第五十三話 目覚め
遅くなった上に二千文字しか投稿できなくてすいません!
ーー《戦闘派》拠点。
普段、来るはずのない人物が姿を現す。彼はその場に居た兵士を次々と殺戮し、火炎へ黒い笑みを手向けた。
「……火炎、この意味がわかるか? 」
火炎は足をガクガクと震わせて、床に膝をついた。そして大声でーー。
「お、おかえりなさい!!お待ちしておりましたぁぁ!! 」
と、叫んだ。火炎の兵士も、後から駆けつけた隊長達も黙って跪く。
これがーー星咲嶺王。
《戦闘派》を纏める最強の《クズ》である。
「なぁ、火炎。俺はお前を頗る信頼しているが、お前は妹を殺せるか? 」
「……ッ!!そ、それは……」
火炎は何も言えなかった。心の中にしまっておきたいこと、それは星咲に伝えていた。
「返事はッ……二つだッ!! 」
星咲の拳が火炎の腹部へめり込み、拠点の壁を破り、外へ吹っ飛ばした。
その威力はどう考えてもおかしい。幾ら星咲でも出せないパワーのはずだ。
だがーー。
《戦闘派》は憧れて、妬んで、嫉妬する。
力と痛みによる絶対的な忠誠心。彼らの心が今更揺らぐことはない。
「氷洞零、お前は好きな人を殺せるか? 」
「私はーー」
凍てつく心の持ち主。氷のように冷めきった瞳と表情、彼女は黙って戻っていった。
ーー《平和派》拠点。
今日は発明室に風見と店長、沖、夜十、朝日奈が武器の試行錯誤に来ていた。
何でも、全員分の武器を発明したらしい。けれど、今日中に全員が来るのは難しく、暇な人達だけが集まっている。
「燈火ちゃんの武器は自分で具現するから良いって言われたけど、もし!相手の魔法を無力化させることができるやつが出て来たらどうする?武器くらいは持ってた方がいいよ!ということでコレ! 」
朝日奈に手渡しで渡された燃え滾る炎が象徴の赤い鞘に入った刀剣。
鞘から抜いてみると、刀剣の刃の部分にまで炎のような装飾がされていた。何とも手が込んだ武器である。
「……これは? 」
「《レーヴァ》って刀剣だよ。炎との同化力、耐性はズバ抜けているから普段も使えるし、態と重くないように作ったんだ。女の子だしね? 」
「あっ、……ありがとうございます!! 」
朝日奈は普段、このメンバーに見せないような笑顔を振舞いながら大声でお礼を言った。
最初の頃は心を開いているのか居ないのか分からない程に無感情な表情だったが、最近になって《平和派》の皆といる時も笑顔を見せている。これは嬉しいことだ。
俺は独りでに満足していた。
「はい、次は風見ね!風見は戦闘が苦手といえど、ナイフの使い手だからな。俺の特製ナイフを取り敢えず、十五本!部屋に千本程送っておいたよ! 」
「はぁ!?千本!?てんちょー、私の部屋にどうやって入れたの!? 」
「押し込んだよ。その後バラけたかもだけど、自分で探せ! 」
会話の中身はまるで分からないが、風見先輩がナイフの使い手だということには驚いた。
"戦闘が不向きな人"というイメージで定着していたからだ。
続いて〜と言わんばかりに、店長が俺に剣を差し出した。俺の愛剣、黒剣ではない。
刀身と柄の部分さえ、真っ白の刀剣だ。鞘まで白く、俺の趣味ではない。
「此れは夜十君が今まで《追憶の未来視》で覚えた相手の行動と力を瞬時に見極めて、刀剣の能力として使うことが出来る武器だよ。どう? 」
つまり、《追憶の模倣》が二つ同時に出来るということだ。
《願いの十字架》によって、俺の魔法の回数は"願わなければ"無制限。益々強い力を手に入れられた、店長は発明家として素晴らしい才能を持っていると、改めて感じた。
「はい、沖はメンテナンス終えーー」
「た、大変だぁぁぁぁぁあ!! 」
発明室の扉を勢いよく開けて叫んできたのは、俺と朝日奈が見たことのない人物だった。風見と沖、店長が驚愕している。
「ど、どうしたんですか?!湯遊川先輩! 」
「二都が殺された……! 」
「……えっ!? 」
全員が驚いている、つまり只事ではない。
風見は下を俯きながら冷や汗をかいている、相当焦っているようだった。
「……誰がやったんですか? 」
「……星咲だ。目覚めたんだよ、去年のようにな!彼奴を止めた二都がやられたとなると、こっちに勝ち目は……」
星咲?《戦闘派》のボスで生徒会の?
俺はふと、この時、前に轟音に言われたことを思い出した。
"星咲は二人いる"
つまり、もう一人が目覚めたのだ。
戦闘が大好きで平和嫌いの星咲嶺王がーー。
すると、風見は店長から受け取ったナイフを征服の内ポケットにしまいながら、発明室を出ようと出口へ向かう。
「風見!どこへ行くんだ! 」
が、彼女の右手を沖が掴んで遮った。
風見の表情は今まで一度も見たことのない怒りを露わにした表情へ変貌している。
「沖、離してくれ!二都先輩亡き今、誰がそれを弔うんだよ。それは《平和派》を受け継いだ私しかいない!頼むから! 」
「……嫌だよ。このままじゃ、相手の思う壺だ。昨日一緒に大会に出て楽しく話した星咲はもうどこにも居ない。あそこにいるのは、殺戮を楽しみ、平和を嫌う《最低》なんだよ!!分かるだろ!? 」
必死に風見を諭す沖。
今行けば風見先輩が星咲の標的になるのはまず間違いがない。だからと言って冷静になれる場面でもないのだ。
「風見先輩達はここに居てください。俺と朝日奈で様子を見てきます。星咲先輩に会わないようにだけ気をつけますから、それでは! 」
彼らが止める言葉を聞く前に発明室から出た。瞬時に朝比奈と思わしき人物の手を掴んだのだ。拠点から外へ出ると、俺は驚愕した。
「へぇ?今のは縮地法? 」
「だ、誰ですかぁぁぁぁぁあ!? 」
目の前に現れたのは朝日奈ではなく、金髪の大人びた男性だった。そういえば先ほど、風見に一報してきた男性だった気がする。
「あぁ、俺は湯遊川神。神でも、湯遊川でも適当に呼んでくれ。君は確か、一年生の冴島夜十だよな? 」
「はい、そうですけど……なんで俺を? 」
すると、彼は高らかに声を大きくし、笑い声を上げた。
「君を知らないわけないだろ?世界蛇から学園を救った英雄、って噂されてんだから! 」
え?英雄?一度も言われたことがなかった言葉に困惑する。俺って影でそんなこと言われてたの!?
「まぁ、そういうこった!星咲のところ行くんだろ?俺が案内してやるよ! 」
纏め方が大雑把だなーと、思いながらも案内してくれるとのこと。
俺は湯遊川の後ろを黙って、ついて行くことにしたのだった。
五十三話目を御拝見頂き、誠にありがとうございます!
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@sirokurosan2580
遅くなった上に短くてすいません!
WiFiつくまではと思ったんですが、まだWiFiは付いてませんよ()
仕事がキャンペーンとかで忙しくなったりして、なかなか時間が作れなくてすいません。
次回予告デーっす!
湯遊川は夜十に今は亡き二都の話をする。
それは楽しく平和な話ーー。
次回もお楽しみに!
【殴られた火炎】
「クッソ……腹いてえ!! けど!! 」
彼は大きく息を吸い込んで。
「きんもちぃぃぃいいいいいいい!!! 」
※自分の隊員達に気持ち悪いと囁かれる火炎なのでした。
拙い文章ですが、楽しく面白い作品を作っていきたいので、是非、応援よろしくお願いします!!




