、会話の中では、もう一つ話が来たという風に読み取れたんだけど」

「もう一つな。こっちはちょっと面白そうだった。集落近くの平原の底から、過去の遺物と見られる銅像が見つかったって話」

「……それ、本当に面白い話?」


 歴史的な事情……特に、戦争に絡んだ話ともなれば、むしろ私にとってはアレルギーなものになりそうなんだけど。

 どうも老人たちは、過去の真実というものに興味を持っており、色々と解明しようと考えているようだ。

 歴史の真実より、世界中の肉を吟味するほうが、よっぽど有意義だと思うのだが。


「超循環士としては、一度は見ておいたほうがいいんじゃないかって話。ほら、超循環士って、なんちゃらの素材を使いこなせば、過去の人物たちがどんな心情を抱いていたかってのが、何となく分かるんだろう?」

「壊れかけのラジオに近いピンボケ電波が骨髄を通じて流れてくるって感じ。何言っているかわからないこともあるし、全然聞こえないで終わることもある」

「ああ、そういうの? てっきり、脳内に直接言葉が伝えられるような魔法チックな力だと思ったのに」

「超循環士は魔法使いじゃないからね。背負ったキットに素材を入れて、その力を駆使することができる人ってだけ」

「でも、素材の能力を引き出したり、能力に対する強い抗体を持ち合わせている人じゃないと使えないんだろ?」

「金属アレルギーが無いとか、そういうレベルよ」

「……至極単純な例えだな。もっとすごいってアピールしろよ」


 便利は便利な力だけど、時折自分で気味が悪く感じることもある。

 これは人間としての本来の力なのだろうかと感じるし、もしも自分が過去に生まれてしまい、この力があると知られてしまえば、自ずと戦争へ駆り出されていたのかもしれない。

 今さら人に隠すものではないにしても、あまり大っぴらにアピールしようとは私は思っていない。

 程々に使い、静かに終わらせたい。


「それで、私に壊れかけのラジオの音を聞かせて、なんて言っているのか気になったと」

「全面正解。俺も程々には歴史の歩みに興味ある。過去の声が聞ける可能性がある異物は数年に一度って言うし、内容に価値があるとかないとか関係なく、なんとなく野次馬精神で知っておきたい」

「ハナも好きだねぇ……」


 過去の人物の言葉を聞こえたとしても、戦争中の人か悪魔の言葉だからね。

 殺せ、逃げろ、苦しい、戦争はいつ終わるのか、なぜ私はここにいるのか。

 聞いてて決して楽しいものではない単語が断片的に届くことが多い。

 他人の、しかも過去の人物の言葉がそれじゃあ、私が聞いてもしょうがないと思うが。


「今夜にも鑑定に回しちゃうらしいから、声を聞くなら今のうち」

「もしも声を聞けたなら?」

「今夜の夕食はレアな部位を使ったイノシシステーキ」

「よし約束だ。戸棚に旅人から仕入れた粗挽きこしょうがあるから、ドバッと使いまくってね」

「任せとけ。良いやつを作っておくから、おまえの脳内で考えた適当なコメント言うんじゃねえぞ」

「はいはいバレたか」


 家の外には興味本位の人が出てきて銅像を見ようと道を駆ける。

 好きだなぁ……と心の中で思いつつも、私も全くもって気にならないということでもないので、ハナをダシに内容を聞いてみたいと思う。

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