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超循環のリヌリラ〜現役PS4ゲーム開発プランナーがゲーム化する〜  作者: タチマチP
第2章-19世紀のメルボルン。時代は過去へ、戦争時代-
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第17話:リヌリラVSルーミル03

「さて、私にはまだ攻撃は一度も入っていないのに、そんなに疲弊してて大丈夫ですか?」

「た、体力だけはまあまあ自信があるから、こんなのまだ序の口……」

「よかった。ならもう少しだけ、いたぶ……訓練できますね」


 今確実に本音出したよね。

 本音出したよね。


 おちょくったものをと思いつつルーミルを観察していたが、とうとう、じっと移動せずにいた状況をやめ、ゆっくりと私の方へと近づいてくる。


「その場で突っ立って戦う人なんて戦場にいません。立ち止まるというのは、いわば自殺行為に等しいのです」

「つまり、まだチュートリアルだったということだよね」

「そりゃあ、私は褒めて伸ばすタイプですから、いきなり本気では一分と持たずに終わってしまいます」

「それはどうも。なら、私は二分焦らすことが出来れば勝ちっていうことだよね」

「まあ、今回は私に二回攻撃を当てることが出来れば勝ちというルールです。決められた条件に基づいて、私を驚かせてみてください」


 ルーミルは右手に溜めた熱烈草の力を小指に溜めて、爆弾状にしたそれを私の元へと投げつける。


 ボォゥゥゥゥゥゥム……!!!!!


 着弾地点を大きく爆散、そして発火。

 見たこともないような黒煙の煙がもくもくと空へ浮かび上がっている。

 数秒の後に、その煙が風でまかれると、着弾した先には……


「こ、これ……マグマ……?」

「マグマ、溶岩、ドロドロレッド。まあ何でもいいです。それですね」


 最後の表現はなんだろうか。

 言いたいことはわからないこともないけど。


「ちなみに、マグマの温度は七百度くらいと言われています。触れたら最後、骨まで溶けてしまいますので注意してくださいね」

「言われなくても分かってる! でも、ルーミルはこれを利用して戦ってみろという意味で、マグマを展開したんでしょ!」

「バレました? 流石です。マグマはもちろん悪魔にも通用します。そのままでは使うことは出来ませんが、とある工夫をすれば……おっと」

「……?」


 ルーミルはそれだけをいうと、私が先程使用した旅路花を手に取り循環ポケットの中に入れる。

 力が生成されたと同時に一気に駆けて飛び上がり、二十メートルは超えるであろう高さまで到達してしまった。


「わ、私よりも圧倒的に高く飛んでいる」


 ルーミルの姿がまるで小豆のように小さく見える。

 私も足腰には自信があるし、ルーミルの見た目は思いの外、華奢な女性という感じで、なんともこの結果に違和感しか残らない。


「素材の使い慣れってことかな? 工夫すれば、そんな風に鳥と一緒に飛べるようになるんだね」


 独り言を言おうとも、高く飛び続けているルーミルに声は届かない。

 虚しく言葉が消えゆく中で、私はルーミルがどのような手に出るのか警戒する。


 先程の私のように、空中から急襲して攻撃するのか、それとも弾丸で攻撃するのか。

 熱烈草は先程全て使い果たしたように見えるので、隠し玉さえ用意されていなければ、もしかしたら弾丸の可能性は消えるかもしれないけど。


「ただ、じっと立ち止まって警戒するのが危険なのはわかる。私もルーミルの想定の外へ行く!!」


 私は駆けた先にある小さな水たまりの水を大量にすくい集め、循環ポケットの中へと入れていく。

 リュックキットには容量の限界があるので、八分目を目処に水を入れ、次の素材の枠を残す。


「熱烈草。直感的に使えるという点では、私にとっては都合がいい」


 数束拾い集めた上で、左手にぐっと握りしめておく。


 改めて上空を確認。

 ルーミルは先程のピークの高さからある程度落下しており、現在は十メートル近辺にいる。

 右手には何やら真っ黄色に染められた力が生成されており、何が来るか正直わからない。


「私が怖いのは、何が来るかじゃなくて、ぶつかるかぶつからないか! なら、私の居場所がこれでもわかるかな……!」


 ボゥウムフ……!!


「うっ……先程のマグマに大量の水を入れた……? ものすごい量の霧が……げほっ……」


 予想通り、マグマに水を与えれば、蒸発して霧となる。

 大量に与えるほど霧はたくさん生まれて煙幕になる。

 もしも戦争だというなら、自分の居場所がわからないという状況を作れるのは、相当のアドバンテージとなる。


「けほ……マグマの匂いがきつくて……けほ……」


 ルーミルは大きくむせて、落下しようとしたところから上昇し、再び十メートル地点のところまで避難していた。

 初めはマグマ自体を素材として使用することも考えた。

 だけど、手で素材をすくって循環ポケットに入れる術がないし、何より循環キットが壊れてしまわないかという懸念もあったので、現状の私では直接素材を使うことは出来ないのだろうと判断。


 私は隙が生まれたルーミル目掛けて煙幕の中から標準を定めて熱烈草のフィンガーガンを発射する。

 自他ともに認めるエイム力の無さではあるが、私だって集中すれば、数発に一度は命中させることは出来る。


 ヒュン……

 パシュ……!

 ヒュン……


「うっ……熱烈草の弾丸が……痛っ……!」


 確か、唐辛子を練り込まれたような痛みだったとか。

 やばい、改めて想像するとメッチャ痛そう。


 改めてルーミルは現状いる場所から大きく離れ、今度は旋回しながら移動する。


「動いている敵に対して弾丸を当てるのは私の仕事じゃない。だからガンマンごっこはここでおしまい」


 それより、もう一つ素材を使う必要がありそう。

 ……保険としてね。

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