表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追憶のアビス  作者: ezelu
第2章 組織編 《学園救出編》
110/220

第百九話目 師を超えろ! ②

遅くなりましたー、最近忙しくてTwitterにも浮上出来てないので投稿ペースが落ちてます。

すいません!

「吹雪、来るよ! 」


「うん」


ミクルが神城の動きを察知し、虹色へ素早く情報を流す。

恐らく、この勝負は一瞬では終わらない。

それは両者共に分かりきっていることだった。


ミクルと虹色のもつ魔法は空間魔法。

性能は各々で違い、使い勝手も違う。

だが、共に歴戦潜り抜けてきた少女二人だ、神城は侮ることさえ出来ない。



「……小手調べといこうか。 」


ーー瞬間。

今まで空中に漂い続けていただけの冷気の流れが変わった。

雪原の大地を揺るがす大吹雪を彷彿とさせるソレは、一瞬で二人の視界を奪う。



「魔法を使わずして勝つなんて不可能、分かってる。でも、これだけの空間を飛ばすなんて今の私には……」


ーー出来ない。


神城が長年培ってきたのは、戦闘能力だけではない。

部下の状態、強さ、潜在能力も含めて、頭の中にしまい込んでおいて損がない情報は容赦なく突っ込む。


その中にミクルの情報は当然入っている。

彼女が持つ戦闘での攻撃パターン、守備パターン、癖、ありとあらゆる全ての情報を知っている神城は現在、ミクルのみの未来を見続けることが出来ていた。


だから、次に彼女が自身を別空間に飛ばして背後から狙ってくることも当然のように。



「……お前の攻撃パターンは分かりきっている。今更、攻撃を当てられると思うなよ? 」


背後に現れたミクルは構えた二丁拳銃の引き金を引こうとした瞬間、両腕を掴まれて投げ飛ばされる。

咄嗟のことだったが受け身をしっかり取ったことで大したダメージにはならなかった。


だが、彼女は自身の攻撃が読まれるということに焦りを感じ、額に汗を浮かべる。

当然だ、誰しも攻撃が当たらないのだと確信すれば焦る。



突如として、神城は自分の身体を一ミリも動かすことが出来なくなった。

そしてそれが、虹色吹雪の持つ空間生成魔法の影響なのだと気がつくと感心したように呟く。



「……へえ、俺を固めるか。虹色家当主でプロの魔法師になっただけのことはある。だがな、攻撃が単調だ。斬り込む以外の手段も考えるべきではないか? 」



真っ直ぐ正面に愛刀を持って現れた虹色は、神城の腹部に速度を込めた突きを飛ばす。

いくら魔法師の中でトップクラスの才と強さを持つ男でも身動きが取れない状況ではどうすることもできない。そう踏んだのだ。


しかし、それは遮られることになる。

虹色吹雪の魔法は神城を固め、腹部に迫る突きだって決して的を射ていないわけではなかった。なのに、何故だろう。



「……な、なんで!? 」


神城はその場に居らず、虹色の背後に笑みを浮かべながら現れたのだ。



「空間から逃げた?! 」


考えられない。虹色家の門下生、先輩方、全当主ですら開けられなかった空間の壁を開き、脱出を試みるなど、



「その魔法じゃ、俺の首を取ることはできねえな。ただ、いい作戦だとは思うわ。 」


驚きのあまり、咄嗟の判断が遅れた虹色。

ミクルも彼女自身を別の空間に飛ばそうと試みるが、間に合わなかった。


視界を眩ます大吹雪の威力は甚大かつ、神城にとっては効率的なものだった。

大吹雪内で動きを重ねれば重ねるほど、凍結する速度は上がる。


虹色は下半身全てを凍結され、動けなくなってしまった。軈て、ソレは腕に渡る上半身までをも占拠していく。



「……う、嘘!?こ、ここで終わるわけにはっっ!! 」


悔しさのこもった言葉を吐くが、彼女にはどうすることも出来なかった。

握っていた剣が動かなくなった掌から零れ落ちる。金属がコンクリートに高音を残し、吹雪の中に埋もれた。




「吹雪! 」


「あの状態じゃ、もう戦えねえな!ミクル、あとはお前一人だ! 」


二丁の拳銃を交差させて構えの姿勢を取る。

ここからは、神城との耐久戦に入るのだ。だが、ミクルは圧倒的に不利。

空間魔法と氷魔法の相性は、味方であれば良好だが敵であれば最悪だった。



拳銃の引き金を引き、発砲を続ける。

単発式のハンドガンなだけに連続しない小刻みな爆発音が周囲に響き、弾丸は神城を捉えた。



「騰から受け取った拳銃か。どうせ、弾丸は……」


神城が周囲を見回し始めるのに気がつくと、ミクルは攻撃がまた読まれたのだと確信する。

弾丸は真っ直ぐに神城へ向かっていたはずだったが、亜空間を移動して神城の四方八方へ出現し、軌道を変えずに突き進んだ。



「お前の癖はもう見切ってんだ。俺にサシで勝つなんざ出来ねえよ! 」


吹き荒れる吹雪で弾丸は凍りつき、地面へ音を立てて落下する。



「でも、これなら!! 」


ミクルは、神城の頭上へ空間移動をし、凍りついて地面に落ちていた虹色の愛刀を携え、振り下ろした。



「……その発想はなかったな。だが、結果として防げた。 」



神城は反射神経だけで生成した氷の剣で頭上からの剣戟を優雅に受け流した。

着地が不安定になってしまったミクルを見据え、氷の剣で捉える。



「これで、終わりだッ!! 」



ーーその瞬間、神城優吾の時間は停止した。

虹色の魔法なのだと気がつき、先程と同じやり方で脱出を試みる。

だが、それは遮られることとなった。



空間固定(ロック)! 」



「ま、まさか……?お前ら、魔法を重ねたのか!? 」


神城は焦りを感じ、額に汗を流す。

実質上、どんな論理を使っても脱出不可能。つまり、負けが確定しまったのだから当然だ。



「神城さんの空間移動は冷気が漂う空間のみ。他の空間を使えれば、吹雪の空間生成魔法も怖くない。だから、移動出来る空間を消したみたの。これで、逃げられないよね? 」


虹色の作った空間から冷気となって逃げる神城だったが、移動出来る空間が固められた空間のみにされてしまった影響で一歩を踏み出すことが出来なくなった。



「……ビクともしねえな。俺の負けか……弟子に超えられるってのは案外悪くないもんだな。 」



神城が負けを認めると、虹色とミクルは空間を解除した。虹色を固めていた氷も砕け落ち、二人は《白雪の帝》を倒した感激に満ち溢れる。



「か、神城さんを倒したぁぁ!! 」


「私達だけであの神城優吾を倒せた!?ミクル、やったね!! 」


「うん!吹雪が凍らされた時、空間生成を行おうとしてたのを見て、咄嗟の判断だったけどね。前に話してた技、完成よ! 」


笑顔でピースサインをし、二人は喜びを分かち合ったのだった。



百九話目を御拝見頂き、誠にありがとうございます!

投稿予定日や更新に関しては、後書きやTwitterなどでお知らせする予定なので、ご了承ください。

TwitterID↓

@sirokurosan2580


今回は虹色とミクルの合わせ技で神城に勝利するという回でした。


次回、夜十、虹色、ミクル、燈火の四人は嬉しい情報を持って魔法学園に帰還する。

新たな魔法学園、学園長はあの人にーー!?


次回もお楽しみに!


拙い文章ですが、楽しく面白い作品を作っていきたいので、是非、応援よろしくお願いします!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ