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追憶のアビス  作者: ezelu
第1章 学園編
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第一話 姉

身体中から汗が噴き出す、地獄のように暑い夏の日。


俺、冴島夜十(さえじまやと)はこの世の終わりを見たかのような絶望に苛まれていた。

広大な敷地内で巨大な三体の黒龍がうねりを上げながら、真っ白い光に侵された少女と共に消滅する様を。


「お願い、強く生きて………」


消え入りそうなほど小さな声音の持ち主は、目の前で消滅してしまった。



……分からない、分からない。どうして?


怒りと悔しさ、悲しみが一度に感情を支配し、夜十は意識を失った。




ーー数日前。



「ほら、起きなさい!!夜十(やと)!!もう朝よ!」


聞き慣れた声と、窓から射し込む眩い太陽の光が夜十を夢の中から叩き起す。

重い身体を無理矢理起こし、自分の部屋から出ようとベッドから降りて床に足をつけた。


夜十を起こしてくれた当の本人は、

リビングで朝食を食べる用意をしてくれているのだろう。

リビングの方からは、食器を並べる音やトーストが焼ける音と匂いを感じる。


自分の部屋を出て、目の前の扉を開くと、

腰辺りまでするりと伸びた黒く長い髪をポニーテールで簡易的に纏め、黒いスーツを着ている姉、冴島美香(みか)がリビングにある、大きめのダイニングテーブルの端と端に置かれた二つの椅子のうちの一つに腰を下ろし、黙々と朝ご飯を平らげている。


リビングに来た夜十に気がついた美香は、

トーストを食べ終わり、手についたパンのカスを皿に落としながら椅子から立ち上がった。


「顔は洗った?まだよね、先にご飯食べちゃいなさい!お姉ちゃんは今日も仕事で遅くなるから、夜ご飯は冷蔵庫にあるのをチンして食べて!学校にはちゃんと行くのよ、あっ、土曜だから学校休みだったか。 」

鞄の中身を確認し、家を出る準備を整えながら美香は夜十の方を向いて言った。


「夜十、良い子にしてるのよ。行ってくるね。 」

「うん、姉ちゃん行ってらっしゃい!」


夜十の返事を聞いて安堵したのか、

深く頷くと、黒い鞄を持って隣を通り過ぎ、玄関の方へ向かっていった。


「あっ!夜十!何かあったら十字架にお願いするんだよ!……それじゃ、行ってくるね!」


玄関で靴を履き、扉に手をかけた直後、ふと思い出したように美香は言った。直後、時間があまり無いのか、急ぎ足で外へ出て行った。

美香が仕事に行き、家が静寂に包まれた途端、少しの寂しさを感じながら、夜十はテーブルの上にある、トーストを平らげようと椅子に腰を下ろした。




ーー夜十の家族は姉と二人。

両親は物心がつく頃にはもう他界していて、今までの八年間、親代わりに美香が全ての家事を行いながら、夜遅くまで仕事をしてくれている。


まだまだ八歳の夜十ではあるが、

何も出来ない事が憂鬱になっていた。

何か美香の手助けをしたい。

そう思うのはいつものことだ。


美香の仕事は何やら、

"世界を守る仕事"らしい。

どんな仕事かの詳細は教えてくれないが、いつも身体の何処かに傷を増やして帰ってくる。

それがどんな仕事であれ、危険を冒していることは八歳の夜十でも理解は出来る。

やめて欲しいと思ったことは何度もあるが、口に出したことは一度もない。

生活の為に頑張ってくれている美香にあまり否定的なことは言いたくなかった。



部屋に戻り、ベッドの近くにある勉強机の上に置かれた一枚の紙に視線を移す。


「能力調査の定期検診についてのお知らせ」

と書かれた紙だ。

難しい漢字には読み仮名が振られていて、分からない漢字も全て読むことが出来る仕様になっている。


そう言えば、明日は定期検診の日だった。

年に一度、大きな街に行って病院みたいなところで色んな装置を使って、自分を調べてくれる検診のある日。

毎回、検診が終わると二人で外食などに行ったりする、楽しみな行事でもある。

何せ、美香は多忙につき、家でもご飯を一緒に食べる機会さえも珍しい。

明日は良い日になる。

そう思い、再びベットに寝転がると睡魔に負けて夜十は目を瞑った。




 夢の中での世界はいつも同じ。

見たことのない世界が目の前に映っている。破壊された家、穴だらけの道路、淀んだ赤い空、黒く濁った雲。

ここは自分の知っている世界ではない。


そう確信した時、黒く硬い鱗を全身に纏い、蝙蝠の羽が肥大化したような翼を広げた巨大な黒い龍が勢いよく夜十へ襲い掛かってきた。

大体いつもそこで夢が途切れて、

眼が覚めるのだが、何故か今回は違った。


ーー瞬間。

姉が今日、出て行き様に言ったいつも首から下げている銀色の十字架のネックレスが白く眩い光を放ち始める。

それが何を意味するのかは分からない。


だが、黒い龍は寸前で止まり、

その眩い光を嫌がるように目を虚ろにして、方向転換を行なった。

バサッバサッと翼から出る音で辺りの静寂を引き裂きながら、逃げるように去っていった。



……願いを叶えマシタ。


知らない女性の甲高い声が脳裏に響き、

夜十は目を覚ました。

いつも見ている真っ白いシンプルな天井が、今は薄暗く霞んだように見える。

ベッドに寝転がってからどれくらいの時が過ぎたのだろう。


勉強机の近くにあるデジタル時計に視線を移す。オレンジ色の電光文字で20:30と記載されていた。

もうこんな時間か。

朝早くに起きてご飯を食べて、昼寝感覚で少しの仮眠の予定が思った以上に寝すぎたようだ。

少しだけ頭が痛い。


重く怠い身体を無理矢理起こし、

暗くなったリビングのスイッチを押して、電気をつけると、椅子に腰を下ろした。

テーブルの上に置かれたリモコンでテレビをつけると、何やらニュースがやっていた。


女性のアナウンサーが、

淡々と長い文章を口に出して、説明をしている。

「……今日十一時頃。東区にある大型ショッピングモール、安苦無(アンクム)の屋上に巨大な黒龍型のアビスが複数体現れ、ATS(特殊生物殲滅部隊)に所属する、《戦場の歌姫(アーサー)》によって殲……」


リモコンでアニメがやっているチャンネルに切り替えた。

齢八歳の夜十にはニュースよりも好奇心を多くくすぐられるアニメの方が面白かった。


その後、冷蔵庫にあったカレーをレンジでチンして食べ終わると、適当にテレビを見ていると時刻は既に二十二時を回っている。

美香はまだ帰ってきていない。

夜十は玄関の電気だけ点けたままにし、自室に戻って目を瞑った。



ーー翌朝。

「夜十 !!起きなさい !!今日は定期検診の日よ!ほら、起きて!」

いつも通りの朝。

煩すぎるくらいの美香の声と眩い太陽の光で目覚めた夜十は、昨日とは違って速攻で洗面台に向かう。

洗面台には、赤と青の二本の歯ブラシが置いてあり、青色が夜十。


洗面所で身支度を済ませるとリビングには行かずに部屋に戻り、着替えの支度を整えた。

今日は久々のお出かけということもあってか、気分がいい。

「早く朝ごはん食べちゃってね!今日は定期検診の日よ!終わったら二人で外食に行こうね! 」


リビングに入る前の廊下ですれ違った美香は、ニッコリと微笑むと、嬉しそうに自分の部屋へと去っていった。

その言葉に感激し、テーブルの上に置かれた白米と目玉焼きをすぐに平らげた。

食べ終わった食器をキッチンに置き、手を合わせて「ご馳走様でした」と呟くと、玄関で靴を履いて姉が来るのを待った。



  ーー定期検診とは、

人間の個体値を調べるための検査。


人間には生まれた時から必ずしも、一つの魔法を使うことが出来る力が備わっている。

魔法には使用回数が決まっており、上限は出生時に身体の何処かに数字として浮き出ることから分かる。


だが、魔法の使用回数上限が自分で分かっていても、魔法が分からないのは必然。

それを理解する為に、この世界の魔法を管理している、KMC(国際魔法管理協会)

通称、ケムシが開発した、個体の数値と能力名を確実に識別することが出来る装置を使って検診を行うようになったのが始まりだ。


ケムシの魔法管理は徹底されており、

十歳までは年に一度の定期検診。

それ以降は十年毎に定期検診が行われることになっている。



ーー夜十の能力は姉が知っているらしいが、どうしても教えてはくれない。

その話を持ち出すと、姉の表情はいつも曇る。魔法が無くても生活に支障がないので、深掘りはしていない。


車を運転している美香の横顔を助手席で眺めている夜十は車が止まったのを確認して窓の方へ視線を向けた。

車のドアを開けて外に出ると、車の中の空気が一気に暑くなった。もわんとした空気が外から押し寄せてきたようだ。




目の前には巨大な白い工場のような建物がそびえ立っている。あまりの大きさに視界を伸ばしてみても全体の大きさの予想も立てられなかった。

「……ふぅ、着いたわね。ケムシの魔法管理所は、ウチからだと近いから良いけど、あまり此処には入りたくないのよねえ。なんていうか……まあ、すぐ帰るし大丈夫ね。」


意味深に難しい表情と独り言を話ししつつも、

諦めたように夜十を連れて、白い建物の中へと入っていった。


施設に入るなり直ぐに美香の元には金髪のナース服姿の女性が駆け寄ってきて、右手を頭に乗せながら敬礼をしてきた。


「……昨日はお疲れ様でした!先輩、ところでまさかその子はお子さんでしょうか? 」

「な訳ないでしょ!私のスケジュールの何処にそんな余裕が!からかわないの! 」


金髪の女性は笑いながら、夜十の前にしゃがんで話しかけてきた。

「先輩の弟さん、だよね?お名前なんていうの?」

夜十(やと)……です」

「敬語使えるなんて偉いね〜!君の世代の男の子は敬語なんて使えない子ばっかだよ!んじゃっ、先輩!!私、今から検診なので!また明日彼方で!」


まるで嵐のように通り去って行く彼女へ、手を振って見送ると、美香は受付のカウンターに立っている女性に話しかけた。



「あのー、冴島夜十(さえじまやと)の定期検診なんですけど、部屋番号は?」

「ハイ、ちょっと待ってくださいね〜!……えっーと、105号室ですー!」

館内はとても広く、受付のカウンターの脇に螺旋状の階段が見える。

105号室は階段を少し登った先にある部屋で建物の二階の部分にあたる。


「定期検診、頑張ってね!大丈夫、お姉ちゃんも一緒だから! 」


105号室に着くと、一つのベッドがあり、様々な装置が置いてある。

ナース服姿の茶髪の女性が俺へ「こちらへどうぞ」とベッドを指差して言っている。


夜十が不安そうな表情をすると、決まって美香が優しく微笑んで励ましてくれる。

この後の外食を楽しみに、ベッドの上へ寝転がって目を瞑った。



「冴島さん、やはりこの子は……!」

「うん、分かってる……」

深刻そうな姉の声が聞こえ、

目を開いた時には検査は終わり、ナース服の女性が「よく頑張ったね」と頭を撫でてくれた。




 ーー帰りの車。

検診が終わってからというもの、美香は黙って考え事をして何も話してくれない。

自分の結果に何か不備があったのだろうか。不安で仕方がないが声が出ない。



「ふぅー。さ、てと!今日は焼肉よ!パーっと、食べて、パーッと帰りましょ!ごめんね、夜十。検診も大丈夫だから、安心してね! 」

溜息を吐き、姉は車を停車させる。考えが纏ったのか、今は考えないようにしたのかは分からないが気持ちを切り替えたようだった。

車を降りて夜十の方を向き、笑顔を見せた。


「うん、お姉ちゃん。いつもありがとう!!」

「ふふっ、今日は沢山食べてね。 」

店内は客数が0人で、頑固そうな年配の男性、新木場(あらきば)が椅子の上に腰を下ろして、腕を組み、美香達を待っていた。

一般的な焼肉屋のテーブルが五つ並び、壁にはメニューが手書きで書き殴られた紙が一定均等に貼られている。

こじんまりとした小さな焼肉屋の風貌だ。



「おっ、来たな!!いらっしゃい!!」

「こんばんはー」

「こ、こんばんは!」

新木場さんは夜十に近寄るなり強面の表情で睨みながら頭をガシッと大きな手で掴んだ。

「よく来たな!!夜十、一年でデカくなったじゃねえか!!今日はいっぱい食ってけよ!ウチの店の肉、全部なくなるくらいな!」

わしゃわしゃと姉譲りの真っ黒い髪を手で掻かれると、思わず笑顔がこぼれた。


椅子に座って肉が焼けるのを待っていると、新木場が美香と話をし始めた。

「お疲れ様!明日からは一般人として普通に生活するわけだが、気持ちはどうだ?」

「……まあ、仕方ないですよね。まだ気持ちの踏ん切りは付きませんが、明日からは夜十と一緒に楽しい生活を送っていけたらなって思ってます。 」

「そうか!!確かに、俺もお前の旋律が聞けないのは悲しいが、こればかりは仕方ない。夜十のこと、ちゃんと面倒見てやれよ!良かったな!夜十!」

話の状況が読み込めない夜十は、急に振られた話に少しびっくりしながらキョトンと首を傾ける。

「お姉ちゃん、明日から暫くお仕事休みだから一緒にご飯食べたり、一緒に遊んだり出来るんだよ!今までごめんね、一人にさせちゃって!これからは一人にさせない、お姉ちゃんがずっと一緒にいるから!」

「えっ……?」

ずっと、言えずにいたことが伝わったような気がして、あまりの感激に涙がこぼれ落ちる。

美味しい肉が焼けることよりも嬉しい報告は、夜十の感情を簡単に引き出した。

「ずっと……?姉ちゃん、何処にもいかない?!ずっと、ずっと一緒?!」

一瞬、自分の耳を疑ったけれど、姉の表情を見て驚きを隠すことが出来ない、夜十は必死に問いただす。

「そうよ、ずっとずっと一緒!もう一人になんてさせないよ。 」

ずっと胸に抱えていた寂しさがすーっと胸の奥から消えていく感じがした。安堵した夜十の涙は滝のように流れ落ち、止まらない。

顔を赤らめて、流れ出る涙を新木場さんから受け取ったティッシュで拭った。


「やっぱり、寂しかったよね。ごめんね、夜十。もう何処にもいかないから安心して。 」

美香は夜十を強く抱きしめ、哀愁の表情で頭を撫でる。

その様子を見ていた新木場は幸せそうにうんうんと頷いていた。



ーー夜十の幸せが訪れた瞬間はいつの間にかか終わりを迎える。焼肉屋の天井が上から剥がされるかの勢いで吹っ飛ばされた。

爆音と突風が店内を包み込み、何が起こったのか分からない夜十は呆然と、屋根を失った店から星が浮かぶ夜空を見上げる。夜空を引き裂くように三体の真っ黒い龍が上空をクルクルと回るように飛んでいるのが見えた。一体が屋根を前足で掴み、地面に叩き落とした。

轟音と砂埃が立ち込め、衝撃波で店内の窓ガラスが粉々に砕け散った。


「オイ、あれって……!!」

「な、なんで!昨日倒したアビスが……ッ! 」

黒龍は紫に光る闇の瞳で彼女を認識すると、巨大な翼を羽ばたかせ、瞬く間に襲い掛かって来た。

「……危ねえ!!」

新木場が戦おうとしている美香を突き飛ばし、黒龍からの攻撃を強引に回避させる。

「お前、今戦おうとしたろ!あと一回で死ぬんだぞ!?」

「……わかってます。でも!!!」

「でもじゃねえ!取り敢えず、外に出ろ!!」

夜十を抱えた新木場が必死に苦しそうな表情の美香を連れて店の外へ出た。

その直後、間一髪だったのか。黒龍からの紫の光と白の光が入り混じる巨大な咆哮(ブレス)によって、店は粉々に破壊されてしまった。


「危ねえ……!美夏!!無理だ、逃げるぞ!」

「新木場さん。最後のお願いです、夜十を……」


新木場は必死に夜十を抱えて走って逃げる。

だがしかし、美香はその場に立ち止まったままだった。何か決心がついたような思い切りのある真剣な表情で美香は踵を返した。

「やめろ!!よせ!美香!このまま三人で逃げるぞ! 」

「新木場さん、もう気づいてるから私を逃がそうとしてくれてるんでしょ?なら、尚更私はこの場を退けない。逃げられない。 」

「……ッ!! 」

「我儘な後輩でごめんなさい。夜十をお願いします。ここは任せてください! 」

新木場はそれ以上何も言わなかった。

何も言えなかった。黙って黒龍に立ち向かう美香を呆然と立ち尽くして見ていることしか出来なかった。


「ありがとうございます、新木場さん。 」

美香は店内を貪る巨大な三体の黒龍へ手を大きく広げ、大きく息を吸って誰をも魅了する美声で旋律を奏で始める。


「《平和を乱す、邪の化身よ。私の声に魅了され、姿諸共消えなさい!これが、私の最後の歌!護りの鎮魂歌(プロテクト・レクイエム)!》〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ♪♪」


旋律は音符と五線譜の形になり、巻き付く縄のように黒龍の動きを止めた。

首と手足に白い光の枷がつき、旋律が奏でられる度に彼女の存在が薄くなり、少し時間が経っただけで白い光そのものになっていくように見える。

三体の黒龍も唸り声を上げながら踠いて、必死に枷を外そうと慌てふためき、苦しんでいた。


「……新木場さん!姉ちゃんは何をしてるんだ!!」

「《戦場の歌姫(アーサー)》の奏でる旋律には、邪を殺す力がある。お前の姉は、俺とお前を守るために死を選んだんだ……!!」


新木場の瞳からは大粒の涙が零れ落ち、額を滑り落ちる。



 「……あっ、夜十……!!」

新木場が腕を離したタイミングで、夜十は美香の元へ駆け寄った。もう後数分で消えてしまいそうなほど、姉の身体は光に包まれ、身体は透けていた。

「……姉ちゃん!なんで……なんで!! 」

「ごめんね。ず、ずっと……一緒にいる予定だったのに……もう無理みたい。夜十、新木場さんの言うことをしっかり聞いてーー」

美香は涙でグシャグシャになった顔を無理矢理、歪めて笑顔を作った。


ーー眩いばかりの白い光の枷をつけられた黒龍は美香と共に白いガラスの結晶へ変わり、星空の中に吸い込まれていった。

「……お願い、強く生きて!」

最後に力強い声だけが夜十に届いた。




 齢八歳の夜十には今起きたことが現実としてどうしても受け止めきれなかった。

目の前で自分の一番の大切な存在が消えるということ。居なくなってしまったということ。

姉ちゃん、どうして、なんで、なんで!!


疑問と焦りと悔しさと不安、様々な感情が混ざり合って一度に夜十を支配した。

頭の中がいっぱいになり、夜十は意識を手放した。



一話目を御拝見頂き、誠にありがとうございます!

投稿予定日や更新に関しては、後書きやTwitterなどでお知らせする予定なので、ご了承ください。

TwitterID↓

@sirokurosan2580


拙い文章ですが、楽しく面白い作品を作っていきたいので、是非、応援よろしくお願いします!!


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