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追憶のアビス  作者: ezelu
第1章 学園編《所属狩り編》
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第十四話 身体測定


ーー翌日。

早起きをして、いつものように登校する。

今日は、身体測定と魔力測定演習の日だ。相手の先輩が誰なのか、分からない。

対戦相手は、その日に決まるようだ。


俺は、席について、

真剣な表情で話そうとしている夕霧に視線を向けた。



「ハイ、じゃあ、今日の予定を言うわよ!

今日は、身体測定を二人一組でやって貰うわ!そうね、ペアは席順で!!

あっ、因みに身体測定を時間通りに終えられなかったペアは、ペナルティがあるから気をつけてくださいdeath☆」



ーーとなると、やはり俺のペアは朝日奈だ。

朝日奈も分かっているようで、振り向いた俺に笑顔でグッドサインをかましてきた。

それに、ペナルティ!?

なんだよ、それ!!これは、スタートダッシュ本気で行くしかないな!




「大体、午前中で身体測定が終わるわね。

午後から、戦闘演習よ!十二時に、アリーナへ集合すること!!分かったら、スタート!自分達で端末に記録を打ち込むのよー」


ペナルティのことを考慮して、勢いよく教室を飛び出した、朝日奈と俺は、

さっき渡された身体測定の指定場所が書かれている資料を頼りに、向かう。



「じゃあ、一発目だな……!

身長と体重!」


保健室に着くと、保健室の教員が俺へ"久しぶり"と声をかけてきた。


「あんた達が今日初めての測定者ね。

まあ、早く来たのはかなり良いことよ!

今、廊下がざわめいたので分かったと思うけど、全校生徒がここに集まるわけだから、相当時間がかかるんだよ!」


はぁ!?

これだけ広い学園なのに、なんで効率が悪いんだよ!!

てか、こう言うのって男女の場合、男は気を遣った方がいいんじゃ……?

と、思ったが、当の朝日奈は全く気にしていないようだ。


教員が、身長を測る縦に長いモノと体重計にそれぞれ乗るよう指示してきた。


俺は身長へ、朝日奈は体重計に乗る。

俺の身長は、168cm→169cmに上がっていた。対する、彼女の体重は……やめろ!

見てはいけない……!!

プライバシーだぞ、ましてや女の子!



「45kgかあ、変わらないわね……」


聞いてない聞いてない!

彼女は、何にも気にしていないようにボソッと囁いた。



「はい、チェンジね!」


今度は、俺が体重、朝比奈が身長だ。


俺の体重は、52kg。

組織にいた時と何ら変わらなかった。



「んー、増えないわねー!

身長も、156cmで止まってる……」


ギロッ!

と、こちらを睨む朝日奈。



「何よ!あんたの見せてみなさい!

169cmと52kg……?フツー……」


特に突っ込むところがなかったのだろう。彼女は憤怒の表情を徐々に失い、時間が経つと真顔になっていた。



「……フツー過ぎて突っ込む言葉も見つからないわ。」



「……フツーで悪かったな!!」


さて、次行こう。

次は確か、反復横跳びとか握力だから、アリーナだな。



「よし、次はアリーナだよ!

あっ、ごめん。手、繋いどく?」


俺は、彼女が迷子になることを予知して、問いかける。

すると、彼女は顔を赤らめながらも、自の方向音痴に気づいているようで、優しく包み込むように俺の手を握った。



「よしっ!アリーナまで走るぞ!」


「ちょ、ちょっとおおおお!?

は、速い!!速いってえええ!!」


廊下を走り抜け、アリーナへ到着すると、

俺の方へ手を振っている風見の姿が見えた。彼女の隣には、沖が笑顔で立っている。あの二人も男女ペアか。



「こんにちはー!」


俺が挨拶をすると、風見は面白そうに俺達をニヤニヤと顔を歪めながら見つめてきている。なんだなんだ?

何か、顔についているのか?



「二人共、仲良いね〜!!

やっぱり、出来てる??」


「はぁっ!?」

「はぁぁ!?」


偶然にも二人同時に言葉が被った。

その様子を見て、益々ニヤニヤし始める風見の口元に大きな手が覆い被さるように、彼女の口を塞いだ。



「もごふっ!!をぉき!!やめふぉ!」



「ごめんね。

風見には後で叱っとくから、気にしないでね」


俺達は、風見を扱う、沖の態度を。


まるでーー風見の親のように見えたのだった。



ーー反復横跳びと握力測定の会場になっているアリーナでは、握力測定用のゴツい機械が折りたたみ式の机の上に並べられている。

実戦用の時みたいに、防御障壁が貼られていることはなく、入学式を行った方のアリーナの形だ


俺は、机の上の機械を一つ手に取ると、取っ手の部分を持って、全力を振り絞った。

するとーー

ボンッ!という音を発しながら、機械が爆発し、辺りに部品を散乱させた。


えええええ!?

なんで、!?


隣に居た彼女は、

俺の驚異的な握力に驚愕したのか、机に置いてある壊れていない機械を手に取った。



「……なんでこれが壊れるのよ」


ぐーっと力を込めると、

彼女の機械は壊れずに数値が刻まれた。



「……70kgね。これって高いの?」


いや、高すぎるわ!

一般の学校じゃ、高くて男子ですら五十行くか行かないかくらいだよ!?


それを七十…って、化け物かよ!


「高いよ、かなり……!!」


「ふーん、まあ、次はアレね」


彼女は、反復横跳び用に引かれた三本の線を指差しながら言った。

既に何名かの生徒が必死に足を動かして、数を重ねて行く姿が見えた。


俺は、線の真ん中に立ち、彼女が端末を持って、三十秒間のタイムを測る。

数に関しては、俺が大声を出して、数えればいいだけのことだ。


彼女は、端末を持ちながら。

「よーい……スタートッッ!!」

と、俺に開始の合図を紡いだ。


ーー開始早々。

足を全力で動かし、自分の限界を超えるために三十秒という少ない時間の中で、全ての体力を使い切るまでには、頑張った。


結果。

二百五十回。


「ふぅ、次は朝日奈の番だよ」


彼女は俺の端末に記録を入力し、

線の真ん中に立って、開始の合図を待った。



「よーい、スタート!」


本人さえ気づいていないとは思うが、反復横跳びで足を動かす度に、彼女の巨大な胸が縦に、横に振動するのが目に映って数えるのを邪魔してくる。

何故か、胸のドキドキが止まらない。

いや、違うんだ。俺は別に好きとかではなくてだな。

待て、数えるのに集中しろ俺!



「ふー、終わったわ。

何回だった?」


胸のことが気になって、回数は数えていたがボタンを必死に押しているだけだった俺は、端末に視線を移した。


あ、電源入ってなかった。

どうしよう、適当に……いや、それは。



「……どうしたの?

まさか、数えていないとでも?」


「……数えてたつもりだったんだけど、

端末の電源が入ってなかったみたいなんだ」


彼女は、やれやれと呆れながら、自分の端末に記録を入力し始めた。


「え、数えてたの!?」



「あったりまえじゃない!自分の記録くらい、自分で数えるわよ。

あんたに聞いたのは、見ているときの顔がキモかったから……!何見てんのかなあって」


え……?

いや、待てよ?そんなキモい顔してたの!?

いや、胸なんか見てな、、なんでもない。



気を取り直して、アリーナの端で行われている、長座体前屈と上体起こしをやろう。

俺は、壁際に腰を下ろし、目の前の板を力一杯に押した。


結果は、44.5cm!

16歳男子の平均は大体47.5cmらしいので、平均以下だった。



「身体、硬いのね。

柔軟性を持ってた方が、剣にも生かしやすいのに!体操とかすれば?」


彼女は、"やっと勝てる"というような勝ち誇りの表情で俺を見下す。

えーっと、競ってないよな、コレ……!


彼女は俺同様に、壁際に腰を下ろして、身体を前に倒しながら、板を強く押していく。

瞬間、俺が真正面から見たのはーー


胸が必死に迫ってくる絵だった。

ヤバイ……!!このままでは、俺が変態だと勘違いされてしまう!!


あっ、顔……!顔を笑顔に!

その瞬間、俺の頬には強烈な打撃による痛烈な痛みが走った。



「また……夜十の変態!!」


彼女は、やはり視線に気がついていたのだろうか。俺の左頬には、赤く手形がついた。

その時の彼女の表情は、まさに"鬼"だった。


ーー次の測定は外での測定だったので、玄関に向かう。

まだ、彼女は怒っているので、声が掛けづらい。かけたとしても、嫌な顔されて終わりなだけな気がしてならないのだ。



「……朝日奈」


俺は玄関先で立ち止まった。


「……さっきのは別にいいわよ!

あんたも男っ……て、ことだもんね」


彼女は、俯く俺に笑顔を振る舞った。

この時、彼女は自分自身の胸の中に、何か火照りがあったのを感じた。

それが何かなのかさえ、今では分からないけれど。



「いいの……?」



「いいわよ。ほら、次の種目いこ!

終わらなくてペナルティだったら、あんたが変態だってこと!!風見先輩に言うからね」


ちょっ!それはマズイ!

あの人平気な顔して。


「夜十君って、そんな堂々と女の子の胸をガン見するような男のだったんだねぇ。

もっとウブな子だと思ってたんだけど、お姉さんも一肌脱ごうか?」


ーーとか、言い始めそうだから怖い。

俺は風見さんにそんなこと言われたくない!


俺は、前方を走る彼女の手を取って、

また全速力で学園の道を走り抜ける。

必死さ、からなのか、彼女の声は全く聞こえなかった。



「ちょ、いやぁぁぁああああ!!」



ーー最後の種目。

ボール投げと五十メートル走だ。


最初は、ボール投げから。


何やら機会仕掛けで出来た、ソフトボールほどの大きめのボールを渡された俺は、距離を測るための線が書かれた場所に向かう。

スタート位置、丸い円の内側に入り込むと、瞬間的に、腰と重心、足の踏み込みを意識して、全力でボールを放った。



「はぁぁぁぁぁあああ!!」


俺の手から放たれたボールは、放物線を描くように空高く飛び、学園内の広い校庭を超えて、《祈願派》の拠点のある方へ落下した。



結果、85m。

なんでそんな明確に数値が分かるの?!

誰も測ってないし、地面についた瞬間だよ?何で!?


それは、

ボールとリモコンで連動しており、投げられたボールがどれだけ飛んだかを、数値としてリモコンに送られるシステムになっているらしい。ので、俺が放ったボールを取りに行く必要もないんだとか。



お次は朝日奈。

彼女は、大きく振りかぶって力強く投げた。

ーーが、ポトッ。


記録、15m。

まさに唖然である。こういう時、どんな表情を取ったらいいのか、まるで分からない。


彼女は涙目で。

「次行くわよ!!」と力強く叫んできた。今のが、俺の立場として考えても、50m超えの人物の次に12mだったら、俺でも泣くわ!

なんか、悪いことしたなー。


ーーと、考えていると、彼女は。

次にアレで勝負をしたいと言ってきた。


それは、最後の種目、50m走。



「これで負けたら認めてやるわ!

あんたの方が運動出来るってね!」


「いや、朝日奈は、運動音痴でしょ?」


その瞬間、彼女の痛烈なハイキックが俺の顔面を捉え、放たれる。

だが、まあ来るとは思った。

片手で、平然と受け止め、彼女に足を返す。



「何が、運動音痴よ!!

方向は認めるけど、運動は認めない!」


あ、方向は認めちゃうんだ。

まあ、あれは凄いもんな。

※第十二話参照。



五十メートル走の出発地点へ並ぶ、俺と朝日奈の表情は正に、真剣なものになっていた。

緊迫とした時間が流れ、スタートの合図までの時間がとても長く感じる。


「位置について!!」


身体が、ピクッとした。

いよいよ、始まる。

ーー俺と朝日奈のガチバトルが!



「……スタート!!」


開幕速攻、俺は、右足と左足を出すタイミングを同時に行う技法を用いた走り方で、瞬間的にゴールした。

まだ、彼女は半分くらいか。


俺のタイムは一秒。

遅くなったな、前だったら50mほどの距離であれば0.5秒で辿り着けたのに。


早過ぎる速度の俺を罵倒する彼女と、次にも50m走を走ろうとしている少年ら。

俺達も含め、まだまだ、油断していたのかもしれない。

この身体測定の時から始まっていたのだ。


《所属狩り》が。



闇夜に光り、白と黒色の狐の仮面を被った二人の少年。彼らの眼光は、鋭利に光を切り裂く。


楽しい空気に破壊を。



十四話目を御拝見頂き、誠にありがとうございます!

投稿予定日や更新に関しては、後書きやTwitterなどでお知らせする予定なので、ご了承ください。

TwitterID↓

@sirokurosan2580

遅くなってすいません!

度々、遅れますが、今回も投稿できました!

また誤字の指摘等を教えてください^^

よろしくお願いします!


拙い文章ですが、楽しく面白い作品を作っていきたいので、是非、応援よろしくお願いします!!

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