第24話:メルボルン拡張計画(前半)
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……
更に一時間後――
「とまあ、すっきりしたところで本題に入りましょうか」
「何事もなく切り替えできるルーミル姉さんぱねえっす」
見る価値にもならない茶番劇は、私たちの中で無かったことにする。
なんというか、話が色々と荒かったし、何か生み出された痕跡がない。
……ちなみに晩ご飯に七面鳥を焼いてくれることになった模様。
なんでだろうなあ?(すっとぼけ)
この懺悔を利用して短いスカートをズボンに替えてもらおうとしたが、それは強く拒否されてしまった。
女子力云々に関しては、どうしても譲れない話らしい。
黒いニーハイにするか、縞々のニーハイにするかという選択は選べるようになったようだが、そこはどうでもいいので黒のままにしておく。
なんというか、感覚がよくわからない。
これ以上の抵抗は、単純に時間の無駄となってしまうので、本題に入るために、私が妥協することにした。
「リヌリラには、可能な限り実践を積み重ねてもらうのが良いと思います」
「実践……悪魔を討伐するってことだよね」
「ええ、メルボルンの外には凶悪な悪魔たちがウジャウジャと存在しています。私たちにとっての敵であり、殺すべき憎き敵です」
『倒す』じゃなくて『殺す』。
細かい点ではあるが、やはり表現に過激さが目立つ。
「悪魔を殺し、その地域を開放できれば、今のメルボルンのように人だけが安全に暮らせる『セーフエリア』を拡張することができます」
「どういう理屈で?」
「以前、メルボルンは悪魔の侵入を防ぐ『イデンシゲート』という壁に覆われていると説明をしましたね?」
「うん、超循環士が手に入れたすごい技術だって」
言葉で聞く限りでは、相当非科学的な謎技術ではあるが。
「セーフエリアは、『イデンシのタコ壺』という道具を使い生成を行います。中には特殊な気体が入っていまして、それを散布することで、悪魔の侵入することの出来ない空間を生成できるのです」
「へぇ、すごく便利。一方的に人間が住める安全な場所を作れるって、相当有利な状況じゃない?」
「ですが、イデンシのタコ壺での散布は目立つ上に、壺自体の強度は脆い。危険地帯に無防備に置いてしまえば、数分のうちに破壊されてしまうでしょう。理屈では簡単な話ですが、悪魔が邪魔してくるとなると、話は変わってきます」
簡単にはいかないということか。
目の前で悪魔にとって不利なことが起こるのであれば、防衛するのも本能と言ったところか。
「セーフエリアの開拓をするということは、イデンシゲートの外、つまり悪魔がうごめく地域へと出なくてはいけません。開拓エリアの悪魔をまず殺し、イデンシのタコ壺で気体を散布する間も悪魔からの攻撃を阻止しなくてはいけない」
「意外とハードな防衛戦というところだね。苦労もなかなか多いんじゃない?」
「しかし恩恵はなかなか大きなものだと思いませんか? 一度セーフエリアを開拓してしまえば、永遠にそこは私たちの住める場所になるのですよ」
確かに、うま味としては絶大だ。
人が仕掛け、悪魔が妨害しようとする理由はよくわかる。
「設置からセーフエリアが出来るまでの時間は?」
「開拓規模に応じてイデンシのタコ壺は大中小と分けて用意してあります。大が七時間、中が二時間、そして小が三十分。それぞれの目標時間を超えれば、悪魔は二度とそのエリアに侵入できなくなります」
「ものによってだいぶ違うんだね」
「戦況に応じて使い分けしたいですからね。以前は中の一種類だけでしたけど、研究を重ねて三種類に増やしました」
効果があるだけに、研究に投資する価値があるということだろう。
「大が達成できれば直径五キロ、中が達成できれば一キロ、そして小が達成出来れば……」
「……三百メートルくらい?」
「いえ、三十メートルほど」
学校のプール作ったら終わりという感じか。
しかし、イデンシのタコ壺を状況に応じて使い分けできるというのは地味に便利そうだ。




