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追憶のアビス  作者: ezelu
第2章 組織編 《新入生編》
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第百十六話 火炎の葛藤

遅くなったとかそういうレベルじゃ無いっすね、忙しいのでまったり書いていきます。

「クソが、解けよ!オイ!クズ! 」


虹色に捕縛された熱矢は、暴言を吐きながら拘束されて、教員室の床に座らされていた。

今、教員室内には入学式の準備を行っていることもあってか、虹色と熱矢の二人しか居ない。

他の教員はアリーナに行っている。



「ん〜、指導室に連れて行ってもいいけど、生徒指導の沖先輩を呼んで話してもらわないとダメだからなぁ。……アリーナに行くしかないか。 」


「オイ!無視してんじゃねえよ!クソゴミの分際で! 」


怒鳴り声を上げる熱矢を無視して、虹色は思考を駆け巡らせていた。



ーーすると、教員室の扉が開き、虹色と熱矢の二人は扉の先を凝視した。



「な、なっ……!!お、お前は……か、か、火炎! 」





熱矢が驚きの声音を上げると同時に、火炎も驚愕した表情で一歩後退した。

熱矢は血走った瞳で呼吸を激しく乱し、殺気を帯びた表情で火炎を睨みつける。




「あ、熱矢……!」



「アレ、お二人は知り合いだったんですか?先輩、それなら指導室に連れて……」



「悪い、吹雪。用事を思い出した。 」



火炎が背を向けて、教員室から出て行こうとしたタイミングで熱矢は言った。



「人殺しが!許さねえ!お前だけは!兄貴を、お前はァ!! 」


「……」


火炎はそれだけ言って、その場を去る。

彼は火炎に暴言を吐き続けた。火炎が教員室を出て行ったとしてもだ。

凄く憎いのだろう、男前な顔が怒りで歪む。




目の前の光景を見ていることしか出来なかった虹色は、ただ呆然と彼の暴言を聞いているしかなかった。



教員室を出て行った火炎は、廊下の壁に強く拳を打ち付けて歯を食い縛る。



「予想はしていたが俺はアイツに恨まれていた。……どうしたら良いんだよ!! 」


行き場の無い怒りと悲しみが募って、火炎は壁に打ち付けた拳を強く握りしめた。






ーーその頃、アリーナでは、夜十が言葉を濁して出て行った燈火へ、火炎のことについて質問していた。



「割り切ったって言ってただろ?なら、なんでアイツはそんなに深く考えるんだよ! 」



「火炎は朝日奈を背負う覚悟を決めた、でもそれは独断で行なっただけで現当主の焔に許してもらったことにはならない。アイツはそうやって自分を責めて、逃げてるのよ。自分を破門にした焔に会うことが怖いの。 」




夜十や燈火を説得した時みたいに、あの事件は火炎の意思で行ったわけではないと焔に意志表示すれば彼なら応えてくれるだろう。

だが、火炎にはその勇気がない。

自分のしたことがどれだけのことなのか、罪の意識を感じてしまっているらしい。




「割り切ったと言っても、いざ立ち向かうとなったら足がすくんで動けなくなることがあるの。でも、火炎は動かなきゃ……」



前には進めない。

燈火は心成しか、瞳に涙を浮かべていた。

今更、過去を変えることは出来ない。

火炎を変えることが出来るのは、火炎自身。



感傷に浸っていると、夜十のズボンのポケットに振動が伝わった。

振動し続ける端末を手に取り、液晶をスライドして電話に出る。

電話の相手は虹色からだ。




「もしもし、吹雪?どうした? 」


「うん。えっと、今、教室で暴力行為をしていた生徒を捕縛したんだけど、どうすればいいかな!?」


「入学式前に暴力沙汰とか……、えっと名前は? 」


彼女は電話先で隣に座っている少年に質問をかけた。



「君、名前は? 」



「あぁん?うっせぇよクズ!話しかけんな! 」


高圧的な態度で虹色に威張り散らしている様と、今朝聞いた声で暴力沙汰を起こした少年が誰なのか想像がつく。

朝日奈熱矢、入学早々やらかしてばかりで最重要人物も良いところだ。



「そいつ、燈火の弟だよ。今朝、俺と決闘したから、声で覚えてる。風見先輩が最重要の生徒だって、判断下した! 」



「……えぇ、夜十と朝から戦闘!?うん、その辺は何となく分かるけど、燈火さんの弟がここまで荒れてるなんて……」



「入学式まで時間がないだろ?俺が入学式中は見張るから、彼を連れてアリーナに来てくれないか?捕縛ってことは店長先輩の捕縛網だろうし、簡単には切れないからね。 」




「分かった!すぐにそっちに向かうね! 」


そう言って、虹色は電話を切った。



入学式まで大した時間も無くて、今から新入生を移動させないといけないのに、朝日奈熱矢。思った以上の問題児だ。

教室で暴力沙汰って、彼の巨悪の根源をどうにか断ち切らなきゃ、あの性格は治らない。

その根源である火炎がどうにかしなければならない問題なのだが……。



かなり複雑だな……取り敢えず、彼を見張っている間に色々と聞いてみるか。





夜十は、アリーナにて虹色を待つのだった。


百十六話目を御拝見頂き、誠にありがとうございます!

投稿予定日や更新に関しては、後書きやTwitterなどでお知らせする予定なので、ご了承ください。

TwitterID↓

@sirokurosan2580


今回は葛藤でした。

めっちゃ短いとか言わないでえええ!!


次回はしっかり長めに書きます。

忙しいのでいつ上げられるかは分かりません!


次回、入学式がいよいよスタート!

虹色と合流し、熱矢の監視を引き受けた夜十は、それとなく彼に問いかけるがーー!?


次回もお楽しみに!



拙い文章ですが、楽しく面白い作品を作っていきたいので、是非、応援よろしくお願いします!!

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