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追憶のアビス  作者: ezelu
第2章 組織編
66/220

第六十五話 輝夜との一戦、終結

今回はいつもの半分くらいの文字数です。

すいません(´・ω・`)

甲高い金属音の響く剣戟。打ち合う剣が繊細な火花を散らす。

剣が交わる瞬間、輝夜の視界はブレ、体勢を崩す。

追憶の未来視(リコレクション)》を使っている夜十は大きな隙を逃すまいと鋭い蹴りを飛ばした。

だが、蹴りは輝夜が持つ反射神経と動体視力の高さによって回避される。



「くっ……厄介やな。全部攻撃が読まれてるのうて……」


輝夜は辛そうに言葉を吐き、右手に握った剣のグリップに力を入れた。

そして、素早く次の一手に切り替える為、大きな一歩を踏み出す。


地面を蹴った刹那。

一瞬のうちに目の前に現れた輝夜へ、夜十は剣を振り下ろした。

《追憶の未来視》で輝夜の未来は掌握済み。一切の油断もせず、全力で叩き潰す事に専念しよう。


ーーだが、剣は床を激しく網羅していただけだった。

輝夜は何処へ?

疑問を浮かべた瞬間だった。


背後から夜十が絶対に反応出来ない速度で剣を振ろうと輝夜が現れる。

凄まじい速度。

先程の目の前に現れたのは、残像なのだと分かると、背中を斬られた痛みを感じながら、起き上がり、輝夜の胸部を強く押した。



「こ、これで……ごぼっ……!! 」


「何しとんや。もう続行は不可能やな。そんな攻撃、全然効かへんのう。 」


口から大量の血液を吐き、地面に突っ伏した。吐息を荒げ、呆れた表情の輝夜に目もくれず、下を俯きながら笑った。



「ふぅ……続行は可能ですよ。ここから先はあんたの攻撃……当たりませんから。 」


ゆっくりと立ち上がり、口に付いた血液を腕で拭うと、笑顔でそう言った。



「はぁ?どういうこっちゃねん。見栄を張るのはいいけどよ。まあ、良い。派手に暴れてやんよ! 」


ーー瞬間。

挑発に乗った輝夜の魔力が変化した。

恐らく、戦士型から魔法師型になろうとしているのだろう。

空気の歪みと振動が教えてくれた。



「……お前を大型アビスと思って攻撃してやる!! 」


「……良いですよ。当てられるものなら当ててみてください。 」


"調子に乗りやがって"

輝夜はこの時、夜十が見栄を張っているようにしか見えなかった。

当然、今攻めているのは自分で追い詰められているのは夜十だと確信していたからだ。


地面を蹴った輝夜が繰り出す速度の伴った攻撃、剣には金色の光、凄まじい電圧が篭った魔力が纏われている。

音速を軽く凌駕した速度で一撃目を確実に決めようと、剣を横から振るう。


"この間合いならいける"

ーーそう確信した瞬間だった。


目の前に居た夜十に剣を振るったはずが、ソレは虚空を切り裂いてしまう。

不審に思った輝夜は次々と剣を振るい、夜十へダメージを与えようとするが一回として掠ることも無かった。


"何故だ、このままでは宣言通り、攻撃が当たらないことになる"


焦りを覚えたのか、剣を消去し、金色に輝く杖を体現させた。


"物理攻撃で当たらないのなら魔法で当てればいい"


そう考えたのだ。



「《雷光の鉄槌》! 》


頭上へ黄色に輝く、無数の魔法陣が展開され一斉に魔力の篭った雷柱が降り注ぐ。

先程の光の雨とは違って、魔力の密度が段違いに高く、人間が当たれば皮膚も骨も溶かしてしまいそうだ。


だがーー、それでも当たらない。

素早い速度で魔法を展開。今の間合いで今の体勢で当たらないわけがない。

けれど、現に当たっていないのだから何らかのトリックが発生していることは明確。


これ以降、無闇に攻撃しても体力を消耗するだけ。

そう分かっていても、攻撃は止まらない。



「新島隊長、輝夜さんはワザと当てないようにしているんですか? 」


「いや……アレは新木場の技だ。 」


「……新木場さんの?! 」


新島は右手で顎の髭を触り、ニヤリと口元を歪めながら話を続ける。



「人間には胸部のとある部分に強い力を与えられると、体感速度にラグが起こるようになっているんだよ。夜十が背中を斬られながら行った攻撃分かるだろ? 」


「嗚呼!!だから、輝夜さんは当てようとしているつもりでも当たらないんですね! 」



「そういうこと!体感速度を脳に伝える信号に衝撃を与えたことでってな。簡単な原理だが、された本人が気づくことはない。それに、当てられない焦りが足場を崩していくんだよ。 」




先程まで追い詰められていた夜十は、輝夜の攻撃を一定時間永遠に避け続けていた為に、輝夜に疲労が見えてきた。

そして、その綻びをーー。



「……逃すわけ……!! 」


地面を蹴って一気に加速。追撃を加えようとする輝夜の攻撃を簡単に避け、背後に回る。


ゆっくりと目を開き、炎の剣を五本発現。

一気に放ち、峰で輝夜の両腕を取り押さえる。



「はぁぁぁぁぁああああ!! 《流星(ミーティア)》! 」


拳に紅っぽいオレンジ色の光が纏われ始める。それが魔力の昂りで、今から夜十が放とうとしている攻撃に当たれば、意識が消えるのは確実。


けれど、逃げることは出来なかった。

今までの猛攻撃で体が疲労し切ってしまったのだ。

普段なら剣を力でねじ伏せる事など朝飯前だが、今の輝夜にそんな力は残されていない。


「夜十、強くなったな……!! 」


拳に感謝を乗せて精一杯の力を出し切ろうとした刹那。

太く低い声が周りを静止させる。



「そこまで!!輝夜の降参で夜十の勝利! 」


《流星》の威力に危険を感じた新島が声を張り上げたのだ。



「何で止めんねん!この一撃を喰らわな、負けた気ぃせんやん! 」


「輝夜、今の一撃じゃ簡単に身体が吹き飛ぶことくらいわかるだろ!?夜十もだ!! 」


核心を突かれた二人は黙ってその場に正座し、頭を下げながらーー。



「「すいませんでした」」



と、口を揃えて言った。




「よし、久しぶりの顔合わせは終わったな!んじゃ、食堂行くぞ!! 」


身体がズタボロの四人は、食堂へ行く気満々の新島へ一つだけお願いを紡ぐ。



「隊長、俺、風呂入っていいすかね? 」


「夜十の言う通りや!汗臭くなってもうて、人に会える状態やない! 」


「んじゃ、俺ら二人も行きますね。隊長、先に行っていてください。 」


「んん、じゃ、じゃあ今回は特別に……おれが背中流してや……アレ?居ねえ! 」


四人は身の危険を感じ、一目散に浴場へと向かったのだった。

新島が行う背中を流しましょうか?は、普通の人の比ではない力で洗ってくることで施設内ではかなり有名。

ズタボロの身体にこれ以上傷をつけるのが、嫌なので逃げた。



浴場へ着くと、洗練された腕の筋肉と綺麗に割れたシックスパックが浴場の光に反射して神々しいサマを見せる神城の姿があった。

その瞬間、四人は背筋凍る言葉を聞く羽目になると瞬時に判断する。


「お……?お前らズタボロじゃないか。俺が背中を流してやろう。入っといで! 」


"ま、まずい"

施設内で背中を流して欲しくない人ランキング三位の脳筋神城だ。

因みに第一位は新島、第二位は新木場。


この後、四人の断末魔が浴場に聞こえたことを誰も知る由は無いのだった。





第六十五話目を御拝見頂き、誠にありがとうございます!

投稿予定日や更新に関しては、後書きやTwitterなどでお知らせする予定なので、ご了承ください。

TwitterID↓

@sirokurosan2580


今回は少し短かったですね。当然です、半分ですから……すいません。

明日は投稿出来ると思うのでお楽しみに^^


それではっ、次回予告です!!


食堂へ向かうと組織に所属する人物が全員集合していた。夜十が組織に帰ってきたことで歓迎会が開かれた!!今日は宴だ!宴!新島は騒ぎ、神城は踊る。この時間が一生続けばいいのにーー。


拙い文章ですが、楽しく面白い作品を作っていきたいので、是非、応援よろしくお願いします!!

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