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追憶のアビス  作者: ezelu
第1章 学園編
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第十一話 遅刻

投稿遅れてすいません!

明日もこんな感じですが、気長に待っていただければ光栄です!!

俺の横でずーっと黙って話を聞いてくれていた朝日奈は、恐る恐る口を開く。


「え、じゃあ、あんたは……魔法師としての才能が無いの?」


グサッ!

直接、痛い言葉で心を突き刺してきた。

その様子に、勘付いたのだろう。彼女は、苦笑しながら申し訳なさそうに謝ってくる。



「あっ、別にそういう風に思ったわけじゃないのよ!!率直、率直に思っただけだから!」


大丈夫だよ、いいよ。

そんなにフォローされたら、事実みたいになってしまうだろうが……グハッ……!!

ーーというか、率直に思ったんなら事実じゃねえか!!


俺の反応を見た彼女は、クスッと笑い、笑顔を作ると、眉を細めて優しさを紡ぎ始めた。



「……誰にだって得意、不得意はあるわよ。あんたの苦手な分野が魔法だったからって、それだけで、あんたを判断するのは間違ってるわ!ほら、ね?話しても大丈夫だったでしょ?」



「うん、本当にありがとな、朝日奈」



無邪気に笑う彼女を見て、俺も笑ってしまった。

辛い表情が溶けて、笑顔に。



純粋に嬉しかった。

"勝手に決めつけて行動に移さないよりは、移して後悔した方がいいのかもしれない"

彼女の言葉は俺の胸にしっかりと響いた。


その後も、一頻り、俺達はたわいもない話で盛り上がり、笑い合ったのだった。







ーーー翌日。

俺は、派閥体験休日が昨日までだったことを思い出し、全力で教室に向かって、扉を開いた。

教室内の様子は、

唖然でこちらを見つめているクラスメイト全員の姿と、笑っている朝日奈の姿が見えた。


どうやら、間に合ったようだ。

先程、走っている時に、鐘の音が聞こえたので、もう間に合っていないと思って、半分諦めていたが、大丈夫そうだ!


「はぁ……はぁ……!!ま、間に合った!!」


吐息交じりの声を出しながら、席に着いた瞬間ーー俺の頬を、白く細い棒が掠めた。



「間に合ってないわよッッ!!冴島夜十くん!!昨日で、休みは終わりッッ!!」


黒板の方を見つめると、

投球後のフォームをしながら、ぎょろりと目を光らせた夕霧の姿があった。


彼女はどうやら怒っているようで、鬼のような形相で睨みつけてきている。



「……いや、すいません。今日からだと思ってなくて、忘れてッ!……ました!!」


俺が理由を言っている時、夕霧はもう一本の白いチョークを投げつけてきた。

俺は避けようとしたが、恐らく、避ければ後ろの席の彼女に当たるのは間違いないだろう。


俺は避けずにーー放たれた空中に飛んでいる、チョークを指で掴んだ。



「うおっ、すげえ!!」



久我が、俺の技を見て、思わず声を出す。




「すげえ!!じゃないの!!久我君!もう……夜十君、次は気をつけなさい。」


そう言って、彼女は、俺を視線から外すと、

教卓に立ち、HRの続きを始めた。


やはり、間に合っていなかったか。

俺の寮室から、教室は少しだけ遠い位置にあるから、間に合わないのも仕方ない。

根本からだが、起きれば間に合う話だ。


明日は、しっかりと、起きよう。


そう、頑なに決意して、俺はポケットの中で振動を伝えてきた端末を開いた。



端末には、クラスグループと書かれたグループから、招待されているのが表示されていた。

端末をタップすると、グループ内に入ったことになったらしい。


『冴島夜十が、グループに加入しました』


という文字が、空白のチャット欄に刻まれている。

直ぐに、『くーがん』という名前表記になっている人物から、チャットが届いた。




くーがん

『やっと来たーー!てか、さっきのパシってやつ!すげー!』


流藤 賢祐

『おい、夕霧先生が見てるぞ!久我!お前、端末を動かすのバレバレなんだよ!』


ピコンッ、という音と共に俺の端末にまたチャットが届いた。

今度は流藤?知らない名前だが、クラスメイトなのだろう。


後で全員の顔と名前を臆しておかないとダメだな。誰が誰なのか、さっぱりだ。



目の前を見ると、久我の方をギロリと見つめている夕霧が見えた。

成る程、こんな感じで情報交換を!

授業中にも敵と戦っている時の警戒心を持てっていう忠告のつもりで!!


……いや、違うな。


これは何のために使うんだ?

端末を新木場さんから、渡されたには渡されたが使い方がイマイチ分からないので、渡されてから一度も使っていなかった。


利用方法、その他諸々を教えて欲しいので、端末のことをよく知っていそうな人物に、休み時間、聞きに行こうと決心した。




ーーゴォォン、ゴォォン、ゴォォン。



三回、鐘の音が鳴り響くと、

授業が始まる前の十分休憩が始まった。


早速、端末を触っている人のところへ、聞きに行こうとすると、

とある人物が、肩をポンポンと叩いてきた。


俺は、疑問を浮かべた表情で、

後ろの方を向く。


するとーー



「よう!グループに加入してくれてありがとな!俺は、流藤賢祐(るとうけんすけ)!これからよろしく!」


俺よりも身長の高い、色黒の男が背後に立っていた。

彼は俺を見るなり、笑顔で白い歯を見せながらグッドサインをした。



「うん、よろしく!ところで、聞きたいんだけど、あのグループって何のためにあるの?」




俺の質問に、なんて答えていいのか分からないのか、流藤は、首を傾けながら、うやむやに答える。

答えた後、正面から俺を見たことで衝撃が走ったのか、今度は彼が問いかけてきた。



「んー、なんていうか。皆との親睦を深めるため?じゃないか?ところで、冴島、その怪我どうしたんだ!?」


親睦を深めるため、か。

なかなか難しいな、そんな目的のために連絡手段を必要とするなんて、普通に話せばいいじゃないか!

それに、授業中は静かに人の話を聞かないといけない場所なんだから。



そして、ふと、俺は、彼に指摘されたことによって、自分の身体のことを思い出した。

昨日退院したはいいが、傷の完治はしていない為、頭と腰にかけて、ミイラ程ではないが、包帯グルグル巻きだった。


因みに、朝日奈は、大分軽症だが、腕と足には、包帯が巻かれている。



「ちょっと、ハードな訓練してたら、こんな目に遭っちゃってね。大丈夫だから、気にしないで」


昨日、帰り際に、俺が大型アビスを倒したことは、他言厳禁とKMC側の黒スーツの男性に、言われた。


それがもし、学園中に知れ渡れば、KMCの信頼度が落ちて、任務をやらなくなる生徒が増える可能性があるから、とのことだ。




ーーので、俺は適当に言葉を返した。



「どんな練習だよ!!《平和派(ジャスティス)》ってそんな野蛮なところなのか!?」


まあ、これはこれで仕方がない。

適当に答えよう、適当に。



「まあ、そんなことはないよ。皆、良い人だしね!」



出会って1日しか触れ合っていないので、その辺の内面は全く分かっていないが、今度開くと言っていた歓迎会で分かるだろう。

俺は、その部分が特に楽しみだ。







ーーゴォォン、ゴォォン、ゴォォン!

休憩時間終わりの鐘の音が、学園中に鳴り響くと、俺は流藤に別れを告げて、自分の席に戻る。

後ろを振り向くと、机に突っ伏しながら、眠りについている彼女が居た。



「オイ、朝日奈!!もう授業、始まるぞー」



「んんっ……起きる」


ーーと、甘え声気味の喘ぎ声を上げた彼女は、机から起き上がるなり、俺を凝視して、口を開いた。



「……なに、もう朝?」


はぁ?朝?

一瞬考えたが、彼女が寝ぼけていることに気がつくと、乗っかってやろうと思い、バレないように言の葉を紡ぐ。



「おはよう、遅刻だよ。朝日奈」


大丈夫、バレない。

彼女はきっと寝ぼけて、頭の知能が低下しているだろうから!



「……ち、遅刻!?」


俺が予想していたよりも大きめの声が、教室中に響くと、教室内は唖然となる。

教卓に、授業に使う資料を準備していた夕霧も、これにはびっくり。


"遅刻"というワードで、俺の方を凝視しているが、違う、そうじゃない!

分かってくれ、先生!!


届かない俺の声は、虚空を切って、心の中で消滅した。


ーー自分の声で、我を取り戻した朝日奈は。


「……あんた、殺す!」


ボソッと、俺の方を見ながら、低めのトーンで言った。

ヤバい、マジだ。


そんな茶番を繰り広げていると、夕霧は教卓に立ち直し、俺に向かって大声を出した。



「はい!!今日の授業は、魔法上限回数について!です。冴島君、号令よろしくー!」


ああ、遅刻した罰か。

俺は、大声で。



「起立!」



「礼!」



「着席!」



ーーを、自分の指示に従ってくれているクラスメイト達に感謝しながら、精一杯の声で叫んだ。



号令が終わると、授業が始まった。

今日の授業は上限回数について、か。


特に新しいことは知り得ないだろうが、人の話を聞くことを新木場さんに教わったので、身体が自然と話を聞く態勢に入ったようだ。


背筋を伸ばし、相手の目を見て、頷くだけではなく、内容を頭の中でしっかりと整理する。

それが例え、知っている内容だったとしても、だ。


この態度を続け、暫く聞いているとーー



ーー思っていた通り、

自分が知っている情報とのズレは生じなかった。


魔法は、技術力と魔力量があれば、

回数消費を和らげながら、魔法を使えること。

また、魔法の威力は上限回数の消費に繋がっているということ。などだ。


魔法の回数消費に関して、言えば、このクラスで朝日奈燈火に勝る人物は、恐らく、一人として、いないはずだ。

彼女から繰り出される魔法は全て、0.5回程の魔力消費で出されている。


これは、《追憶の未来視(リコレクション)》で相手に流れている魔力量の未来を視た時の結果だ。


ーーそれも含めてか。

俺は彼女を尊敬している。


決して、才能だけではない。

努力がなければ、魔力を自由に制御できるはずが、無いからだ。




ーー俺が考え事をしていると、

授業が終わる時間になってしまったようで、教卓の前に立ち直した夕霧は、明後日の予定を口に出した。



「明後日から、身体測定があるから、皆、万全の体制で来てね!」


し、身体測定!?

ま、まさか!!魔力量も!?


俺は思わず、立ち上がって、夕霧に問いかける。



「先生、まさか、魔力量も!?」



「えーと、魔法に関しては、身体測定の最後に行われる、上級生との戦闘演習で見るから大丈夫よ。……それがどうしたの?」


あっ、そういうことか。

その人物が魔法を使いこなせているかを、戦闘の中で見た方が実践的にも良い、という考えの下、のようだ。


内心ホッとした俺は、安堵の溜息をこぼした。

ーーすると、俺のため息に気がついた夕霧が、笑いながら口を開いた。



「夜十君、明後日は遅刻ダメだよー?分かってるねー?」


「わ、分かってますって!!」


クラス中に笑いが起こった。

今日はたまたまで、いつもは五時に起きてるから遅刻なんて滅多にないんだよ!!


ーーと、叫んでやりたかったが、

野暮なので、喉元に言葉を押し込んだ。



「じゃあ、これで終わり!号令!」


約45分間の授業は、俺の精一杯の大声で紡ぐ号令によって、幕を閉じた。



「きりっちゅ!!!」



「オイ、冴島、あんまり笑わせんなって!!」



盛大に噛んでしまった俺は、羞恥心に苛まれ、今日、知り合ったばかりの友人、

流藤に、笑われてしまったのだった。



十一話目を御拝見頂き、誠にありがとうございます!

投稿予定日や更新に関しては、後書きやTwitterなどでお知らせする予定なので、ご了承ください。

TwitterID↓

@sirokurosan2580


二時間の遅刻、申し訳ございません!!

後、本当に申し訳ないのですが、十話の方を少しだけ訂正しました。

お時間があれば、読み直して頂けますでしょうか!お手数ですが、よろしくお願いします!


本当に申し訳御座いません!!


拙い文章ですが、楽しく面白い作品を作っていきたいので、是非、応援よろしくお願いします!!

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