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追憶のアビス  作者: ezelu
第2章 組織編 《学園救出編》
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第百十二話 オープンスクール ②

燈火の銃口から無数に放たれた銃弾は炎を纏い、空を浮遊し続ける。無差別に撃ち続け、絶対服従の銃弾を生み出していた光景は異様であった。

だが、結果として彼女は自分自身が攻撃をするよりも効率的に遠隔的に素早い一打を撃つ事が可能となったのだ。


燈火の周囲には、秋色に燃え光る炎を纏った弾丸が無数に浮遊している。

それだけの弾丸を宙に浮遊させ、意のままに操るのには十分な魔力のコントロール力と、魔力量が必須になってくる。彼女の技術力の高さに圧倒された多くの人達は真剣な表情でマジマジと光景を見つめていた。

これからどんな攻撃を仕掛けるか、全く読めない攻撃方法に心を躍らせているのだ。




「……!! 」


多くの期待を背景に、彼女は何を言うまでもなく、銃弾を夜十の眉間へ滑らせる。

だが、これは避けられてしまう。

それは自分自身でも分かりきっていた。

目の前の夜十が目を瞑ったのだから。


けれど、何よりもーー、



「危ない危ない……何とか普通の《追憶の未来視(リコレクション)》でも避けられるけど、ギリギリだなこれは……」


「目を瞑っただけの状態で、どうやって!? 」


前に一度、この技を使われた時は目で捉えた銃弾の弾道をその場で計算し、かなり確実に素早く未来を生成する方法で回避に成功し勝利を収めたのだが、夜十には通常状態でも凌げるようになった理由があった。



「それだけ燈火の事が知れたってことだよ。弾丸の軌道だけで言うなら、俺は《追憶の未来視》を使わなくても避けられる。 」



「……くっ!やっぱり、一筋縄ではいかないわね。それでも……! 」



燈火は宙に浮遊させている弾丸を四方から一斉に走らせた。前の一撃は弾丸のみに攻撃を委ね、自分自身の身体を酷使しようとはしなかった。それで止められてしまったのならば、次は身体を使ってみるのも一つの手。



弾丸が夜十へ到達する寸前、彼女は地面を蹴って一気に加速。

炎を纏った剣を発現させると、弾丸を避けることに精一杯な夜十へ刀剣を振った。



ーー手応えはまるで無し。

銃弾を全て回避され、尚且つ自分自身の振るった剣ですら届かない。

やはり冴島夜十は到底届かない距離に位置するのだろうか、燈火は改めて確信する。



「私の負けよ……」


彼女は額に汗を滑らせて敗北を宣言した。

燈火の首元、皮膚とスレスレの位置に夜十の黒い刀身が寸止めされていたのだ。

今放った全ての弾丸を真っ二つに斬り捨て、燈火自身の剣にも一切の容赦も油断もなく回避行動を行なった彼の姿に会場中は歓声が湧き立った。



「す、すごい……!! 」

「あの子が完全に勝つと思ったわ! 」

「あの男の人、目を瞑ってたよ!? 」


観客席から向けられる歓声と拍手を背景に、勝負に負けた燈火は悔しそうに会場を去って行った。




「……ゲームセット!ということでですね。今のは一対一の対人戦闘を見てもらいました。勿論、全て本気の戦いです!お次は、味方が一人も居ない時、複数に囲まれた場合の戦闘行ってみましょう!! 」



風見が楽しそうにマイクを握って、観客へアナウンスを届ける。

燈火との一戦で少しだけ体力を消耗してしまった夜十は、乱れた息を整えて次の戦いへ、集中を注ぎ込む。



「お次の相手は、この日の為に特訓に特訓を重ねた在校生連合の皆さんです!さあ、夜十君!頑張ってーー! 」



スタートコールも無しに入り口から一斉に武器を持った生徒達が頭ごなしで夜十へ襲いかかる。対人戦闘で複数戦を行う場合、順応な判断力を必須とする。


敵の個々が自分の持つ力を超えているかどうかの判断と、間合いの取り方、効率よく敵を倒す方法など考えることは当たり前だ。



夜十は持っていた刀剣を手離し、重心を低くして素手の状態で構える。

敵が武器を持っているとしても、この場合は関係ない。対人戦闘が全て武器を中心に回っているわけではないのだから、素手で戦うとしてもおかしくはない。



「はぁぁぁぁぁ!!! 」


夜十の懐へ潜り込む間合いへ一人の男が迫り、一気に動きを加速させる。

手に持っていた金属バットを腹部へスイングするが、夜十の動体視力と運動量によってバットは受け止められてしまった。



「……背後に二人、右に二人人、左斜め45°に三人、正面奥に六人か、囲まれてんなっ……! 」


バットを素手で牽制し、正面の男に鋭い蹴りを食らわせると、すぐに地に足を下ろし、逆の足で背後二人の生徒に回し蹴りを放った。



防戦一方と思いきや、四方八方から駆けてくる生徒達へ夜十が自ら出向いた。

縮地法の応用で素早い動きで、背後に回って頸の部分に一撃を当てる。何度も何度も同じ手を行い、確実に複数の人間を少数に狭べて行く姿は既に人間業ではなかった。



「今のが同じ人間の動き……!? 」

「す、すごすぎる! 」

「アレだけの人数をたった一人で……」

「あの人、誰なの!?有名な魔法師さん!? 」



降り掛かる全ての火の粉を打ち払うことに成功すると、夜十は一息吐いた。



「これだけの敵を一度に相手にするのは辛いな。でも、これで残りはあと一人か。リベンジマッチだな、これじゃ……」


夜十はそう呟き、入り口から歩いてくる一人の剣士へ視線を向けた。



「夜十君、今日は本気でやらせてもらうよ。 」



全てを失った赤鬼は、名を背負って立派な剣士として生まれ変わった。

演習試験のリベンジマッチ、ここに再び幕を上げる。


百十二話目を御拝見頂き、誠にありがとうございます!

投稿予定日や更新に関しては、後書きやTwitterなどでお知らせする予定なので、ご了承ください。

TwitterID↓

@sirokurosan2580


今回は戦闘回でふー!ふー!ふー!


次回、演習試験のリベンジマッチ。

沖遼介 vs 冴島夜十の戦いが幕を開ける。


次回もお楽しみに!!


拙い文章ですが、楽しく面白い作品を作っていきたいので、是非、応援よろしくお願いします!!


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