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追憶のアビス  作者: ezelu
第2章 組織編 《学園救出編》
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第百話 修羅の道 ②

遅くなって短い……最近仕事が忙しく、次回投稿も一週間後になるかどうか分かりません。ご了承ください!

自分以外の人類を絶滅させて数日が経った。あの日、ハルトはシンへ次の命令を提示した。

自分がずっと守り続けて来たものを一夜にして殺し尽くしたシンを信用してのことだろう。彼らは遂に本題に入る。



「俺と一緒に、魔術師の本拠地に乗り込もっか! 」


「……それはリスクが高すぎないか? 」


ハルトの強さは、並大抵の魔術師程度では力さえ及ばない強さを誇っているが、流石に魔術師の大群が群がる本拠地へ二人で乗り込むのはリスクが高すぎる。



「別にどうってことないし、俺の命令は絶対だよ。歯向かうことなんて許されないはずだけど、何かあるの? 」


「……分かったよ。 」


シンは渋々、引き受けた。

ハルトの性格上、一度決めたことに対しての変更は許さないらしく、顔が歪んで機嫌が悪くなっている。無論、今の俺にはハルトを殺すほどの強さは無い。

またボコボコにされて、命を絶たれそうになるくらいなら黙って従っておくのが一番と言える。



「ところで、シン。お前の秘密、教えてあげるよ。 」


「俺の秘密? 」


「うん、シンはどうして不思議な力を使うことが出来るのかって話! 」


シンも「シュタイン」を殺めてから身についた能力だけに、どうしてなのかは分からなかった。



「シンは、魔術師の生み出した生物を殺めたことがあるよね? 」


「……勿論、ある。 」


魔術師は、自分の魔力を具現化させて、空想上の生物を生み出すことが出来るらしい。

魔術師と戦う際には、そのモンスター達を殲滅しながら魔術師を殺めねばならない為、今まで何匹の生物を殺してきたか、数え切れない。



「そのモンスターの返り血、または体液を浴びたことがある? 」


「……それがどうしたんだよ。 」


巨大な怪物もいれば小型なのも居るが、大型がメジャーで「シュタイン」は黒龍を生み出してきた。その返り血を浴びてしまうのは、戦って行く上で必然的だった。



「魔術師の生み出すモンスターの体液には、魔力を促進させる効果があるんだよ。それを殺めて体液を被ってしまったんなら、その瞬間からシンは人間じゃなくなってしまうんだ。俺と同じ、魔を統べる人間になる。 」



ハルトの言っていることは、つまり、魔術師が自分の魔力を具現化して作り出した生物の体液には魔力を促進させる力があって、怪物を倒して返り血を浴びる度、シンが持つ不思議な力の威力は上へ上がって行くらしい。



「魔術師の一団が議題に上げていたことだよ。シンを凄く危険な人物だって言ってたんだ。彼の身体は何が起こるか未知数ってさ。 」


シンは、彼の言っていた「俺と同じ」という言葉の意味が気になった。

ユリとシュタインが交わって生まれたのが、ハルトであり、ハルトは魔術師の血が通っているはずだ。だが、彼は自分を「人類」だと豪語している。それはどういう意味なのだろうか。

と、頭によぎった時には口が開いていた。



「ハルトは人間なのか? 」


すると、彼は少し戸惑いながら返す。



「ああ、俺は魔術師じゃないよ。魔法もシンみたいに少ししか使えない。だから、魔法以外の方法で強さを求めているんだけど……」


魔術師ではない?となると、人間と魔術師のハーフといったところか。

魔法の力を持った人間、シンとハルトは何処か違って、何処かが一致している。




「シンがもっと強くなるためには、魔術師と戦うしかない。魔術師の一団を壊滅させるなら、今の倍以上の力は必要だよ? 」


「……だよな。先は長いか。 」



もっと強くならなければーー、人類で力を合わせて戦えばと願っていたあの日が懐かしい。兵士達と笑って過ごしたあの時間はもう帰ってこない。あるのは、絶望と哀。


自分で壊したのだから自業自得。

そうせざるおえない状態に置かれたのも自業自得。この世の不利益は当人の能力不足によって巻き起こる。


シンは黙って心の中の「優しさ」を殺した。



「魔術師の本拠地……あの城に忍び込むのは至難の技だろ。お前、どうする気だ? 」


「あの城」とは、魔術師の一団が密集するエリアで、キュレル城という城がある。

崖の上に存在し、外壁に囲まれたその守備陣は、人類全員で砕こうと思っても簡単には出来ないレベルのもの。実際に挑んだ経験はないが、今までの魔術師の行動パターンや攻撃パターンを予測して計算すると、人類側に勝機は見えてこなかった。



「忍び込むも何も、正面から突っ込むしかないだろ。どうせ、絶滅させるんだから、コソコソと逃げるより、正面から潰せるくらいの力がないと出来ない。途中でお前に死なれたら困るのは俺だしな。 」


シンが一番聴きたくなかった返答が来てしまった。彼の命令は絶対、分かりきっていることだが、敵の本拠地に二人で乗り込むのは極めて危険。いや、自爆特攻も甚だしい。

勝率は1%も無いだろう。


けれどーー、



「……分かった。やってやるよ。 」


「うん、良い返事だね。じゃあ、今から行こうか。 」


「は? 」


反射的に出てしまったが、今から?!

本当に自爆特攻の様だった。万全の状態を確認して、準備を整えてから行くべきではないのだろうか。


「敵は今、就寝時間だよ。シン、自爆特攻でも奇襲は奇襲。絶対に食い込ませる攻撃をしたいなら、今すぐに行った方がいいに決まってる! 」


「お前何歳だよ……その歳で考えることなんか、もっと幼くあるべきだろ。 」


彼の年齢は推定10歳。

なのに、考える事はシンと変わらない。

自爆特攻をより食い込ませるなら、相手の情報を知ることは必須だ。その上で動く時間を精密に選び、決定する。

作戦の考え方も大人びていた。



「そんなことは別に良いでしょ。シン、キュレル城まで走るよ? 」


「……わーったよ。俺は剣だ、お前の言う事を聞く、エモノでしかない。……行くぞ! 」



シンとハルトは、目的のキュレル城まで一気に走り抜けたのだった。


未だ続く修羅の道。


シンは、ハルトは、人間は、


最強種族で最大の敵、「魔術師」に勝つための一途を、絶滅させるまでの一歩を踏み出す決意をしたのだ。





ーーその頃、キュレル城地下内部では、赤い髪の魔術師が水晶を眺め、不敵に笑っていた。



「……ふーん、人間の生き残りは《不完全(アンフ)》と手を組んだか。このキュレル城を落とそうとはな、人間如き、簡単に滅ぼしてくれる。 」



シンとハルトは彼の手中にあった。

男は赤く尖った髪と酷似した色の瞳を闇夜に光らせて、瞬間、闇夜へ消えていった。





百話目を御拝見頂き、誠にありがとうございます!

投稿予定日や更新に関しては、後書きやTwitterなどでお知らせする予定なので、ご了承ください。

TwitterID↓

@sirokurosan2580


本日で第百話を達成しました。

短く遅くの投稿頻度で申し訳ないです。


次回、シンとハルトは魔術師へ奇襲を計らう。

しかし、それは、バレていてーー!?


次回もお楽しみに(^^)


拙い文章ですが、楽しく面白い作品を作っていきたいので、是非、応援よろしくお願いします!!


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